スタスタと先を歩く長髪の美丈夫の後ろから、追いかけながら声を張り上げる少年が見えてきた。二人はれっきとした恋人なのだが、傍目にはとてもそう見えない。完全な二人きりの空間でしか、なぜかそういう雰囲気にならないのだ。
「どうして無視するんだよっ」
前からはなおも返答がない。何やら腹に据えかねることが、二人の間であったらしい。が、自分の反応があるまで調子が変わらないと察したのか、諦めて歩くのをやめ、声の方へ振り返った。
「しつこい。俺にどうしてほしいというんだ」
構ってもらえて、クロードの表情がパアッと明るくなる。
「そんなの、『好きだよ♡』の返事なんか、『サンキュー♡ 俺も大好きだぞ♡』しかないだろ」
「……………」
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