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    kadekaru_kaname

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    12/11発行の半ロナ学生アンソロジー「放課後の運命論」で秋を担当させて頂きます。こちらはそのサンプルです。

    フォルトゥナの痺れ秋は酷く自虐的な季節だ。春のような華やかさはない、夏のような苛烈さはない、冬のような恐ろしさもない。
    そんな空っぽな空間に無理やりつぎ込まれるように、やれ芸術だ、やれスポーツだ、やれ食べ物だと、埋め合わせの切れ端が落ちていく。
    別にそれらが嫌いなわけではないが、何故秋と絡める必要がある? そう思い、俺は教室に靡くカーテンを見ながらぼんやりとしていた。
    自習というのは、やることが無くなってしまうと時間を持て余してしまうものだ。次の日以降の為に予習でもするか。それとも将来的に吸対に入る為の勉学をするか。
    ゆっくりと考えてみると案外やることも多く。俺は普段ならしない欠伸なんてしてしまった。その音を聞いたのか、前の席に座っているロナルドがにたりと嘲るような笑い方で振り向いた。
    「なに、眠ィの?」
    「馬鹿め。毎日限りなく八時間睡眠をしている」
    「……そりゃ寝すぎじゃね?」
    「将来、吸血鬼を相手にするとしたら、日中を過ごせる時間もあと少ししかないのだから、良いだろう」
    ロナルドの嘲笑はいつしか興味に代わり、そしてヤツの勝手な反省へと思考という、見えない脳内のブラックボックスを通り過ぎる。
    「半田とこうやって笑い合えんのも、あと少しってことだよな」
    「……別に職種が違えども、会うことは出来るだろう」
    「でもそっちは公務員で、こっちはギルドに名前はあるとしても自営業じゃん?」
    完全にこちらを向いて座ってしまったロナルドが、俺の席でスライムのように力なく溶ける。経営の形態は確かに違う。俺から出来るアドバイスは無いに等しく、歯がゆい思いが指先に灯る。机に突っ伏したロナルドの頭を撫でてやろうとしたのだ。
    瞬間、顔をガバっと上げられ俺の指先は行方を無くし、一体先ほどまでの自分は何をしようとしていたのかと混乱が起きる。何故、仇敵のこいつに、慰めのようなことを。
    そんな俺の混乱を特に気にしないかのように、瞳には思いが込められていて、たじろぐのは此方だった。
    「な、なんだッ」
    「あとちょっとしか、この日々を楽しめねえなら頑張って学園生活を謳歌してやろうと思ったんだ!」
    「もう秋だぞ」
    「秋だからこそ、いいじゃんもうじき体育祭だし」
    脳内のカレンダーを捲ると、そういえば近づいていた体育祭の時期と合致した。自分は何に出場にするのだろうか。ロナルドは何を楽しみにしているのだろうか。単純な疑問として生まれたので声が思案より先に出た。
    「何の種目に出るんだ?」
    「俺は騎馬戦と、あとリレー? そういや借り物競争も出るな。半田は応援団で忙しいんだっけ」
    ロナルドの言葉を受け、初めて自分が何故体育祭にあまり関心がないのか理解した。
    自分は応援団のメンバーとなったので他の個人競技を免除されていたのだった。勿論、最近はずっと応援団の練習に時間を割いている。
    だが、それは必要な運動であり、任せられた使命であり、常に全力で行うことだ。こんな今を知ったら、過去の自分は必ず嘘だと言うだろう。
    あの引っ込み思案だった俺が、前に出て、大きく声を張り上げるだなんて。俺をそんなダンピールに変えたと、目の前の男は知らないのだ。まあ、その練習がしっかりしている所為でロナルドを監視する俺の趣味は潰されているので、多少フラストレーションはあったが。
    「体育祭、楽しみだな」
    「おう!」
    屈託なく笑う、その表情は紛れもなく俺の太陽と言って過言ではなかった。その後はロナルドが解けない問題を馬鹿にしながらも解き方を教えて、刹那的に時間は過ぎていくのだった。
    存外、高校生活というものは時間がない。
    訳の分からない焦燥感に身を焼かれる。それでも一日は過ぎて、明日は来て、明後日が顔をのぞかせる。体育祭の日も、気が付けば、というところまで来ていた。
    派手なウチの校風が故にグラウンドにはスタンドが出来ていて、各クラスカラーごとに、やんややんやと自由に野次を飛ばしていた。
    「浮かれ過ぎではないか」
    「でも、こういう時ってシャッターチャンスが多いから俺としては助かるんだよね」
    まだ残暑の日が照り付ける中、学ランに着替えた俺の隣に居たカメ谷が呟いた。手には私物の恐らく高額なカメラがあり、こいつの本気度が伺える。
    「お前は何に出るのだ?」
    「俺? ……いやー、実は体育祭はコッチに集中したかったから玉入れくらいしか出ないよ」
    それは、学生としては本末転倒なのではないかと思う部分もあったが、それは人それぞれ。俺はそんなカメ谷の言葉に肯定も否定もせず、むむとだけ言葉を残し、前を向いた。紅組である俺たちはそれぞれ色んな箇所に鉢巻を付けている。カメ谷なんかは腕に巻いていたし、俺はシンプルに額に結び、風に靡かせていた。
    「ロナルドはどうした」
    「そういや、あいつなら真っ先に来そうなのに。どうしたんだろ」
    答えの出ない問いは苦手だ。触れ方が解らないからだ。
    ただ、浮つく気持ちが若干の嫌悪感と共に押し寄せてくる。この嫌悪は、きっとロナルドへの嫌悪ではない。気がついてはいけない自分の気持ちへの蓋だろう。
    スタンドに沢山の人が集まり、俺とカメ谷はロナルド一人分の空間をあけて座る。あと五分で選手宣誓が始まるぞ、何をしている。
    苛立ちが顔を覗かせた時に、ロナルドが「悪い!」と走ってやってきた。手にハチマキをもって、結ぶこともせず。僅かに青ざめた顔に問いたいことは沢山あったが、それは今ではない。だから「遅いぞッ!」と一喝して、共に整列の為に運動場へと足を下ろした。
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    kadekaru_kaname

    DONE性癖のうちの一つです……、書くか迷っていると言ったら、書きなよ!と言ってもらえたので断片ですが……!半ロナです。
    貞盲ぷちん、ぷちん、と音もたたずに。ただ、微睡みの中でわずかな痛みが痴丘から取り除かれていく。脛とか、腕とか、たまに脇とか。そういうところから千切るように、陰茎を刺激しない程度にあまり自分で直視することのない白銀を抜く。ただ、別に悪いことをしてるつもりも、恥ずかしさもない。ぼんやりと眠気と、エッセンス程度のちくりとした感覚がなんだかほんわかと気持ちがいいのだ。誰にも言えねえよなあ、と今では思う。服を着てる方が珍しいと言われる退治人の仕事でも、流石に帰宅する前には局部程度は隠すので、まだ、きっと、おそらく、なんとなくだが、他人にはバレていないと思うのだ。朝になって、目が覚めて、覚醒した意識の後に待つ、生来の気質にうんざりするのは分かっているのだが、夢精をコントロール出来ないように、欠伸や鼾に原因があるように、俺にとっては不可逆の行為だった。陰毛抜毛症、それが多分一番俺の症状に近い名前なのだと思う。勝手に抜けるのではなく、何故か抜いてしまう。人によってはそれが頭皮であったり、それこそ指の毛とか腕の毛とかにもなるのだろう。ショットが聞いたら、何らかの冒涜だと嘆き悲しむだろう。人によってこの症状は様々だ。そこに毛があるのが気に入らないとか、落ち着かないから適当に抜いてしまうとか、人の数だけ抜毛症はある。俺の場合は、気持ちいいから以外の何物でもないのだが。何度もやめようと思って、それでも無自覚に繰り返すうちに、俺の痴丘は焼け野原のように疎らな銀しか残らなかった。だが問題ないと思っていたのだ、半田と付き合う前までは!
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