人気お笑いコンビ『祓ったれ本舗』 ロングインタビュー企画 第一弾ファン待望♡
人気お笑いコンビ『祓ったれ本舗』
ロングインタビュー企画 第一弾
平成X年、十二月三十一日。
その日は、我々が忘れもしない夜になった。
突如お笑い界に現れ、瞬く間に階段を駆け抜けていく黒い大きな影が二つ。夏油傑と五条悟が成すお笑いコンビ『祓ったれ本舗』を知らない者は、もはや日本にはいないだろう。年末のJワン・グランプリでの優勝が、彼らの地位をさらに確固たるものにしたことは言うまでもない。そんな我々の評価に「いやそんな」と謙遜するのは、『祓ったれ本舗』のツッコミ担当、夏油傑。彼の魅力というのを一言で表すとするなら、ミステリアス。翻って胡散臭さ。もちろん悪い意味ではなく、彼の笑みには底知れない魅力があって、それがお笑いだけに留まらない彼ら独自のの世界へとファンを誘う。一方相方の五条悟は、恵まれたルックスに反するような粗雑な言動が魅力的なギャップとなって、ファンを虜にする。彼らの関係は、白と黒、凹と凸、水と油。様々な性質を持ち、それらを変弁自在に出し入れして我々を魅せてくれるのだ。
『こいつ寝起きサイテーなんだよ。
想像つかないでしょ』
「ネタはね、ふたりでいるときに考えることが多いですよ、でも悟はネタ作りっていうよりは何か楽しかった出来事を私に話してくれる感じ。それを聞いていると、なんていうんだろう。インスピレーションって言ったら大げさですけど、自然とネタが浮かぶんですよ。彼の話は楽しいですからね」と、夏油。都内のマンションに同棲しているという彼らは、私生活でもずっと一緒にいるという噂がファンの合間で絶えない。「あ〜、そりゃ一緒よ、朝から晩まです〜っと。な?」と挑発的な笑みを浮かべるのは五条の方だ。夏油は小首を傾げて同意を求める五条をちらりと見て「そうだね」と笑った。
「朝はだいたい俺が先に起きて、朝飯作ってる。傑は俺の代わりにネタ書いたり色々調整してくれたりして夜遅いから。しかもこいつ寝起きサイテーなんだよ。想像つかないでしょ」我々が驚いていると、五条はさらに続けてくれた。「で、昔は寝ぼけて歯磨き粉の代わりにシェービングクリームとか塗っちゃってさ。しかも気づかないで磨き続けてるから、あの時はマジでこいつヤバイな〜、と思った!」屈託のない笑みで、当時を思い出すようにケラケラと笑う五条。こういった笑みを我々に見せてくれることは少なく、基本的には公式SNSに載る彼らのオフ写真でしか拝むことができない。夏油の前でしか見せない顔、なかなか奥が深いコンビである。
「でも悟は夜になると赤ちゃんみたいなんです。眠くなったら私に抱きついてきて、布団まで連れて行ってあげないとどこで寝るかわからない。ヒヤヒヤしますよ」「嬉しいくせにさ」「一九〇センチ越えの男をベッドまで引き摺るのが嬉しいって?」「あー、はいはい。傑は照れ屋なんですよ、すいませんね」手をヒラヒラと振りながらそう話す五条の頭を、夏油が軽く叩いて、まるでステージ上の漫才のような光景が我々の前に広がる。
『殺す気で殴りましたからね』
ふたりは高校時代からの付き合いだというが、仲良くなったキッカケはなんだったのだろう。
「ケンカ」「喧嘩かな」ふたりが同時に口を揃えた。「入学式からとにかく悟は目立ってましたよ。この髪の色だし、グラサンだし、背は同級生より頭一つ抜けてましたから」できれば関わりたくないタイプだった、と夏油は笑って言う。「そしたらまさか、同じクラス。しかも夏油と五条でしょ? 出席番号的に席が前後だったんです。最初は私から話しかけてみたんですけど、そしたらこいつなんて言ったと思います?」「だって、変な前髪だったんだもん」「これですよ」友好的な態度だった夏油に対し、五条が発した言葉は「変な前髪」だったという。なんとなく想像がついてしまうのが、悲しいところだ。「で、こいつキレたわけ。初日から窓割る騒ぎの大げんかよ」「殺す気で殴りましたからね」「俺も負けずにぶん殴った」「まあ、結果的にそれをキッカケにしてなかよくなったんですけどね」「な!」「うん」彼らは当時を懐かしむように互いを見つめあって、そして笑った。『祓ったれ本舗』の真の魅力はこんなふたりの関係性にあるのかもしれない。誰も割って入ることが許されない、不思議な空間がそこにはあった。
次号は、祓ったれ本舗ファン待望、
ロングインタビュー企画の第二弾。
「まさかお風呂まで一緒!?」
おふたりの私生活に迫ります!
END…?