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    カシキ

    @kashikiasa

    手癖で書いた落書き多め。なんでも許せる方向け。

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    カシキ

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    モブ→おう/モブ視点おうみず書こうとしたけど、モブが可哀想になってやめたやつ。

    ##おうみず

    荼毘に付さずに笑ってくれよ あの目が好きだった。4月、クラス替えでそわそわしているオレを見透かすように、振り向きざまに笑んだ瞳。博愛を青く染め上げたような眼差しに、一瞬で恋に落ちた。
     王子一彰。オレの前の席に座る、オレの好きな人。
     授業が楽しいと思ったのは高校に入って初めてだった。太陽の傾きに応じて濃さを変える髪、垣間見える白い首、学ランで角張った肩に、分厚い布越しでも分かる整った背。それを見ているだけであっという間に1時間が過ぎて、1日が終わる。
     初めて「ボーダーに入ればよかった」と思った。ボーダーの防衛任務のせいで王子が見られないときがあるのが、辛くて、苦しくて、憎たらしかった。だけど受験を控えた身で、今更ボーダーに入るのもむずかしい。やむなくオレは隣のクラスに遊びに行っては、ボーダーに入ってる友人に王子の話をせがんだものだった。
    「また王子の話か」
    「頼むよ。王子ってボーダーでどんな感じなの?」
    「どんな感じ言われても……普通やで、普通」
    「その普通の詳細を聞きたいんだって」
    「お前、ほんま趣味悪いなあ」
     呆れながらも友人がボーダーの話をしてくれる。王子は学ランに似た隊服を着ていて、部隊の隊長をしていて、成績も優秀。オレはその話を聞きながら「好きだなあ」と呟く。
    「……なんでそんな好きなん、あいつのこと」
    「え、分かんない。目が合ったら、なんかもう好きになってた」
    「なんやそれ……」
     友人が溜息をつく。そんな溜息も気にならないほど、オレは王子が好きだった。
     いつか王子に「好き」と言いたい。この思いを知ってもらって――あわよくば、いや、もちろんあり得ないとは思うけど、もし、応えてもらえたら、それほど幸せなことはない。
     夢のようなことを考えて、オレは一人で笑う。王子のことを考えるだけで、楽しくてしかたなかった。
     ……ああ、そうだ。
     この時まで、確かに、オレは楽しかった。
     楽しかった、のだ。
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