陽の者達の休息ヨウノモノドモメガー、という叫び声が穏やかな昼下がりを突き破った。
俄に訪れた喧騒に窓の外を覗こうとして、グール=ヴールは傍らで眠っていたはずのレノが目覚めたことに気付いた。
「……何だ……? ……えらく騒がしいな」
「ああ、レノ。……何かあったのだろうか……ここは比較的静かな場所だと思っていたが」
「まあ、町外れとはいえ天下の副都、しかも聖夜も近いしな。祭りの前夜祭で盛り上がってるんじゃねえか?」
「なら、良いのだが……」
外では、ヨウノモノタチホロブベシー、という些か不穏な叫びが聞こえる。
「酔っぱらいでも暴れてるのかも知れねえな。……それより旦那、昼間はアンタの買い出しに付き合うが、夜はまたオレに付き合ってくれよ」
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