恋色ハロウィン・クロシア
「にゃにゃーん! 化け猫参上にゃ! あれ、クロウちゃん、なんでこっち見てくれないにゃん?」
背かれた顔の方へタタッと移動すると、またそっぽを向かれた。
「ちょっとクロウちゃん!」
何度かそうする内に、痺れを切らしたシアンは怒気を滲ませて名前を呼ぶ。
「だー、もう! 可愛過ぎて直視出来ねえんだよ! バカヤロ!」
「にゃ!?」
お互い気まずく俯く。照れ臭そうにうねうねと落ち着かないクロウとシアンの尻尾。
「あ、ありがとにゃん……」
「お、おう……」
――百秒後にケータイでめっちゃ撮影会するカップル――
・ヤスほわ
「ヤスくん! トリックオアトリートだよー、がおー!」
「のわ!?」
肉球付き手袋で覆われた両手を構えるほわんに、飛び退くほど驚くヤス。
「ほわ!? ご、ごめんね、そんなに驚いちゃうなんて思わなくて」
「いや、謝らないでくれ。今日はイタズラしても良い日みてえだしな」
そんな胸を穿つほど可愛い格好、驚かない訳がない――。それは照れ臭くて絶対言えない、妖しい夜の秘密。
(おわり)