Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    hanten102

    @hanten102

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 52

    hanten102

    ☆quiet follow

    ガン種自由(アスキラ)叶えて願い事 ✋受けの女装が含まれます。ご注意下さい!!幼かった頃、女の子の恰好をしたキラに一目惚れしたアスランから「結婚して!」と言われて。19歳になった今も女装しているキラの話。

    叶えて願い事キラ・ヤマト19歳。訳あって男性だが女性の恰好をしていた。
    それは何故かと言えば、彼の恋人で彼氏であるアスラン・ザラに起因している。


    緑色の大きな大きな宝玉のような瞳がキラキラとキラの方を見ていた。
    母親が戯れに買って来た女物の洋服を着せられて、涙目になっているキラはその好奇の瞳に耐えられなくて隠れようとする。
    少年は、その手を捕まえると、
    「僕と結婚して!」
    と言った。
    キラにとっても初恋の相手だったアスランからのその求婚に、ドキドキ思わず頷いてしまったのがすべての始まりであり……終わりだった。


    以来アスランはキラの事を女の子だとずっと想い込み続けている。
    幼年学校は制服が選べる形だったのもあり、スカートじゃなくてもバレなかった。
    プールは泳げないからと言って休んだ。
    幸いなのは、学校の者たちに理解があった事である。
    否、寧ろキラが可愛らしい恰好をする事に、周りは好意的に見てくれたというのが大きい。
    たまに、女子がキラの頭にリボンをつけてくれたりしても周囲は何も言わず。
    アスランに見せれば「可愛いな、キラ…」と、とろんとした目で言ってくれる。キラはその度に胸を躍らしてドキドキしていた。鼓動が奏でる音がいつも響いていた。
    声変わりをした時だって、「アスランに嫌われたくないよ……」って泣いたキラに、アスランは「キラの声は可愛いから大丈夫だ…」と愛情は一切何事も変わらなかった。
    周りの女子が第二次性徴で胸が大きくなったり柔らかな身体になった時も、キラは慌てたが、「気にするな。俺は胸がなくても気にしないぞ?」とアスランは優しかった。
    休日は女の子の服装をして、アスランと一緒にデートをする。
    外だったり、家の中だったり、様々だったが、初めてキスをしたのは近所の公園で。
    (僕、幸せだなぁ…。幸せになるんだなぁ……)
    なんて思ってた幼年学校の頃。


    アスランがプラントへの転校が決まって、身を引き裂かれる気持ちだったけど、いつかは会えると思っていた。
    この戦争が終わったら迎えに来てくれるのを待ってるだけじゃなく、いつか会いに……。


    そして、二度の大戦を経て、キラは今19歳になった。
    白い隊服を靡かせて歩けば、見惚れる者がいるくらい美しさに磨きをかけている。
    元の線の細さに加えて儚さや色気のようなものも混じり、童顔の可愛らしい顔はそのままで。
    コンパスで仕事詰めだったキラに、休日が与えられた。
    アスランからデートに誘われている。
    いそいそと女の子物の淡い色のワンピースを着て、キラが出て行ったのを見送って、シンは「……早く平和になって欲しいよな」と言った。ルナマリアが隣で微笑む。「まあ、キラさんがアスランと結婚するには…ハードルがいっぱいあるけどね」
    キラは現在の職場ではアスランとの付き合いをオープンにしている。その上で、自分が何故女装しているのかも話している。
    シンはほとほと溜息を吐き、「アスランってどんだけ鈍いんだよ……」とぼやく。
    「それだけ愛されてるって事でしょ?シンは馬鹿ね……」
    シンの飲んでいた缶コーヒーを回し飲みしながら、ルナマリアは外を眺めた。
    キラを迎えに来たアスランが、その身を抱きしめていた所だった。
    「ホント、お似合いね」


    ずっと手を恋人繋ぎにして歩く、二人でショッピングしたり、車で海まで行ったりした。
    海辺には人が居なくて、キラが足を波に入れて遊んでいるのを砂浜でアスランが眩しく見守っていた。
    「アスランもおいでよ!気持ち良いから」
    「……そうだな、お前が溺れたりしたら困るし」
    「こんな浅瀬で溺れないよ?心配性だなぁ…」
    クスクス笑うキラに対して、そっとアスランの腕が伸びる。
    抱きしめられて、腕の中で……付き合ってもうどれくらい経つだろう?
    全然慣れてくれない身体は一度離れたせい。きっとそのせい……。
    口づけを交わして、アスランを感じた。
    この身体全部で、アスランを感じたいと思うのに、悲しいかな?自分は本当は男で、受け入れる事も、子供を産むことも、結婚する事も本来叶わない。
    伝えなければ…と思いながら今まで来てしまった。
    「幸せ」が「罪悪感」と表裏一体に存在している。



    結局海辺で夢中になってキスをしていたら、大波を被ってしまったので、アスランの家でシャワーを浴びる事になった。
    キラの家でも良かったのだが、自分の自宅はアスランが来ても良いようにはしていない。確かに女の子の服はクローゼットに沢山入っているのだが、キラ本人は男だから、きっとアスランが期待している可愛らしい女の子みたいな部屋ではないだろう。
    「先にシャワー浴びて来て良いぞ?俺は少し食べるものでも作ってるから」
    「うん…ありがとう」
    カタンと脱衣所で服を脱いで、バスルームに入る。
    そこかしこから、大好きなアスランの香りがして落ち着かない。クラクラしそう。
    シャワーを浴びながら、そっと自分の身体を撫でる。
    女の子だったら良かったのに。
    このまま、この部屋に泊っていけたら良かったのに。
    丁度良く、コンコンっとノックされた。
    「……着替え、置いておくから」
    「うん……アスラン、その」
    「………」
    「僕、アスランが好きだよ……」
    「俺もお前でいっぱいだよ……」
    「早くおいで」って言われて、罪悪感がやっぱり顔を出した。
    多分アスランは期待してる。自分はその期待に応えられない。
    バレたら……今度こそ嫌われて傍に居られなくなるだろうか?
    もう二度と別れたくない。……だけど、このままで良い訳がない。
    でも、アスランの事を想えば、……彼には未来がある。自分と付き合っていては叶わない最高のビジョンが、ある。
    一度話した事があった。結婚して、子供を育てて、二人で生きて行こうって。
    自分では叶えられないそれを、彼に与えられるのは別の誰かなのだ。


    「少しだけ待っててくれるか?」
    そう言ってアスランは自分と入れ替えにバスルームに入って行った。
    テーブルの上にはワインと皿にクラッカーにチーズが乗っている。
    キラは息を吸って吐いた。アスランの大きい服をだぼっと着た状態で、脱衣所に行った。
    シャワーの音が聞こえるその場で、キラは着ていた服を脱いだ。
    そして、バスルームの扉を開けた。
    「……キラか?」
    「うん……「本当の」僕だよ」
    「………」
    シャワーを止めて、アスランがじっと自分を見て来る。
    男の姿を晒すのは、それもアスランに見せるのはキラの羞恥心を煽った。真っ赤に染まる…震える身体。
    「一緒に入るか?」
    「………え?」
    「キラはキラだろう?俺の愛してるキラ」
    「アスラン……!本当に良いの?僕女の子じゃないんだよ?男で……」
    「取りあえず上がるか……俺の理性が保たない…少し、話したい」
    アスランが驚かなかったことに驚いたキラだが、コクリと頷いた。


    部屋に帰って来て、キラはぐるぐる回る頭でチーズが乗っかっているクラッカーに齧りついた。
    そして、アスランが服を着替えた姿でやって来た所で、開口一番に聞いた。
    「いつから…君、知ってたの?!」
    直球をぶんっと投げられたアスランは面食らった顔になったがすぐにいつものように蕩ける目になってキラに笑いかけた。
    「第二次性徴の辺り……だな」
    「え……っと何でそれでも僕だったの?」
    「お前を愛してるからに決まってるだろう」
    優しい目を崩さずに、キラの髪にアスランの指先が触れる。
    ドキドキがあぶくのようにあふれて行く。
    「でも……僕とだと結婚も出来ないし、子供も作れないし……」
    「いや、同性婚が認められている国で籍を入れるつもりでいたし、子供は養子を取ろうと考えていたが?」
    思わぬ言葉の嵐に、キラが目を瞬かせる。アスランはそのつもりでいたのだ。
    「未来がない」と思っていたのは自分だけで。アスランの「未来」にはキラが確かにいたのだから。
    赤い頬を包んで隠しながら、言いにくいけど…言わないと、とキラが懸命に言う。
    「…その、女の子じゃないから、君を受けとめれないし……」
    「?」
    「……エッチな事、出来ないでしょ?」
    その言葉に遂にアスランが笑い出してしまった。涙を拭いながら、反対に涙目になってしまっているキラに「出来るぞ」と返す。
    「男同士でも出来るけど……お前が受け止めたい側だったのか。……」
    「え?何?!どういう事……」
    「……せっかくシャワーも浴びた事だし、今晩、試してみるか?」
    コクリと喉が鳴った。アスランを感じられるのなら、望んだ事が叶うのなら、こんなに素敵な事はない。ずっと、ずっと……願って来た。
    「まあ少し痛いかもしれないが?」
    「え……その、優しく優しく…抱いてくれる?」
    「………そうだな。女の子みたいにしてやるから」
    キラの腕を引いてベッドルームに案内しながら、アスランの態度はやっぱり変わりなくて。
    悩んで来た罪悪感が、蕩けて行くのを感じた。



    「ていうか洒落になんねー!」
    シンが叫び声を上げた。今までだって大変だった虫払いが余計に増している気がする。
    アスランとキラは同棲を始めた。ちょくちょくアスランから連絡が来るし二人の仲は公認なのだが。キラの美しさや艶っぽさが日に日に増しているのだ。
    勿論手を出そうものなら、アスランからどんな制裁を喰らうかわかったものではない事は皆知っている。…が、何かあったらと思うと本気で怖い。恐怖である。
    「隊長が愛されてるのは良いけど。俺が心痛で倒れたらどうすんだよ!」
    「あら?シンも神経使うのね?」
    「……アグネス……」
    「その時は私が看てあげる」
    「ルナ……!」
    3人の会話を知らないキラが、白い隊服を翻して部屋に入って来るまで数秒前の話。




    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖💖💖💖👏👏👏💒💒💘👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works