想い出 (askr) ※AK企画様kr誕祭おめでとうございます!!!20255月18日。当日。
コンパスの士官室にキラとアスランが居た。
当然のように0時丁度にカガリとラクスと連絡を取り、他のコンパスメンバーから誕生日の祝福を受け、パーティが始まり……それから、親友で大切な幼馴染であるアスランと士官室に閉じこもった。
「何書いてるんだ?キラ?」
アスランが枕を抱きしめながらあくび混じりに聞く。
「……僕ね、今日一日お休みを頂いてるんだ」
「ああ…聞いたな」
「うん、だから………」
きゅきゅっとペンで書かれたその紙には【とっっても緊急時以外開けないで下さい!!!】と書いてあった。
まぁ、コンパスを任されてる者として、艦からはなかなか離れられない責任があるのだろうが、これでは……。
「なんか、開けるな!って言われると開けたくなる人間心理って知ってるか?」
「え……?」
「いや、まあ、そうだな……一応貼っておくか」
「ん……」
少し涙目になるキラだった。
「それで……プレゼントなんだが……」
「ストップ!!!」
「ん……?」
「物は要らないんだ……」
「?」
アスランは頭で必死に空想する。物以外のものってなんだ?
コホンと咳払いすると、キラはびしっとアスランを指差した。
「君が欲しい!!!」
「……………」
たっぷりと3分は沈黙しただろうか?キラがぷるぷると震えながら、懸命にそれでも指を突き差し続けた。泣ける意地である。
「………俺???」
「そう!君!!!」
漸く頭のネジがカチリと回ったのか、アスランが咀嚼したので、キラは嬉しそうに何度も頷いた。
「……コンパスは人手不足か?」
「うーん…まぁいつも大変でメンバーには苦労をかけて……って違うよ!!!誕生日に欲しいものって言ったら……少しはムードを読んで!!!」
泣き出しそうなキラを見て、アスランはまさか……!っと思い当る。
いや自分とキラは幼馴染で親友で?それ以上でもそれ以下でもなく?
いや自分としても、キラの事は好きだ。
ライクじゃなくてラブの方向で。
だが、キラの性癖はノーマルだと思っていたから、身を引いていただけで。
「………えっと、想い出って事か?」
「そうだよ……一夜でいいから、抱いて欲しくって!通販でグッズも揃えたし、ネットで検索して準備も万端なんだよ……?アスラン、お願い………」
まさかのプレゼントは自分……?!!!アスランはゴクリと唾を飲み込む。
美味しい。美味しいが過ぎる。
誕生日に最高の想い出をプレゼント出来る。
ただ一つ、不満点を述べると。
「……一夜にするつもりはないが?」
「え?」
「キラが望むのなら、………」
その瞬間に緊急アラートが鳴った。士官室の外をバタバタと走り回る音がする。
いくらなんでも、この状況だろうと、見捨てる事が出来ないのがキラである。
「……行って来るね」
「…ああ」
「30分で終わらせて来るね」
「……無理はするなよ」
ぎゅっと抱きしめ合ってすぐにキラは戦闘モード(種割れ状態)で走って行った。
よく判らないが謎の組織乙。
「アスランただいまー!!」
「……20分」
本気のキラ・ヤマトにかなう敵なんぞいない気がして来た。
息せき切って帰って来たキラに水を渡すと、ゆっくりとそれを嚥下するのを見守る。
飲み込んだのを確認してから、アスランは先ほど途切れた言葉を続けた。
「お前が望むのなら、何夜でも……お前にプレゼントする」
「………え?」
「え?じゃなくて。キラも俺の事を好きだって事だろう?」
「……う、うん………。好きだよ、アスラン」
真っ赤になってもじもじと告白するキラに、アスランも優しく微笑みかける。
「俺も…お前が好きだ……」
「ま、毎日僕の誕生日って事……」
「……たまに俺の誕生日も挟んでもいいか?」
「仕方ないなぁ……」
ぎゅって抱きしめ合ってコツンって額を合わせて瞳を合わせると、ドキドキが止まらなくなって、キラの目がぐるぐるして来た。
「閉じて?」と囁くと「うん……」とキラの瞼が下りた。
邪魔なサイレンは入らないかと少し警戒してしまった自分を呪いたい。
アスランはゆっくりとキラの唇に唇を重ねて、ベッドに横たわらせた。
首の後ろに手を回して、キラがねだるように足も絡めて来る。
「可愛い……キラ……」
「アスラン……もっと……」
ちゅっちゅとキスを繰り返しながら、味わって。
飛んで跳ねる鼓動のままに、軍服を脱いで、黒のコートもシャツも脱いで、甘い一日が過ぎて行った。
翌日、別の意味で二人が祝福された事は言うまでもない。
ちなみに皆して士官室の中が上手くいくようにとソワソワしてたそうなので、大変な誕生日になってしまった。
キラは照れ臭そうに、「そう言う事で僕とアスランが恋人になりましたので」と告げ、拍手喝采を浴びた。
「それで……寿退社って出来るんでしょうか?」
コンパスメンバーが全員転びかけた。
「え?アスランの子供出来るかと思ったんだけど……」
まあ、それだけ幸せだったと言う事で。