4月20日の大人萌目「今日は復活祭らしいね目金君」
「ええ、そうですね」
「僕らは信仰という面ではあまり縁がないイベントだけど、この日ならではのイースターエッグは見ててとても華やかだよね」
「最近はイースターエッグのオブジェを置くところも増えましたからね」
「アメリカやヨーロッパ諸国では、イースターメニューと称して卵を使った料理をこの日に食べるそうだよ。日本ではまだ普及し切っていない行事ではあるけれど、いずれ卵料理を楽しむ日として親しまれる事があるかもしれないよね」
「……えっと、萌先生」
「何だい目金君?」
「言いたいことがあるなら素直に言えばどうです?」
「……」
「__っ、イースターバニーに因んでウサ耳を付ける目金君が見てみたいです!」
「よく言えましたね」
「くうっ、スマートにウサ耳に誘導するつもりだったのに……」
「わざと回り道をしているのが丸分かりすぎますよ。それで?ウサ耳を付ければ良いんですか?」
「えっ?」
「あ、ここに隠してあるやつですね。へえ、随分とフワフワしてますね」
「えっ、え???」
「片方の耳が垂れているのは萌先生なりの拘りですよねきっと。はい付けましたよ」
「いやちょっと待っ、ぁ、可愛い!!!」
「有難うございます」
「目金君、少しだけ顎を引いて、上目遣いでこっち見れるかな」
「……こうですか?」
「最高!」
「良かったですね」
「って、ちょっと待って!」
「何ですか?」
「どうしてすんなり言うことを聞いてくれたんだい?昔の君なら絶対に付けてくれなかったじゃ無いか」
「別に破廉恥な格好をさせられる訳でもありませんし、これだってカチューシャと思えば然程抵抗は有りませんよ。……まあ、恥ずかしくは有りますが」
「照れ屋な目金君が居なくなっちゃった……」
「もう僕も二十を超えてますからね」
「ううう、寂しい。けどウサ耳姿のまますんとした態度をとる目金君も可愛いよ……あ、取っちゃうの?恥ずかしくなっちゃった?可愛いね」
「五月蝿いですよ!……それで?これで満足なのですか?」
「え?あ、うん。満足。そもそも君にウサ耳を付けてもらえるなんて思ってもいなかったし」
「ふうん。意外とあっさりしてますね。てっきり人参を絡めたセクハラワードでも投げられるのかと」
「そんな事するつもり全く無かったんだけど!?待ってよ目金君、君の中の僕は一体どんなやつなんだい?」
「そうは言いますが、昔萌先生自身が言ってたじゃ無いですか。バニー姿にさせられた僕にそのような事を」
「……え、そうだっけ?」
「はい。9年前の8月21日、二回戦に入る辺りのタイミングで」
「………あっ」
「思い出しましたか?」
「……いや、ほら。あれはまだ僕が幼かったから言っちゃっただけで」
「今の萌先生はあの様なプレイはお好みでは無いと」
「そうは言ってないじゃ無いか」
「食い気味に否定しないで下さいよ。……それで?今日はこれから茹でた卵の殻に色でも塗りますか?それとも__」
「……、か、可愛いウサギさんを愛でようかなー?」
「……気持ち悪い上に照れが入ってますね」
「仕方ないだろう!?本当にそんなつもり無かったし、まだ昼前だし……」
「……はあ。これはもう無しですかね。今日はのんびりと過ごしましょう」
「えっ、待って止めちゃうの!?お願い目金君、もう一回チャンスを!ねえ目金君!!!」