お泊まり「明日は9/15だね目金君」
「敬老の日を祝い合うにはまだ年齢が足りて無いのでは?」
「いや別に記念日を仄めかしたかった訳じゃないんだ。明日は15日だねーって事を伝えたかっただけで」
「はあ。それで、急に日付の確認をして萌先生は一体何をしたいのですか?」
「じゃあ率直に伝えさせてもらうけど、明日も休みだし今夜君のこと抱いても良いかな?」
「解散」
「待って!少しは話を聞いてよ目金君!」
「確かに明日は休みですし諸事情で部活もありません。ですがだからと言って、わざわざ萌先生の欲を満たすために身体を疲弊させたくないのですが」
「恋人にエッチしたいって頼んでそんな言葉返ってくることある?」
「不満ですか?」
「普通はそう思うんだろうけど、目金君らしいなーって僕は思った」
「……で?」
「うん?」
「何で僕と身体を重ねたいと思ったのですか?」
「……目金君ってエッチな話するとき毎回湾曲な表現使うよね。僕それ好きだなー。……あーっ!待って!ちゃんと話すから帰り支度しないでお願い!」
「……」
「氷の様な冷たい眼差しもキュートだよ。……ごめんごめん、話すってば。えっとね、今日僕と目金君はお家デートをしてただろう?二人で一気見しようって約束してたアニメのDVDをみたり、お互いに好きな作品について語り合ったり。有意義な時間を過ごせたと思うんだ」
「……僕もその様に認識しています」
「えへへ。またこういうデートしようね。それでね?今日は互いにアニメを愛するオタクとして語り合う時間が多かったから、普段のデートよりも目金君の無防備な姿が多く見れた気がするんだ」
「無防備?」
「なんて言えばいいのかな。例えばだけど、無邪気な笑顔や楽しそうに作品について語る姿とか」
「それが、無防備だと?」
「うん。目の前にいる相手に自分は下心を向けられているって微塵も意識していないっていうか。子供みたいに無邪気で、凄く可愛らしかったよ」
「……。萌先生の審美眼は日に日に劣化する一方ですね」
「あはは!目金君の照れ隠しって可愛くないところが可愛いよね」
「…………」
「痛い!?もう少しで話し終わるから暴力は止めて!……どこまで話したっけ。あーそうだ。無邪気に笑う目金君の姿を独り占めしているうちに僕こう思ったんだ」
「……何ですか?」
「『あー、今日目金君とエッチしたいなー』って」
「真面目に聞いた僕が馬鹿でした。帰ります」
「嘘だろう帰るの!?」
「当たり前じゃないですか!今日はそのつもりで来ていませんし明日も予定があるのですから!」
「その予定ってやつもネトゲだろう?僕の家で出来るじゃないか。ねえ目金君本当に帰っちゃうの?僕寂しいよ。もうしなくても良いから帰らないでよお」
「……何で」
「うん?」
「何で、無防備な僕を見て劣情を抱いたのですか」
「え。どうしてって」
「返答次第では、今日は泊まっていきます」
「うわあ、それは重大だねえ。と言っても目金君が求める答えが何かは分からないから素直に答えるけど。……うーんとね、楽しそうに笑う君を見ているうちにね、愛おしいなーって思ったんだよ」
「愛おしい?」
「うん。関係性が少し変わっても、君は以前の様に笑ってくれるんだなって思ったら、目金君のことを大事にしたくなって。そう思ってるうちに目金君とえっちしたいなーって思った訳なんだけど。……これを聞いて、君は帰らないでいてくれるのかい?」
「__。……着替え、前に持ってきて此方に置いたままでしたよね」
「!うんっ、ちゃんとアイロンも掛けて目金君専用の棚にしまってあるよ」
「それなら、今日は泊まっていけますね」
「いいの?本当に?やったー!お家デートの18禁イベントキタコレ!」
「はいはい。せいぜいイベントフラグをへし折らない様に頑張って下さいね」