真の良薬とは「魈様!ああ、よかった。おいででしたか」
「……重雲か。何度も言うがお前を妖魔退治に連れては行かんぞ」
「うぅ……わ、わかってます。そうじゃなくて」
これを届けてほしいと頼まれまして。
そんな言葉と共に差し出された見覚えのある箱を受け取りながら、目の前の膨れ面に気取られぬように息を吐いた。
――連理鎮心散。背負った業障に毒された気と精神を正常なものへと整え、我が我のままでいる為になくてはならないもの。
そろそろ切らしそうだと思っていた矢先の届け物。送り主など、聞かずともわかる。御力を手放されても尚、何もかも見通されているのだろうか。ありがたいことだ。
……そう、実にありがたいことではあるのだが。
今日はまだ服用していなかったことを思い出し、心に若干の陰りを落とす。
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