空腹はすべてに勝る パキリと、足元で枝が割れる乾いた音がした。
ちょっと前にも同じような道で、同じように枝を踏んだ。最早既視感という言葉では誤魔化せない光景に、そろそろ焦りを感じ始めた頃だった。
前を歩くKKの背中を見ながら、ぐるりと周りを見回すが景色は一向に変わらない。
目の前には人が一人通れる程度の幅しかなく、踏み固められた道が真っ直ぐ続いている。そのけもの道を邪魔するように左右から生えてきているのは、葉っぱの形状からしてシダ系の植物だろう。低木は少なく、樹木の間隔も広いため、以外と視界は広い。目線を上げると、頭上高くに枝を伸ばす高木が太陽の強い日差しを遮り、森の中は柔らかい光で満ちている。恐らくコナラやクヌギだろうか。樹木に詳しくないため、はっきりとは分からない。
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