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    はぱまる

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    はぱまる

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    ザザザっと書いて力尽きた。類の見た嫌な夢の話を聞く瑞希の話。ちょっとだけ猥談(……でいいのか?)が出てきますが色気はないです。屋上組書き慣れてないし校正とか碌にしてないからどっか変かも。

    #屋上組
    upperHouseGroup

    嫌な夢「やはりお前達とやるショーは楽しいなあ! ずっと一緒にショーをしよう! なあ類!」

    「みんなのお陰でまたステージに立てたんだ。此処でずっと、一緒にショーしたいな。ねえ類」

    「みんなとワンダーステージでやるショー、とっても大好き! ねえ類くん、ずっと一緒にショーしよう?」

    「やはりお前の演出がないとな! オレを最大限輝かせる演出家はお前のみだ!」

    「ロボットもね。ドローンとか……ネネロボとか。やっぱり居ないと駄目だよ」

    「類くんが魔法使いみたいに色々実現してくれるから楽しいの! ねえ、ずっとあたし達の魔法使いで居て?」




     いや、可笑しいだろう、











     目が覚めるとガレージの天井が見えて、眠っていたことを自覚した。
     体には随分と冷汗が流れていて、見ていた夢を悪夢と断言していた。
    「……はは……」
     見開いた瞳孔に朝日が眩しく、目を細める。乾いた笑い声を零す。先日瑞希と会った時、とあるアニメの解釈違いについて語られたことを思い出した。なるほどね、とひとつ頷く。なるほど、解釈違いとはこういう感覚か、と。

     その数日後、類は瑞希と屋上に居た。偶々、暇潰しにやってきたそれぞれが鉢合わせた形であった。なお足下の校舎では今日も元気に授業中である。先に来ていた瑞希は後からやってきた類に「わ〜るいんだ〜。サボり魔〜」と揶揄い声を投げ、類はそれに対し「そもそも学校に来ない瑞希に言われたくはないかな」と微笑んだ。「確かに」と笑った瑞希の隣に類は腰を下ろし、組み立て途中のドローンを鞄から取り出す。かちゃかちゃやり始めた類の隣で瑞希はボンヤリ雲を眺める。
    「……そういえば」
     ふと、類が声を上げた。独り言みたいなそれに瑞希は「うん?」と視線を空から下げて類を見遣る。
    「前、話していただろう。解釈違いが起きたとかなんとか」
    「あ〜、あれ? まあファンの中でも声の大きい人だったから気になったけど、ボクはもう気にしないことにしたよ。自分勝手に楽しむのが一番楽だからね〜。勿論周りに迷惑掛けない範囲でだけど」
    「正論だね。とても正しい生き様だと思うよ」
    「でしょ〜。でも、突然どうしたのさ。なんか解釈違いでも起きたの? ショー関連?」
     鋭いね、と類は笑った。「けれど少し違うかな」とゆんわりした微笑の類に、瑞希は首を傾げる。
    「マア、解釈違いがね、起きたんだよ。悪夢を見たと言うのが正しいのだけど」
    「比喩じゃなくてマジのやつ?」
    「マジのやつ。みんながそんなこと言うわけないだろう、と言うのが目覚めて初めに思ったことでね」
    「あー、解釈違いだ」
    「やはりコレを言うんだね、解釈違いというのは。こういう感覚か」
    「そうそう」
     頷きつつ、瑞希は「“みんな”って誰だろ」と考えていた。直ぐに「ワンダーランズ×ショウタイムのことかな?」と勘付いた。或いは最初に思ったようになんらかの劇のことなのかもしれないが、類の言い方や様子から「きっとあの三人のことだろうな」と思った。そしてその考えは正しかった。
    「司くんも、えむくんも、寧々も、あんな風に言う筈がないんだ。全く、嫌な悪夢を見たものだよ。目が覚めた時、冷汗が本当、酷かったからね。それだけの夢だったというわけだ」
    「……滅茶苦茶解釈違いだったんだねえ」
    「本当」
     深く頷く類は、表面上はいつものような平気そうな微笑を湛えていたが、瞳の色は鋭く、硬いものだった。
     それを見て瑞希は「ふむ……」と少し考え、猫のようにこてりと首を傾げる。
    「それってどんな夢だったの〜? 悪夢は口にしたら正夢にならないって言うけど」
     パチ、と瑞希と目を合わせた類は「……そうだね」と少し瞼を伏せ、正面を見て「なんと言うかな」と暫し考えた。
    「……ウン……欲に塗れた、というか」
    「欲? ピンク系?」
    「違うよ。それこそ解釈違いで腹を切る羽目になる」
    「アハハ。ごめんね」
    「いいよ。しかしまあ、申し訳ないことに変わりはないかな」
    「……司先輩達に申し訳ない夢だったってこと?」
    「うん。……僕の願いだけに沿ったような……否、アレは本心ではない筈だ。けれども、心の何処かでは望んでもいる、と言える。仮に叶ったところで素直には喜べないけれど……だからこそ悪夢だったんだよ。そうだね、例えるならば、それこそ、恋人を滅茶苦茶にしたいという欲と大事にしたいという欲を相反して持っている状態の時に、滅茶苦茶にする夢を見て嫌な気分になるみたいな」
    「あ〜。どっちかというと“大事にしたい”を本心に持っている・持っていたいのに、前者の夢を見ちゃったから嫌なんだ?」
    「そんな感じ。マア、本当の本心を言うと、大事にしつつも夜にはそういうプレイをしたいとか、そういう風になるのだけど。この例で言うなら、ね」
    「滅茶苦茶にしたいって欲も叶えたいしでも大事にもしたい。から、恋人と話し合ってそういうプレイとしてできたら最高だねってこと?」
    「そんな感じ」
    「けど夢の中ではプレイも何もなく滅茶苦茶にしてたから悪夢なんだ」
    「そういうことだね。“大事にしたい”も本心であるのにそれが無視された夢であったから、嫌なんだよ。……うん、そういうことなんだ」
     話しながら何かの整理がついたのか、類はふむふむと自分に頷いている。それを見ながら瑞希は「なるほどな〜」と胸中頷いていた。ある程度の検討が付いたのだ。とはいえ具体的なことは何も分からないけれど。
     例えば、瑞希は「世界中だあれも居なくなってしまえば楽なのに」という想いを抱えていたりする。けどそれが本当に叶って家族もニーゴのみんなも類も誰も居なくなっちゃったらきっとそれは悪夢だろう。仮に“瑞希の大事な人”だけ残っても最悪だ。客が居ないなら動画を作る意味も無くなってしまうじゃないか。奏が救うべき人が居ない、絵名が絵を見せるべき人が居ない。まふゆだってどうしても親を大事に思ってしまうのに、居なくなったら嫌だろう。類も客が居なければショーなんてできないし、司・えむ・寧々の三人が居なければもっと最悪だ。なのにそんな世界で瑞希の周りだけ笑顔だったら? ……嗚呼、悪夢だ。それこそ解釈違いだ。再生回数が伸びないセカイ、家族も居ないセカイ、ショー仲間も観客も居ないセカイ、で、みんなが笑顔で居られるわけがなかろう。そんなセカイくそくらえ。……けれど「世界中だあれも居なくなってしまえば楽なのに」という想いが無くなるわけではない。理屈と感情は別物だし、心なんて幾つも胸の内にある。相反する想いだって抱えてる。それが人間というものだ。
     そのうちのひとつだけが叶えられたセカイでは、他のどんな想いが踏み潰されているのか。
    「……ヤな夢見たんだねぇ」
    「そう言っているだろう。本当、嫌な夢だったよ」
     けれどきっと、その夢が現実になればと願う心が何処かにあって消えない。だから悪夢を見たんだな、と瑞希は思って、小さく笑む。人間らしいなあ、と思った。それだけあの三人が大事なんだな、大事に思える人に出会えたんだな、と思うと、我が事のように嬉しく思えた。そのことが嬉しかった。
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    はぱまる

    MAIKING書き掛けで放置してあった互いに成り代わる🌟❄️です。滅茶苦茶中途半端なとこで終わる。
    その内完成させたいとは思ってるんだけど、暫く手をつけられそうにないから今の状態を投稿してみます。
    完成させるなら今書いてある部分にも修正を加える予定。書いたの結構前なのもあって本当変えたい部分が沢山ある……。けど、まあ、これを読んでもし「ここ好き!」ってなったところがあったら教えていただけると嬉しいです🥳
    死に代わり 雨が降っていた。
     雲が重く空にのしかかり、空気さえも暗い都内は雨音ばかりで何処か静かにも思えた。
     雨が降っていた。
     傘も刺さず、少女は歩道橋から道路を見下ろしていた。
     雨が降っていた。
     道路には幾つもの車が水溜りを蹴飛ばしながら走っていた。
     雨が降っていた。
     少年が傘を握り締め歩いていた。
     雨が降っていた。
     少女が手摺りによじ登った。
     雨が降っていた。
     少年が少女に気がついた。
     雨が降っていた。
     少女は手摺りの向こう側で、ゆらゆらとしていた。
     雨が降っていた。
     少年は傘を投げ捨て走っていた。
     雨が降っていた。
     少女の体が揺れ、揺れ、ガクンとバランスを崩した。
     雨が降っていた。
     少年が少女を追った。
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