少し疲れてしまったから、静かな場所で休憩しようと思ってたどり着いた書庫。フェネスさんがいたらいいなぁ、と思いながらチラリと中を覗いてみると黙々と本を読んでいるフェネスさんがいて少しだけ、嬉しくなった。
「フェネスさん」
気づかないだろうなと思いながらも一応声をかけてみると、やっぱりオレが来たことにも、声をかけられたことにも気づかずに変わらず本を読み続けている。
カタン
フェネスさんの隣に座って、机の上に投げ出した腕に頭を乗せてフェネスさんを見上げてみる。
「……綺麗っすね〜、」
どんな本を読んでいるのかは分からないけれど、文字を追って動く黄色い瞳や外から入る光を反射して輝くモノクル。完璧な造形の顔にサラリと垂れる赤と黄色の髪。
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