Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    Hoopono41030595

    @Hoopono41030595

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 98

    Hoopono41030595

    ☆quiet follow

    初音さん(@itsuki_40)より頂いたお題:くわぶぜの背中合わせ。

    戦闘の緊張感もまったりお部屋のくつろぎ時間も、背中越しにお互いの鼓動を感じていたらいいな。

    #くわぶぜ

    ぺたぺたと素足で廊下を歩く。
    何時間くらい寝ていたんだろうなぁ。大きく伸びをひとつ。
    体はすっかり元気になったが、ずっと寝ていたせいで、なまっているように感じる。
    廊下は薄暗く足元を照らす常夜灯が等間隔で小さく灯っている。
    朝にはまだ少し早いようだ。しかし、真夜中というわけでもない。
    「今、何時だろ。」
    豊前はそんなことをぼんやり考えながら自室へと向かった。

    部屋の障子を静かに開くと中には豊前と同室の桑名が、読んでいた本を置いて、静かに微笑んだ。
    布団は敷かれていない。

    「おかえりー。」
    「おー、お前の方が早かったのか。ところで今何時?」
    「今は、朝の5時。僕は6時間とちょっとだったから。豊前は7時間半だったかな。」

    そっか、結構な傷だったんだな。
    でも治ってよかったね。
    お互い重傷を食らって、手入れ部屋に直行したのが昨日の夜。
    手入れ時間を確認し合い、そして無事を確認し合う。

    「どうする?布団敷く?」
    桑名の提案に豊前が首を横に振る。
    「いや、いいよ。よく寝たし。ここがいい。」
    言いながら、腰を下ろしたのは本をもって胡坐をかいた桑名の背中側。
    その背中に自分の背中をくっつけるようにして座り、豊前はふぅと大きく息を吐いた。

    「ひどい戦いだったな。」
    「そうだね。豊前はおなかに大きな穴開いてたし。」
    「桑名は、腕がちぎれかけてたな。」
    「片手で、意識のない君を抱えるのは難儀だったよ。」
    「お互い、死ぬかと思ったな。」
    「帰って来れてよかった。」

    背中越しにお互いの鼓動が広がる。
    トクン、トクンと鼓動を感じるたびに、そのぬくもりが全身に広がっていく。

    「昨日も、この音がずっと聞こえてたっけなぁ。」
    「もう少し早かったんじゃない?」

    トクン、トクン、トクン、トクン……。
    命のやり取りをする緊張感、敵に囲まれ、どうにものっぴきならない状況の中。
    お互いの命を主張するように、ずっと聞こえていたその音。

    絶体絶命ともいえる状況の中で、背中越しに聞いたその音は……。

    「なぜか、絶対に生きて帰れるっていう自信になった気がするんだ。」
    豊前の言葉に対して、桑名の言葉は固い。
    「よく言うよ。槍の一撃食らって、一瞬で吹っ飛んだくせに。」
    「ま、そーだけどさ。なんかそれでも、俺は死なねーっていう自信があったんだよなぁ。」
    「まあ、それを生存バイアスっていうんだけどね。」
    「お前つまんねー男だな。」

    背中越しに、ごちんと頭突き。
    「あ、痛ぁ!」
    「お前、俺の心臓止まっちゃっても、いいのかよ?」
    「そんなわけないでしょ。」

    桑名は首だけ後ろを向けて、噛みつくように豊前の唇を奪った。
    君は知らないと思うけどね。
    「豊前を抱えて帰った僕が、どんな様子だったのか。本丸の誰かに聞いてみなよ。」

    怒ったような、嬉しいような複雑な色をたたえた金色の瞳が豊前をまっすぐに射貫く。

    「そっか、心配かけたんだな。」
    「元気になってよかったよ。」

    背中合わせに座る二人に、ゆっくりと部屋の外から朝日が差し込んでくる。
    もうすぐ、本丸に朝が来る。

    それまでの短い時間に、二人はお互いの鼓動を感じながら、ゆっくりと身をゆだねていた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤❤❤❤🙏👏🙏💘👏💘🙏🙏💯💯👏👏💖💖👏👏❤😭💖❤🙏👏👏👏👏👏👏🙏💕💕💘💘
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    Hoopono41030595

    MOURNINGくわぶぜの日りたーんに合わせて書いていたのですが、「美しい悲劇」で全て吹き飛んだので、出しそびれた。
    キス魔の豊前くんと、キスするタイミングがわからない桑名くん。
    加減がわからず暴走する桑名くんが大好き。
    桑名江はキスがしたい【くわぶぜ】「おけーり、桑名。今日も畑楽しかったか?」
    ニコニコの笑顔で、豊前が両手を広げて胸に飛び込んでくる。
    僕はそれを、両手を広げて受け止める。
    「うん、いっぱい収穫したよぉ」
    僕が、豊前の身体を引き離すようにして声をかけると豊前は満面の笑顔で「そっか、よかったな」と言いながらその唇に優しくキスをした。


    これは大広間での出来事。


    夕食前のひととき、歓談するもの、テレビを見るものなどたくさんの刀剣男士たちが集う大広間での出来事だ。

    キスをする僕たちに、びっくりするもの。冷やかしの声を上げるもの。にこやかに微笑むものなどその反応はさまざまだが、豊前は、そんなことは全くお構いなしのようだった。

    まあ、僕も豊前のかいた胡坐の膝に、頭を乗せようとしているわけだし、僕たちが恋人同士だということを知らない男士はこの本丸にはいないわけだし、日常の後継だといわれればその通りなのだが……。
    2552

    related works

    recommended works

    Hoopono41030595

    DONE鶴田さん(@ayanenonoca)からのお題「くわぶぜ、お互いの弱いところ」をようやく書きました。遅くなってごめんなさい。

    バカなぶぜくんが性癖なので。このあと塩対応しながらくわわがめっちゃ甘やかしてくれると思います。
    「今日こそは教えてもらう!」
    「もう~、またなん?毎日しつこいなぁ。」

    部屋で横になりながら、本を読む桑名に豊前はドーンとその胸にダイブするように飛び込んだ。
    自然に桑名が受け止める。

    「そうだよ。教えてくれるまでは毎日聞く。」
    「だから、僕の弱点なんて、教えないってば。動物は弱点を知られたら死んじゃうんだよ。」
    「刀だからでーじょぶだよ。」
    そんなやり取りが続いていた。

    ◇◇◇

    桑名の弱点を知りたい。
    豊前がそんなことを言い始めたのはつい数日前のことだ。
    きっかけは何だったか覚えてはいない。
    なんだか、話の流れで「豊前には弱点が多いよねえ。」と桑名がつぶやいた。
    「俺に弱点が多い?」
    「そ、小さい虫は嫌いだし、ピーマンは食べられない。それに……。」
    桑名が豊前に背後からのしかかりおなかや脇をくすぐる。
    「やめろちゃ、こちょばい!」
    豊前は逃げようとするが、体に力が入らないのか上手く桑名の腕から逃れられない。
    「こしょぐられるのも弱いし……。」

    その言葉に豊前はむっと口を結んだ。
    「桑名には弱点はねーのかよ。」
    「どーかな、自分じゃよくわからないけど。」
    「よーっし、俺が弱点 1118

    Hoopono41030595

    DONEエアSSその2。お題は「ゴムを買いに行くヘタレクワナ君」。
    ホントにヘタレですんでご注意。
    くらげ(@ao_krg)さんリクエストありがとうございました。

    #江楽宴
    僕は今、ものすごく悩んでいた。
    激安と名高い、大型のディスカウントショップ。その売り場の一角で立ち尽くしてもう30分にはなるだろうか。

    「ゴムって……こんなに種類あるん……?」

    目の前に壁のように並べられた各種コンドームに僕は圧倒されていた。

    僕が豊前と体を重ねるようになって、数か月。
    ゴムやら、ローションやらを準備してくれるのはいつも豊前だった。
    僕も、それには何の疑問もなかったんだけど……。

    「あ、今日、ゴムもローションもねーわ。」
    夜も更け。
    さてやるか、という段階になって豊前がそう言いだしたのだ。
    僕はすっかりやる気満々でいたんだけれども、その一言で豊前は「今日はナシだ。」と言い始めた。

    そんな!そんなのひどい!!
    僕は抗議の声を上げるが、豊前が否というのだから交渉は成立しない。
    それでもあきらめられない僕は……まあ、口でしてもらったわけだけれども……。

    っていうことは、豊前に用意してもらわなくてもゴムとかローションとかが常備されていれば、いいんだよね。

    そう思い立った僕は生まれて初めて、そういったたぐいのモノを買いに来て、今、そこに立ち尽くしているのだった。

    861