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    あるぱ

    一次創作のBLなどを書く

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    あるぱ

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    煮詰まってるので三題噺のお題メーカーで創作短文を書く
    なんのオチもつかんかったけど今後もちょくちょくやります。
    734文字/25分

    #創作
    creation

    黄昏、その終わり

     足音がする。硬いブーツの底が、グラウンドを抉る。硬質で、退屈なほど規則的な音が。ぼくは窓の外へとつと顔を向けた。灼熱という喩えはいささか大袈裟かもしれないが、空いた窓から吹いてくる風は熱風で、真上の太陽を遮るものさえない校庭には、うっすらと陽炎すら見える。ずらりと並んだ少年兵たちは、一丁前に制服を着て――しかしそのサイズはちっとも合っていなくて、大抵はブカブカなのだが――訓練に勤しんでいる。
     年端もいかない彼らがまっすぐに前を向いて行進する足音だけが、この教室ではBGMだ。年端もいかない、そう、ぼくよりもほんのいくつかだけ歳かさの子どもたちの。
     名指しされ、ぼくは視線を動かして教師を見た。指定された箇所の英文を読み上げる。平易な英文だ。戦争がはじまってからこっち、教育などというものはほんの、駄菓子についているオマケのようなものだった。いまは平時ではない。学校はただ、ぼくたちという人間を、ストックするだけの保管庫にすぎないのだ。ぼくは早口で読み終え、教師を見た。彼は一度顎をしゃくり、黒板に向かって英文をチョークでうつす。
     足音がする。ぼくはまたグラウンドを眺める。武器を手に足早に走る兵士の顔まではここからでは分からない。あの中には近所のへっくんも、ぼくのいとこの圭くんもいるのだろうが、ここからだと誰も彼もがまるで同じに見える。つるりと白くて顔がない少年たち。来年にはぼくもあそこに加わるのだろう。
     足音、足音、その遠くにサイレンと、飛行機のエンジン音が聞こえたような気がするのは、幻聴だろうか。ぼくは机に腕を横たえ、頭を預けた。曲げた肘に、じっとりと汗が溜まっている。
     太陽は南中に赤く赤く燃えている。あれが落ちてくるころには、少しはこの風もぬるくなるだろうか。


    あるぱは「黄昏」「兵士」「憂鬱な中学校」を使って創作するんだ!ジャンルは「指定なし」だよ!頑張ってね!
    #shindanmaker #sandaibanashi
    https://shindanmaker.com/58531
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    あるぱ

    DONE三題噺のお題ガチャでひとつ/宇宙かぶりしてしまったな……/創作小説さようなら、ユニバース



     ハロー、地球の人たち。
     元気ですか?
     私は目下GN-z11銀河系内を浮遊中。あ、遠くでバチッと光ったやつは恒星の赤ちゃん。ここでは毎日そんな光景が見られます。星が生まれ、死に絶えていく。美しいけど見慣れてしまうとなんてことはありません。私はフライパンでポップコーンを作るところを想像します。ぽんぽん弾けて生まれて、時々できそこないのコーンが底に残ってるの。
     ハロー、ハロー。
     ここは地球から134億光年彼方。いまごろみんなはなにをしてるかな?


     モニターを閉じる。背もたれによりかかり、ひとつ息をついた。茶番だと君は思うだろうか。そうだ、茶番だ。そうでなければ私の脆弱な理性など、あの星が遠くで光って一度瞬く間に砕け散ってしまう。
     君のことを思うけれどもう顔はよく思い出せない。この狭いコクピットにはいって、どれだけの時間が経ったのだろうか。疑問はいつも私にとっての地雷だ。それを深追いすればきっと、私の脳みそは壊れてしまう。コツは、追いかけないこと。浮かんで思ったことは、そのまま流す。窓の外、漆黒の背景に転々と浮かぶ光の群れのなか。宇宙に。
     ハロー 1598

    あるぱ

    DONE三題噺で一本/創作BL/新入生と先輩の初恋と宇宙(偏愛とは???) 恋は彗星のように

     光の白色、シリウス、ヘイロー、定常宇宙論。

     四月だと言うのに、妙に暑い日だった。ぼくは心臓が激しく脈打つことを意識しないように、好きな言葉で頭の隙間を埋める。
     ボイジャー、シドニア・メンサエ、ダークフロー、重力レンズ。
     言葉はぼくの血管に乗って身体中に回る。不思議と少しずつ脈拍は落ち着きを見せ、胸に何か詰まるような感覚は消える。後ろから、真新しい制服の人たちがぼくを追い越して、高い声で笑った。もつれ合う三人はそれでもまっすぐ進んでいて、ぼくはなんとなく、子猫がじゃれ合う様を思い浮かべる。また心臓が急ごうとするので、ぼくは立ち止まって深呼吸した。
     目を閉じると、ふ、と視点が浮かぶような感覚になる。見えるのはぼくの後頭部、道行くぴかぴかの生徒たち、さらにぐぐっと視点が浮上して、学校の校舎が見え、自宅が見え、遥か向こうの街並みの際が、緩やかに歪曲している地平線まで見える。上昇していくと、晴れ晴れとしていたのにそこには実は薄雲が張っているのだと分かる。対流圏を越え、成層圏に及ぶと次第に空の青色は群青へ、さらには夜のような黒色へうつり変わっていく。これが宇宙の色 2162

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