夏夜に咲いた花 常ならば辟易する人混みも、この日ばかりは気持ちを高揚させてくれるものになる。
「何食べよっか? あっ、焼きそばあるよ! あ、でもあっちにたこ焼きもあるね。迷うなぁ……」
並んで歩くダイの言葉に、ポップは口角を持ち上げた。そんな言葉を、三年前にも聞いたような気がしたからだ。
「オレは何でもいいから、おまえ好きなモン食えよ」
「そう? じゃあ焼きそばとー、たこ焼きとー、あとかき氷でしょ……あっ、ベビーカステラの匂いがする! ちょっと買ってくるな!!」
「はいよ。この辺で待ってるからなー!」
(相変わらずよく食うなぁ……)
甘い香りを周囲に漂わせている屋台へとまっしぐらに向かうダイ。その背を見送りながら、ポップは三年前の夏を思い出していた。
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