逆転忘羨座学編(仮) 雲深不知処の授業は蘭室の外で行われることもある。
今日の野外教育は、草花の写生だ。
一流の仙師には、こういった教養も欠かせない。
青空の下に居るのに座って草花を描き写す行為は、藍忘機にとってひどく退屈なものだった。
開始から一盞茶も過ぎないうちに彼は中庭から姿を消してしまった。
叔父上が脱走者に気づく前に捕まえなければ……!
苛立ちを隠しきれない魏無羨は、樹の下で菫を描く江晩吟に大股で歩み寄った。
「江晩吟、藍湛はどこに行った?」
「……知らん」
顔を上げずに筆を進める江晩吟が短く答えると、魏無羨の額にびきっと青筋が浮かんだ。
「いつも一緒に居るお前が知らないわけがないだろう」
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