とあるモブテーラーとその二人の話私の名前は『モーブ・ロドスキー』代々紳士服を作ってきたそれなりに由緒あるテーラーの主人です。
お得意様の中には政界・芸能界等の著名人もおりますが、特に『竜の血族』様にはうちが初代の頃からご贔屓にしていただいています。
特に3代目のドラルク様は、品がありながらもウイットのある会話がとても楽しく、私は幼少の頃からこの方に会えるのを楽しみにいていました。青年になり、家業を継ぐ為の修行として緊張しながら採寸した時には、
「もともと体型は変わりにくいから、前の採寸から大きく外れてはないだろう。誰しも経験は必要だ、胸を貸そうではないか。君が1人前になった時はぜひとも私に合う一着を頼むよ」
そう言ってウインクする姿に同性であってもドキリとしたのを昨日の事のように覚えています。
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