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    るうノ

    成人。”腐”の落書き置き場。主に進化リz。🏝等。

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    るうノ

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    2023/2/28
    #リュウシマ真ん中バースデー2023
    タグお借りします🙏
    絵を描く際に何となく考えていた設定をお話にしました。
    🐉🏝に至ってません。お互いのことを意識し始めたところ。
    赴くままに書いたので何でも許せる方、お口に合わなくてもスルーできる方はどうぞ。
    ※出てくる風景描写は全て架空のものです。

    その温度冬の朝、空気は澄んで冷たい。
    吐く息が白く浮かんでは、リュウジの歩く速度に合わせて後ろに流れてゆく。
    見慣れたカフェの看板が見えて来る。
    近づいてみると店内は明るく、席は既に半分以上使用されているように見える。
    彼は振り返り、道路を挟んで反対側の駅前広場を見やる。
    そこにあるのは待ち合わせ場所に指定している時計塔。
    約束の時間にはだいぶ早いことを確認すると、彼はカフェに入って行った。
    焼き菓子の並んだカウンターで店員と言葉を交わすと、程なくして蓋が付いた高さ 10cm程のカップを受け取り、時計塔が見える窓際のカウンター席に着いた。

    冷えた手にカップの温かさがじんわりと伝わってくる。
    一口目は温度を確かめるように少量をゆっくりと飲む。
    二口目は味わうために少し多めに。
    三口目を口にしようとしたところで手が止まる。
    駅からまばらに出て来た人影の中に、見慣れた背格好の少年を見つけた気がしたからだ。
    少年は暫し駅前を見渡すと、まっすぐ時計塔に向かって歩いて来る。
    間違いない。
    だが約束の時間にはまだ早い。
    リュウジは椅子の背もたれに掛けたコートを手早く羽織ると、カップを手に店を出た。

    「おはようございます!」
    リュウジに気づいた少年がこぼれるような笑顔で挨拶をする。
    「おはよう。早いな、シマカゼ。」
    「遅刻したくなくて、この時間の電車に乗ってしまいました。」
    そう言って特徴のある凛々しい眉を少し下げて微笑む。
    「でもリュウジさんはもっと早くに着いてたんですね?」
    リュウジはシマカゼの視線が自分の手元に注がれていることに気付いた。
    「あ、ああ。そうだ、シマカゼは何を飲む?待ち合わせの時間を早めて貰ったお礼をしたい。」
    そう言って、目線をカフェに向ける。
    キョトンとしたシマカゼは、だがすぐに慌てて首を横に振った。
    「ご、ごめんなさい。そういうつもりで言った訳ではないんです。あの、お礼なんていいんです。ゆっくり見られるようにって時間を早くして下さったこと、嬉しかったです。」
    シマカゼの頬がみるみる赤くなっていく。
    「見てたのは何を飲んでいたんだろうとか、何故約束よりずっと早く来てたんだろうって気になったんです。」
    赤面しながらも真摯に伝えようとする少年の姿をリュウジは微笑ましく思い、それ以上は勧めなかった。
    「せっかく早く来たんだ。とりあえず行こう。ここから15分くらい歩く。」
    「はい!」
    気を取り直したシマカゼがリュウジの後を追って広場を出て行く。

    「カフェラテだ。」
    歩きながらリュウジがつぶやいた。
    「さっきシマカゼが気になっていた事の一つめの答えだ。」
    「カフェラテ…なんだか大人な感じがします。」
    「大人…そうか?」
    「はい。まだ飲んだことが無いです。」
    「味見してみるか?」
    「!」
    驚いたシマカゼが振り向く。
    リュウジは少し覗き込むようにシマカゼを見ていた。
    その表情は穏やかだ。
    時間にしたらほんの数秒。シマカゼは頭の中を高速回転させて、同じ飲み物を共有する事の意味を考える。
    出てきた答えは〝兄弟のやり取りときっと同じ〟。
    シマカゼがお菓子を食べていると、ナガラが「アニキそれ美味しい?」と寄って来ることがある。そんな時は「食べたことあるだろ。」と言いつつ、「一口だけだぞ。」と分けてやる。
    リュウジさんにも弟妹がいるからきっと同じ感覚で言っているのだろうと思うことにした。
    なのにどうしても心臓が落ち着かない。
    「まだ温かい。飲んでみるか?」
    目の前にカップが差し出される。
    「はい」
    シマカゼはカップを両手で受け取る。
    片手だと鼓動が指先にまで伝わっているのがリュウジに気付かれてしまいそうで、何故かそれは避けたかった。
    平静を装いながらカップを口に運ぶ。
    最初に感じたのは苦味。
    母が家で時々入れてくれるカフェオレは牛乳がほとんどでコーヒーは香りがする程度だったから大分違う。
    でも、想像していたよりも優しい。
    「美味しいです…それに温かい。」
    「気に入ったのならもっと飲んでいい」
    もう一口、飲んでみる。
    体の中から温もりが伝わっていく。
    鼓動も落ち着いていく。
    「ありがとうございます。ご馳走さまでした。」
    シマカゼが両手で差し出したカップを受け取ったリュウジは、それが渡した時よりも温かくなっている気がした。

    「二つめの答えだが…。」
    カフェラテを一口飲んでリュウジは言った。
    「シマカゼと同じようなものだ。約束の時間は抜かりなく守りたいからな。」
    よく知る口癖を思わぬところで聞いたシマカゼは、どこかほっとしたような柔らかな笑顔を彼に向けた。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    補足
    カフェオレは本来、コーヒーと牛乳の比率が同じだそうなので、シマカゼがお家で飲んでいたのはコーヒー風味の牛乳です。
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