信誓旦旦 女神ジュノーが月の冠を抱くと、その祝福を求めて恋人達は永遠を誓う。6月は毎日何処かでウェディングセレモニーを目にすることになる。
軽やかなオーガンジーのヴェールが、風に撫でられて新婦の横顔を飾り立てる。ツンと済まし顔の小さな淑女のフラワーガール。友人達のラフな正装に顔を顰める堅苦しそうな親族。
オープンテラスのレストランから供される、賑やかな様子を冷やかしながら通りを進むのは、夕食を取りにパブへと向かう2人だ。
「新郎、ガーター外すの早くない?花嫁さん泣かされそう」
「花嫁の方も私にウインクをする位だから、お似合いじゃないか?」
指先を振りながらにこり。と笑う、黒髪の艷漢に全力でツッコミを入れるのは牡丹鼠色のさらりとしたくせ毛を持つ、此方も整った顔立ちの青年だ。
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