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    32honeymoon

    @32honeymoongwt

    ◇gw:t KK✕暁人至上主義者
    ◆書くものは癖が強めなものが多いので要注意。
    ◇中の人は30over↑
    ◆主に夜中に書いてあげるスタイル
    ◇リクエストとか感想とかめちゃくちゃ喜びます。もちろん読んでくださるだけでも感謝🙏
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    32honeymoon

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    #毎月25日はK暁デー
    1回目なんとか間に合いましたー!
    大好きな曲を聴きながら書いたらどちゃあまになりましたがまあこれはこれで。
    ギリギリまで二心同体軸なふたりと迷いましたが今回は普通におけけ肉体アリ設定です。
    色々二番煎じかもしれませんがそれもご愛敬ということでご容赦を・・・!
    タグを作ってくださった主催者さま、ありがとうございました!
    皆様も引き続き良きK暁ライフを!

    #K暁

    welcomeing morning☀"We lost all and create the beginning with one love me pray"
    ゆらゆらと心がほどけてゆく朝の柔らかなひかりに照らされて、
    僕らはまた始めるんだ。


    ーーー

    「ーおい、起きろ暁人。そろそろ起きねえと遅刻だぞ」

    ゆらゆらとカーテンの隙間から照らされる朝の光と、
    優しい低い声にゆっくりと覚醒する意識。

    「・・・ん、もうそんな時間?」

    ふああ、と大きく欠伸をしてのそりと起き上がれば、
    今日はずいぶんとお寝坊さんだったな、と笑って髪をくしゃりと撫でられる。

    誰の所為だよ、と頬を膨らませば、そりゃオレのせいだなぁ、とふざけた調子で笑うから、文句のひとつも言ってやりたいのに。
    でも顔を見てしまったらそれ以上はもう、何も言えなくて。

    「・・・ふぁあ」

    眠い目をこすりながら二度目の欠伸が出る。着替えさせてやろうか、という申し出に、結構ですと返す。
    つれないねえ、とまた笑いながら、ほれはやく起きろ、と急かされて、しかたなくベッドから降りる。
    ひやりと足元を撫でる冷たい空気。裸足ではもうそろそろ寒いから、ベッドの下にラグでも敷こうか。
    あの夜からはじめてふたりで迎える冬。ずっとくっついていたいと思うのは、この気温のせいでもあると自分に言い訳をする。

    「ほれ、頑張れお暁人くんよ。今日は外に夕メシ食いに行くんだろ?」

    渋谷429通りの中華料理屋。今夜はKKの行きつけのその店に連れて行ってくれるって約束をしていたんだっけ。
    そういうのはちゃんと覚えていてくれるんだよな。
    「トイレの電気はちゃんと消して」って何度言っても絶対忘れるのになぁ。
    こういうことだけはマメに覚えてるあたり、ムカつくけど、顔がにやけてしまう。

    ーとても悔しいけど、愛してしまっている、と思う。
    そうだ、僕の世界は今現在、あんたを中心に回っているといっても過言ではない。
    まあ絶対に本人には言ってやらないけど。

    「暁人。寄り道しないで帰って来いよ?」
    「わかってる。KKこそ、早く帰ってきてよね」
    「ああ、今日は前から話つけてあるからな。面倒な案件には手を出さねえよ」

    あの夜を超えて、一度は閉じたあの世との境目は、今でも時々僕らの眼の前に姿を現す。あの日と同じように黒い靄を纏って。

    それはこの世に生きる人々の様々な怨恨や憎悪や色々なものに裂かれ続けて、綻んでしまったジグザグの縫い目のようなものなのだと、KKは言った。
    そして今までも見えないだけで存在はしていたのだろうとも。
    見えるようになってしまったのなら、出来るヤツがなんとかしなきゃな。
    そう言うKKの横顔と声に、僕は黙って頷く。
    一緒にやってくれるか?と問われて、もちろん、と答えた僕にほんの少しだけ驚いた顔をしたKKが、ありがとよ、オマエがいてくれたら心強いぜ。そう言ってくれた日のことを、昨日のように覚えている。

    ただ、あの日から僕やKKにはもう、あの世のものを吸収することもエーテルの力を操ることも、出来なくなってしまった。
    あの力は、あの般若の男に植え付けられたもので、ある意味一種の呪いのようなものだったから、あの男の魂から切り離されたと同時にこの世のものではなくなってしまったのだという。
    使えなくなったことは少しだけ残念だけれど、それでも僕らにはまだやれることがたくさんある。

    マレビトたちが闊歩していたあの世界と違って、ここは生者のエネルギーが溢れる世界だ。彼らは息をひそめて僕らが闇に堕ちるのを待っているけれど、そう簡単に堕ちてやる訳もなく。
    弓や札、そしてエドや凛子さんたちが開発してくれたたくさんのモノを使って、彼らを循環の輪のなかに還してやることくらいはできる。

    僕も大学やバイトがない時はKKと一緒にアジトにお邪魔したりするけれど、やはり学生が本分だ。
    この部屋の家賃も、KKが多めに払ってくれているとはいえきちんと払わないとだし、
    何より、まずは自分一人で生活できる程度の蓄えも知識も立場もー何もかもが不足している。少なくとも、社会人として独り立ちできるようにならないと、と伝えたとき、暁人くんは真面目だねえ、なんて茶化された。
    「もうどうせ永久就職しちまうんだからいいだろ」だなんて。からかわれているのか何なのか。まあ甘やかしてくれるのは気持ちとしてはありがたいけど、もう、誰かのやさしさに縋って生きるのは嫌だから。

    父さんや母さんとも、約束した。
    みっともなく泣くことがあっても、生きていたいと思えるようになったんだ。
    それは、こうして一緒に歩いてくれる人ができたから。


    「あ、KK」
    「どうした?」

    新しいシャツに手を通しかけて、思い出す。上半身裸のままでベッドに戻れば、未だベッドの上で僕の着替える様子を見ていたらしいKKが、不思議そうに下から見上げてきた。
    ふふ、KKを見下ろすのってなんだか新鮮。

    なんだよ、と口にする前に、その唇をふさいでやる。といっても、ただ触れるだけのキスだけど。

    「言ってなかった。・・・・おはよう、KK」
    ぽかん、としたまま目を丸くしていたKKが、目を細めて、いっとう優しい声で、笑った。

    「ーああ、おはよう、暁人」

    ーくそ、夜までお預けかよ。そう唸りながら前のめりになる彼を置いて、さっさとシャツを羽織り、ベッドルームを飛び出す。

    そう、おはようのキスは、大好き、と素直に言えない僕からの無言のラブコール。
    気づいてくれてるといいんだけど、と思いつつ、あの瞳を見てしまったら、うん、わざわざ考えるまでもなかったな。
    洗面所の鏡の中に、なんだかしまらないニヤけた顔が映る。・・・なんだか、すごく恥ずかしい。
    ばしゃばしゃと音を立てて顔を洗っていると、後ろから抱きすくめられて、ひゃ、と思わず高い声を出してしまう。

    「ちょっと、もう。早く用意しろって言ったの、KKだろ」
    「オマエが誘うからだろが。我慢なんてできるかよ」
    「駄目。我慢して」
    「・・・・チッ、じゃあこれで我慢してやる。さっさと行ってこい」

    そう言って首筋に顔を埋められて、ふわりと煙草の匂いが香って。あ、ヤバい、と思うよりもはやく、ぢゅ、と吸い付かれた。

    「い”ッ、あ!!ちょっと!!!?」

    コレ地味に痛いんだって!っていうか!
    鏡を見ればくっきりと浮かぶ赤い痕。シャツで隠れるギリギリのラインを狙ってわざと付けてる。こういうとこあるんだよね、KKって。
    彼が時々見せる独占欲はまるで駄々をこねる子供みたいで少しだけ可愛い。もちろんこれも絶対に言ってやらないんだ。だって言ってしまえば最後、絶対ねちねちとベッドの中でネタにされるの、分かってるし。

    「・・・・虫避けくらい、良いだろ?ああちゃんと上までボタン閉めろよ、まあオレは気にしねえけどな?」
    「・・・ほんと、最低!このエロオヤジ!!」
    「仕方ねえだろ?暁人くんの事が好きでたまらねえオジサンはよ、こうして自分のモノだって印をつけとかねえと不安でなあ?」
    「ちょっと何それもう・・・!」

    あああ、ちょっともう。今日授業が手につかなかったらどうしてくれるんだよ。
    首まで真っ赤になってへら、と笑ってしまう自分が情けない。だって仕方ない。好きな人にこんな風に求められて、嬉しくないわけない。
    悔しいけど、もうこれ以上こっちだって我慢なんてできないから、手が緩んだすきに振り向いて思い切り抱きしめてやった。
    ぐえ、とわざとらしく舌を出して、オイオイ随分と積極的じゃねえか。オレは嬉しいがよ、と顎でしゃくってみせた先にあった時計はとっくに出るはずの時間を過ぎていて、
    僕は今日の朝ごはんがコンビニのパンとおにぎりになったことを悟った。

    それでもこころはこんなにも満たされている。
    ベッドの中にいつもある、自分以外のぬくもり。甘さと苦さと、なんとも言えない彼のにおい。
    いつも変わらない笑顔でおはようを言えるひと。
    そして、眠りの淵でかならず名前を呼んでくれるひとと共に過ごせる幸せを、あらためて噛みしめる、そんな一日のはじまり。



    「じゃあ、行ってきます!!」
    「おー、気を付けて行ってこい。急ぎすぎて転ぶなよ!」
    「分かってるーーーー!」

    外は晴天、信号待ちの喧噪すらも今日はなんだか愛おしくて。
    思わず高い空に手を伸ばしてみても、もちろん僕を引き上げてくれるものはもう無い。
    それでも信号が変われば、足が勝手に走りだす。この街を駆ける僕はもう、一人だけれど独りじゃない。

    父さん。母さん。麻里。そして、KK。
    アジトの皆、同級生たち、それ以外にも。

    僕を待っていてくれるたくさんの人たちに、捧げたいことばがある。


    それは強いつよい祈りにも似た、僕なりの愛の気持ちー


    「おはよう!」
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    そういえばあの日も、あれから雨が降り始めて。まるで別れの涙のようだなんて思ったことを、覚えている。


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    これは、僕の罪の記憶。
    もう二度と同じことを繰り返さないために、ここに書き残しておくことにする。


    ーあの夜、KKはたしかに僕のなかから姿を消した。黒い靄が霧散するように消えて、僕の右の手のひらについた傷は何事もなく消えてなくなって。
    それくらい遺してくれたってかまわないと思っていた。だって、KKを思い出せる何もかもが消えてなくなってしまったような気がしたから。
    それでももう、きっと二度と逢えないのだと。そう覚悟は決めていたし、
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