GegyoGWT
DONE4月のお題「一泊二日」「鯉のぼり」「若葉」で書かせていただきました。いつもながら遅刻です。関東の地理はあやふやです。迷い鯉探し 思いがけない、一泊二日の旅行となった。
「お昼もおいしかったね」
「ああいうのが一番うまいんだよなぁ」
東京へ戻る新幹線の中で、暁人とKKはすっかり満足していた。アジトに戻って報告したら、きっと麻里や絵梨佳は羨ましがるだろう。凛子は少し呆れるかもしれない。
いくつも駅を通り過ぎるたび、車窓の景色はだんだんと街へ変わっていく。
きっかけは今回受けた依頼だった。東京を出て県境をふたつ跨ぎ、とある山間の町へ出向くことになった。暁人にとっては初めての、他県での仕事となる。
目的は既に達成している。マレビトとの交戦もあったが、なんとか無事に片付けられた。暁人は足元に置いたバッグを開き、中を確認した。
「見張らなくても、もう逃げやしねぇよ」
9943「お昼もおいしかったね」
「ああいうのが一番うまいんだよなぁ」
東京へ戻る新幹線の中で、暁人とKKはすっかり満足していた。アジトに戻って報告したら、きっと麻里や絵梨佳は羨ましがるだろう。凛子は少し呆れるかもしれない。
いくつも駅を通り過ぎるたび、車窓の景色はだんだんと街へ変わっていく。
きっかけは今回受けた依頼だった。東京を出て県境をふたつ跨ぎ、とある山間の町へ出向くことになった。暁人にとっては初めての、他県での仕事となる。
目的は既に達成している。マレビトとの交戦もあったが、なんとか無事に片付けられた。暁人は足元に置いたバッグを開き、中を確認した。
「見張らなくても、もう逃げやしねぇよ」
ポテトゾンビ
DONE #毎月25日はK暁デー4代目になってからの作品置き場。
毎月X(旧Twitter)に上げるのと同時にこちらにも追加していきます。
3代目運営様の間のデー作品置き場→ https://poipiku.com/2857944/9115210.html
それ以前のデー作品置き場→ https://poipiku.com/2857944/8535186.html
subaccount3210
DONE #毎月25日はK暁デー 『一泊二日』『鯉のぼり』『若葉』です食後にベランダで一服していると珍しく暁人がやってきて知ってると思うけど自動車の免許を取ったから連休にドライブに行こうと誘ってきた。若い女なら一発で落ちる誘い文句だがこちとら酸いも甘いも知った中年のおっさんである。
「何が目的だ」
紫煙をくゆらせながら問うと人聞きが悪いなと頬を膨らませる。成人男性のする仕草じゃねえぞと思うが顔がいいと許されるものだ。あとは何とかは盲目ってやつか。
「KKとなら安心して練習できるだろ」
そりゃあ交通課にいたこともあるが、取り締まる側であって指導する側ではない。しかし暁人は用意していたスマホのページを見せてくる。
「ここでさ、鯉のぼりのお祭りがあるんだって」
地域活性化やら観光客の呼び込みやら粗大ごみ削減やらで雛人形を大量に並べたり鯉のぼりを運動会の国旗のように展示するイベントが増えた。それは好きにすればいいと思うが成人男性二人で行って楽しいものなのだろうか。
1249「何が目的だ」
紫煙をくゆらせながら問うと人聞きが悪いなと頬を膨らませる。成人男性のする仕草じゃねえぞと思うが顔がいいと許されるものだ。あとは何とかは盲目ってやつか。
「KKとなら安心して練習できるだろ」
そりゃあ交通課にいたこともあるが、取り締まる側であって指導する側ではない。しかし暁人は用意していたスマホのページを見せてくる。
「ここでさ、鯉のぼりのお祭りがあるんだって」
地域活性化やら観光客の呼び込みやら粗大ごみ削減やらで雛人形を大量に並べたり鯉のぼりを運動会の国旗のように展示するイベントが増えた。それは好きにすればいいと思うが成人男性二人で行って楽しいものなのだろうか。
GegyoGWT
DONE3月のお題「門出」「彼岸」で書かせていただきました。ふわふわしてます。昨年2月のお題からの流れを踏まえております。愛情流転 天狗がふわふわの新入りを見せに来た。
「えっかわいい」
「なにこれ、かわいい」
さっそく絵梨佳と麻里に構われているそれは、見た目はほとんどカラスの雛だ。
しかし頭には一丁前に頭巾をつけ、橙色の括袴に短い腕を通し、真っ白な梵天房がついた新品の結袈裟をつけている。そうして黄色い目をぱちくりとさせて、女子高生二人を交互に見つめていた。
ぎゃあぎゃあと鳴く天狗曰く、この春に群れに加わった幼天狗だという。いつか世話になるかもしれないので、どうぞよしなに、と。
ひとしきり挨拶を交わすと、大小の天狗はばさりと飛び立ち春風に消えた。
「やっぱ天狗ってのは、義理堅い連中みたいだな」
KKが煙草を吹かしながら言った。
アジトのリビングでは、エドが妖怪のこどもだと興奮してレコーダーをめちゃくちゃに再生し、凛子に窘められている。絵梨佳と麻里は、はしゃぎながらカメラロールを確認し、レンズが妖怪を捉えられなかったことに落胆していた。
6085「えっかわいい」
「なにこれ、かわいい」
さっそく絵梨佳と麻里に構われているそれは、見た目はほとんどカラスの雛だ。
しかし頭には一丁前に頭巾をつけ、橙色の括袴に短い腕を通し、真っ白な梵天房がついた新品の結袈裟をつけている。そうして黄色い目をぱちくりとさせて、女子高生二人を交互に見つめていた。
ぎゃあぎゃあと鳴く天狗曰く、この春に群れに加わった幼天狗だという。いつか世話になるかもしれないので、どうぞよしなに、と。
ひとしきり挨拶を交わすと、大小の天狗はばさりと飛び立ち春風に消えた。
「やっぱ天狗ってのは、義理堅い連中みたいだな」
KKが煙草を吹かしながら言った。
アジトのリビングでは、エドが妖怪のこどもだと興奮してレコーダーをめちゃくちゃに再生し、凛子に窘められている。絵梨佳と麻里は、はしゃぎながらカメラロールを確認し、レンズが妖怪を捉えられなかったことに落胆していた。
GegyoGWT
DONE2月のお題「梅」で書かせていただきました。昨年2月のお題で書きました『春の兆し』、『春の末』を踏まえております。おじさんの恋のお話です。梅の綻び 老いらくの恋は成就したか。
アジトのベランダで、雨を眺めながら煙草を吹かす。立春はとうに過ぎ、先週に雨水を迎えた。目前に迫るは啓蟄。にわかには信じがたいがもう春だ。
過ぎてみれば、今年の冬は随分の急ぎ足で去っていったものだ。待ち人でもいたのかもしれない。道路を凍結させ日本中の交通網を麻痺させ、雪を降らせてかよわい人間の免疫力を下げにかかる、そんなつまらない仕事に励むよりも、神さびたどこか遠くに会いたい人がいたのかも。
ぼんやりと考えていたKKは思わずふっと笑いを零した。我ながら、随分と浮かれた思考だ。季節が啓蟄を待っているなら、自分を待っているのは五十路だ。そんな歳にもなって、頭は若い恋人のことを考え、心は恋情で春めいている。
4062アジトのベランダで、雨を眺めながら煙草を吹かす。立春はとうに過ぎ、先週に雨水を迎えた。目前に迫るは啓蟄。にわかには信じがたいがもう春だ。
過ぎてみれば、今年の冬は随分の急ぎ足で去っていったものだ。待ち人でもいたのかもしれない。道路を凍結させ日本中の交通網を麻痺させ、雪を降らせてかよわい人間の免疫力を下げにかかる、そんなつまらない仕事に励むよりも、神さびたどこか遠くに会いたい人がいたのかも。
ぼんやりと考えていたKKは思わずふっと笑いを零した。我ながら、随分と浮かれた思考だ。季節が啓蟄を待っているなら、自分を待っているのは五十路だ。そんな歳にもなって、頭は若い恋人のことを考え、心は恋情で春めいている。
pasono_ri
DOODLEK暁 #毎月25日はK暁デーバレンタイン、ホワイトデー
イベント内にてネップリもしております。詳しくは下に。
2/25 オンイベ リンク先 https://privatter.net/p/10688405
祟久⛩️-Suiku-
DONE #邂逅照らす明けの明星#毎月25日はK暁デー
開催おめでとうございます!!
K暁デーネップリアンソロ企画に参加していますのでよろしくお願いいたします☺️
お題:「バレンタイン」「ホワイトデー」
甘い想いをたっぷり込めて、ちょっぴり甘くてビターな彼に精一杯のプレゼント❤️/
マカロンに込める想いは「特別な人」。場違いにも程がある煌びやかな店で悩んで買ったんだ、味わって食べてくれよ。 2
GegyoGWT
DONE12月のお題「蕎麦」で書かせていただきました。大遅刻ですが25日の話です。二人が25日にお蕎麦を食べるだけの話です。続き物の流れですが、これ単体でも大丈夫です。来年もどうぞよろしくお願いいたします。望まで少し 二十五日の夜は満月だった。
いや実際には月齢十二・一で望月ではなかったのだが、見た目にはほぼ円かに見えた。
「月見そばでも食べようか」
暁人の言葉に、KKは暁人の顔と、それから視線を追って空を見上げ、小さく笑った。
ここから一番近い蕎麦の店、を検索しようとする暁人を置いて、KKはさっさと歩き出す。
「え、どこ行くの?」
「蕎麦屋だろ」
「近い店わかるの?」
「何年、渋谷を駆け回ってると思ってんだよ」
それと、と思い出したようにKKは振り向いた。
「これから夕飯だから連絡してくんなって、凛子に言っとけ」
「自分で言えよな」
そうして、また雑踏の中を先に行ってしまう。その背を眺めてため息をつき、暁人は凛子にメッセージを送った。――これから休憩を取ります。
5049いや実際には月齢十二・一で望月ではなかったのだが、見た目にはほぼ円かに見えた。
「月見そばでも食べようか」
暁人の言葉に、KKは暁人の顔と、それから視線を追って空を見上げ、小さく笑った。
ここから一番近い蕎麦の店、を検索しようとする暁人を置いて、KKはさっさと歩き出す。
「え、どこ行くの?」
「蕎麦屋だろ」
「近い店わかるの?」
「何年、渋谷を駆け回ってると思ってんだよ」
それと、と思い出したようにKKは振り向いた。
「これから夕飯だから連絡してくんなって、凛子に言っとけ」
「自分で言えよな」
そうして、また雑踏の中を先に行ってしまう。その背を眺めてため息をつき、暁人は凛子にメッセージを送った。――これから休憩を取ります。
もちこの本棚📖
DONE11月のK暁デー、お題は『チョコレートケーキ』『こたつ』で書かせていただきました!先月の話の続きにはなりますが、単体でも読めます👌🏻´-
甘美な菓子と炬燵の誘惑「週末の天気は晴れ、一二月下旬頃のような気温になり、最低気温は……」
テレビで流れる天気予報は、今週末が一段と冷えることを示していた。それを見ていた暁人が「早めに冬支度をしておいて、正解だったね」と夕飯の準備をしながらKKに語りかける。
「今年は随分と過ごしにくいな、日中は春みたいな気温だってのに」
「本当にね、体調崩さないようにしないと」
今日の夕飯は生姜をたっぷり使ったスープと、スタミナがつくようにと豚キムチにした。キッチンから香る美味しそうな匂いにKKの腹の虫が鳴く。
「お待たせKK、ご飯にしよっか」
ぱたん、と読んでいた本を閉じてKKが食事の準備を始める。ダイニングテーブルの上に色違いで購入したランチョンマットを敷いて、箸を置く。今日は酒を飲んでもいい日だと、グラスにビールを注いでいく。
2265テレビで流れる天気予報は、今週末が一段と冷えることを示していた。それを見ていた暁人が「早めに冬支度をしておいて、正解だったね」と夕飯の準備をしながらKKに語りかける。
「今年は随分と過ごしにくいな、日中は春みたいな気温だってのに」
「本当にね、体調崩さないようにしないと」
今日の夕飯は生姜をたっぷり使ったスープと、スタミナがつくようにと豚キムチにした。キッチンから香る美味しそうな匂いにKKの腹の虫が鳴く。
「お待たせKK、ご飯にしよっか」
ぱたん、と読んでいた本を閉じてKKが食事の準備を始める。ダイニングテーブルの上に色違いで購入したランチョンマットを敷いて、箸を置く。今日は酒を飲んでもいい日だと、グラスにビールを注いでいく。
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DONE #毎月25日はK暁デー「チョコレートケーキ」「こたつ」「七五三」
付き合ってるけあき
こたつに入ってチョコレートケーキを食べながら暁人の七五三の写真を見ている。
「いや雑すぎるだろ」
「何が?」
「何がってわけじゃねえが……こう、雑だろ」
同じ言葉を繰り返すKKに暁人は首を傾けた。
こたつは高騰する電気代を少しでも節約するために安く入手したもので一人暮らしで暁人くらいしか来訪しないというかさせないKKの家にはちょうど良いサイズだ。
こたつ布団も安価なものですませているが、暁人が肌触りと洗濯できることを重視したので入ってみるとこれがなかなかいい。こたつ初体験だった暁人は時々コタツムリ(KKの命名だ)になって寝かけてKKにベッドにつれていかれるほど愛用している。
一度ここで事に及んだ時は暑さで死にかけたが。以降はKKが必ず電源を切るので逆にそれが合図になってしまった。
1882「いや雑すぎるだろ」
「何が?」
「何がってわけじゃねえが……こう、雑だろ」
同じ言葉を繰り返すKKに暁人は首を傾けた。
こたつは高騰する電気代を少しでも節約するために安く入手したもので一人暮らしで暁人くらいしか来訪しないというかさせないKKの家にはちょうど良いサイズだ。
こたつ布団も安価なものですませているが、暁人が肌触りと洗濯できることを重視したので入ってみるとこれがなかなかいい。こたつ初体験だった暁人は時々コタツムリ(KKの命名だ)になって寝かけてKKにベッドにつれていかれるほど愛用している。
一度ここで事に及んだ時は暑さで死にかけたが。以降はKKが必ず電源を切るので逆にそれが合図になってしまった。
dead_man_1234
DONE👻ワイ。#毎月25日はK暁デー より「trick or treat」で参加させて頂きます。遅刻しました。
Love begets love. ハロウィンねぇ、けったいなイベントだよまったく。
はぁと溜息をつくKKの視線の先、特に見るものはないがつけているテレビに当日来ないで、集まらないでと繰り返し発言する市長がうつっている。
「現役時代もやっぱり大変だった?」
「俺が交番でお巡りサンしてた頃はハロウィンはこんな大層なもんじゃなかったよ。だがまあクリスマスだのイベントの時は大変だったな」
尋ねると、その頃を思い出したのかKKは眉を顰めて、全員が楽しみたくて集まるだけじゃねぇ。盛り上がるそいつら狙って悪いやつも集まってくる。と言って缶ビールを煽った。
「今は犯罪も複雑化してるしよ、所轄全員駆り出されてそうだ。それに当日夜は俺たちも忙しいぞ。人が集まるって事はそれだけマレビトも湧くって事だからな」
2853はぁと溜息をつくKKの視線の先、特に見るものはないがつけているテレビに当日来ないで、集まらないでと繰り返し発言する市長がうつっている。
「現役時代もやっぱり大変だった?」
「俺が交番でお巡りサンしてた頃はハロウィンはこんな大層なもんじゃなかったよ。だがまあクリスマスだのイベントの時は大変だったな」
尋ねると、その頃を思い出したのかKKは眉を顰めて、全員が楽しみたくて集まるだけじゃねぇ。盛り上がるそいつら狙って悪いやつも集まってくる。と言って缶ビールを煽った。
「今は犯罪も複雑化してるしよ、所轄全員駆り出されてそうだ。それに当日夜は俺たちも忙しいぞ。人が集まるって事はそれだけマレビトも湧くって事だからな」
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DONE10月のK暁デー、お題は「冬支度」「鍋」で書かせていただきました。同棲する二人の冬の先取り。
冬の先取り「へっくしゅんッ」
暁人が唐突にくしゃみをする。それもそのはず、部屋の室温は18℃を下回っていた。
「はぁ…朝晩は寒い時期になったね…」
「ほら、風邪ひくから暖かくしろ」
KKがピッとエアコンのスイッチを入れると、徐々に部屋が暖まっていく。なんと心地のいい事か。
「電気代節約しなきゃって思ったけど…よく良く考えれば、風邪ひいて病院で診てもらったり、薬代がかかるよりはマシかもね」
「今年はいろんな風邪が流行ってるみたいだからな」
暁人はまだ暖まりきっていない台所へと足早に向かって、電気ケトルでお湯を沸かし始める。
「KK、コーヒーと紅茶、どっちがいい?」
「コーヒー、熱めのやつな」
お揃いで買ったマグカップにインスタントのコーヒーとお湯を注いでいくと、すぐにコーヒーの香りが辺りに漂い出す。テーブルにマグカップを置き、二人がけのソファに腰掛けると、すぐ隣にKKが座った。
1842暁人が唐突にくしゃみをする。それもそのはず、部屋の室温は18℃を下回っていた。
「はぁ…朝晩は寒い時期になったね…」
「ほら、風邪ひくから暖かくしろ」
KKがピッとエアコンのスイッチを入れると、徐々に部屋が暖まっていく。なんと心地のいい事か。
「電気代節約しなきゃって思ったけど…よく良く考えれば、風邪ひいて病院で診てもらったり、薬代がかかるよりはマシかもね」
「今年はいろんな風邪が流行ってるみたいだからな」
暁人はまだ暖まりきっていない台所へと足早に向かって、電気ケトルでお湯を沸かし始める。
「KK、コーヒーと紅茶、どっちがいい?」
「コーヒー、熱めのやつな」
お揃いで買ったマグカップにインスタントのコーヒーとお湯を注いでいくと、すぐにコーヒーの香りが辺りに漂い出す。テーブルにマグカップを置き、二人がけのソファに腰掛けると、すぐ隣にKKが座った。
臓物(GwT)
DONE毎月25日はK暁デーお題『trick or treat』で書かせて頂きました!
イタズラは後払いでお願いします。 布団を被り、熱で潤む目でぼんやりと天井を眺めながら、暁人はひとり思う。
──渋谷のハロウィーンを舐めていた。
兎にも角にも、この一言に尽きる。
◇ ◇ ◇
盆・彼岸・ハロウィーンの時期は、彼の世と此の世を繋ぐ道が開き、帰って来る死者に混じって厄介な魔や怪が人間を狙いにやって来る。
『我々にとっては稼ぎ時になる。つまり繁忙期、休む間もないという事になるけれど、今年は暁人と麻里が加わったことだし、ボクらも多少楽になると信じたいね』
そもそもはヨーロッパを発祥とする秋の収穫祭で云々──と、長々しいうんちくと共にボイスレコーダー越しにエドから期待の言葉を貰った暁人は、それに応えるべく張り切っていた。
凛子やデイル、歳下ではあるが仕事上の先輩に当たる絵梨佳と、(兄として心配は捨てきれないけれど)適合者として自分より力があるという妹の麻里、そして心強い相棒のKKと共に、いざ夜の渋谷へと勇んでみたはいいが。
3844──渋谷のハロウィーンを舐めていた。
兎にも角にも、この一言に尽きる。
◇ ◇ ◇
盆・彼岸・ハロウィーンの時期は、彼の世と此の世を繋ぐ道が開き、帰って来る死者に混じって厄介な魔や怪が人間を狙いにやって来る。
『我々にとっては稼ぎ時になる。つまり繁忙期、休む間もないという事になるけれど、今年は暁人と麻里が加わったことだし、ボクらも多少楽になると信じたいね』
そもそもはヨーロッパを発祥とする秋の収穫祭で云々──と、長々しいうんちくと共にボイスレコーダー越しにエドから期待の言葉を貰った暁人は、それに応えるべく張り切っていた。
凛子やデイル、歳下ではあるが仕事上の先輩に当たる絵梨佳と、(兄として心配は捨てきれないけれど)適合者として自分より力があるという妹の麻里、そして心強い相棒のKKと共に、いざ夜の渋谷へと勇んでみたはいいが。
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DONE9月のK暁デー、お題は【紅葉】で書かせていただきました。いつもの幽霊けっけのお話です👻🍁【お題:紅葉】「朝晩は冷えるようになったね、やっと秋がきたかな」
『そうだな、風邪ひくんじゃねぇぞ』
例年より長く続いた猛暑は突然終わりを迎え、漸く秋らしい気候になった。空はすっかり秋空模様へと変わり、朝晩は少し肌寒いものの過ごしやすい気温になった。
「そういえば、近くの公園の紅葉がすごく綺麗なんだって。木霊が教えてくれたよ」
『ほう、紅葉か…四季を楽しむのはいいことだ、散歩がてら行ってみるか』
「うん」
人が少ない時間帯が良いと、出発は夜になった。上着を羽織り、バイクで目的地の公園へと向かう。そこには真っ赤に染まった楓の木々たちがあった。
「少し前までは青々としていたのに、すごいね」
『綺麗に真っ赤になったな、立派なもんだよ』
1665『そうだな、風邪ひくんじゃねぇぞ』
例年より長く続いた猛暑は突然終わりを迎え、漸く秋らしい気候になった。空はすっかり秋空模様へと変わり、朝晩は少し肌寒いものの過ごしやすい気温になった。
「そういえば、近くの公園の紅葉がすごく綺麗なんだって。木霊が教えてくれたよ」
『ほう、紅葉か…四季を楽しむのはいいことだ、散歩がてら行ってみるか』
「うん」
人が少ない時間帯が良いと、出発は夜になった。上着を羽織り、バイクで目的地の公園へと向かう。そこには真っ赤に染まった楓の木々たちがあった。
「少し前までは青々としていたのに、すごいね」
『綺麗に真っ赤になったな、立派なもんだよ』
dead_man_1234
DOODLE👻ワイ。K暁。お祭りに行く話。祟り屋さんがちらっと出る。#毎月25日はK暁デー に「満月」「月見」で参加させて頂きました。月明に対して往事を思ふことなかれ 妖怪達に人間ブームが来たらしい。聞けばブームと行っても真似事、ごっこ遊びの延長のようなものだった。
あの夜猫又たちが店を開いていたのを見ていた妖怪たちが自分たちもと言い出したのが発端で、人間たちのやっている夏祭りのように夜店を開きたいという願いに金のにおいを敏感に感じ取った猫又の親分が元締めとなって彼らが見えかつ話のわかる老いた神主に話をつけ、小規模な納涼祭(のような集まり)をするので是非お二人もと使いに出された雑用係の猫又が僕らのもとを訪れたのは数日前だ。
手渡された"満月祭"と達筆な字で書かれ肉球の判を押された一枚のチラシを2人覗き込む。はて、この日は満月ではなかったような。
5467あの夜猫又たちが店を開いていたのを見ていた妖怪たちが自分たちもと言い出したのが発端で、人間たちのやっている夏祭りのように夜店を開きたいという願いに金のにおいを敏感に感じ取った猫又の親分が元締めとなって彼らが見えかつ話のわかる老いた神主に話をつけ、小規模な納涼祭(のような集まり)をするので是非お二人もと使いに出された雑用係の猫又が僕らのもとを訪れたのは数日前だ。
手渡された"満月祭"と達筆な字で書かれ肉球の判を押された一枚のチラシを2人覗き込む。はて、この日は満月ではなかったような。
臓物(GwT)
DONE #毎月25日はK暁デーお題「おやすみ」で参加させて頂きます🌛*゜
未練を抱えて戻ってきたケケと、一人じゃ眠れないaktくん。
一部、大好きな曲の歌詞からふんわり引用してる箇所があります🍼🤍
同内容のものをポイピクにもUPしておきます。ベッターにはまとまってきた頃合いで出しますね〜!
※Twitterに上げたものと同じ内容です。 4
もちこの本棚📖
DONE8月のK暁デー、お題『おやすみ』で書かせていただきました!こちらはいつもの幽霊シリーズの短編になります、いつものやつです( ˇωˇ )
お題『おやすみ』「おやすみ、KK」
『おう、おやすみ』
眠ることがない幽霊となった相棒に対しても、暁人は必ず「おやすみ」と声をかけることにしていた。
それにこだわりがあるのをKKも何となく察していてKKも必ず「おやすみ」と返した。
眠りについた暁人を見守りながら、KKは夜が明けるのを待つ。暁人が悪夢に魘されればその原因を断つために夢に入り込むが、何も起きないに越したことはない。
人の姿をとり、暁人の横に寝転がるようにする。長い睫毛に健康的な肌、血色の良い唇をまじまじと眺める。一通り眺めたあとは半透明の手を暁人の頬にそっと添える。
『…こんな綺麗な顔してんだ。オレが戻ってこなかったら、今頃奥さんも子供もいたんだろうな』
暁人が聞いたら怒りそうなことを呟き、呟いてしまった傍から口にしたことを後悔した。
1301『おう、おやすみ』
眠ることがない幽霊となった相棒に対しても、暁人は必ず「おやすみ」と声をかけることにしていた。
それにこだわりがあるのをKKも何となく察していてKKも必ず「おやすみ」と返した。
眠りについた暁人を見守りながら、KKは夜が明けるのを待つ。暁人が悪夢に魘されればその原因を断つために夢に入り込むが、何も起きないに越したことはない。
人の姿をとり、暁人の横に寝転がるようにする。長い睫毛に健康的な肌、血色の良い唇をまじまじと眺める。一通り眺めたあとは半透明の手を暁人の頬にそっと添える。
『…こんな綺麗な顔してんだ。オレが戻ってこなかったら、今頃奥さんも子供もいたんだろうな』
暁人が聞いたら怒りそうなことを呟き、呟いてしまった傍から口にしたことを後悔した。
もちこの本棚📖
DONE8月のK暁デー、お題『お月見』で書かせていただきました!こちらも短いですが生存if、同棲設定です⚠
お題『お月見』「暁人、明日は月見するぞ 」
KKからの提案でお月見をすることになった。七夕は小さい頃からやっていたが、お月見は初めてだった。お月見には何をするかと調べて、月見団子やススキを用意しちょっと良い酒も用意した。
「こうしてじっくり月を眺めるの、あの赤い月の観測以来かも」
「あー、そういえばあったな」
「覚えてる?KKだったら月がどう見えるかって聞いた事」
「覚えてる、月見そばの卵だって言ったな」
「それそれ、例え方が可愛いなぁって」
月見団子をひとくち食べ、暁人がKKに笑いかけた。
「…こうして、生きているKKと一緒に過ごせるとは思わなかったな」
「奇跡とやらに感謝しないとな」
酒を嗜みながらKKが笑う。
「もし、KKがかぐや姫みたいに月に帰っちゃっても僕が取り戻しに行くからね」
618KKからの提案でお月見をすることになった。七夕は小さい頃からやっていたが、お月見は初めてだった。お月見には何をするかと調べて、月見団子やススキを用意しちょっと良い酒も用意した。
「こうしてじっくり月を眺めるの、あの赤い月の観測以来かも」
「あー、そういえばあったな」
「覚えてる?KKだったら月がどう見えるかって聞いた事」
「覚えてる、月見そばの卵だって言ったな」
「それそれ、例え方が可愛いなぁって」
月見団子をひとくち食べ、暁人がKKに笑いかけた。
「…こうして、生きているKKと一緒に過ごせるとは思わなかったな」
「奇跡とやらに感謝しないとな」
酒を嗜みながらKKが笑う。
「もし、KKがかぐや姫みたいに月に帰っちゃっても僕が取り戻しに行くからね」
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DONE8月のK暁デー、お題『満月』で書かせていただきました!🌕すごく短いですが生存if、同棲設定です⚠
お題『満月』「月が綺麗だね」
ベランダで2人並んで月を見上げていると、暁人がそう呟いた。そのままの意味で呟いたわけではないのは明白で、オレは少し笑いながら
「今日は満月だからなぁ」と返した。
「…そうじゃなくて」
味気ないオレの返答に暁人がムッとした表情になる。可愛らしい反応につい口角が上がった。
「そんなの、言わなくてもわかるだろ?」
咥えていた煙草をそっと離し暁人に接近するも、口付けすることはなくまた離れる。暁人がじれったそうにオレを見つめて悔しげな表情を浮かべるのがなんとも堪らなくて。
「…オマエと見る月だから、良いんだよ」
そうして、ふぅと煙草の煙を暁人に吹きかける。
「うわッ、煙いんだけどッ」
「嫌いじゃねぇだろ」
非喫煙者の暁人でもオレの吸っている煙草の香りは嫌いじゃないらしく、むしろ好きな部類に入るほうだと言っていた。だからこうして隣で吸っても文句は言われない。
625ベランダで2人並んで月を見上げていると、暁人がそう呟いた。そのままの意味で呟いたわけではないのは明白で、オレは少し笑いながら
「今日は満月だからなぁ」と返した。
「…そうじゃなくて」
味気ないオレの返答に暁人がムッとした表情になる。可愛らしい反応につい口角が上がった。
「そんなの、言わなくてもわかるだろ?」
咥えていた煙草をそっと離し暁人に接近するも、口付けすることはなくまた離れる。暁人がじれったそうにオレを見つめて悔しげな表情を浮かべるのがなんとも堪らなくて。
「…オマエと見る月だから、良いんだよ」
そうして、ふぅと煙草の煙を暁人に吹きかける。
「うわッ、煙いんだけどッ」
「嫌いじゃねぇだろ」
非喫煙者の暁人でもオレの吸っている煙草の香りは嫌いじゃないらしく、むしろ好きな部類に入るほうだと言っていた。だからこうして隣で吸っても文句は言われない。
リキュール
DONE #毎月25日はK暁デー7月お題【宿題】を書かせていただきました。またも大大大遅刻。
可愛いこと言い出すあきとくんとそんな可愛いやつを甘やかしちゃうけけの話。
美味しいもの食べるあきとくん。
生姜の辛味は何にでも合う気がする。
甘やかしには辛味を足して七月、それはある者にとっては書き入れ時、またある者にとってはただの平日、そして僕らの様な学生にとっては長い夏休みの始まりである。
休みに何しようかと楽しそうに予定を立てる友人たちを横目に僕は頭を抱えていた。
夏は夜に肝試しをする若者が増える季節ということもあってか、禁足地や事故物件が騒がしくなり毎夜KKと共にパトロールに精を出していたのだが、そんなこんなで忙しくしていたので、すっかり忘れていたのだ。
前期の試験やレポートは問題ないが、引き続き後期でも受講する選択科目の講義には宿題が存在することを…!
普通ならば夏休み中にやればいいんだから焦らなくても、なんて思うだろうがこれは資料集めが厄介で、どれも大学の図書館にしか無いようなものばかり。休みに入る前に資料の検討をつけてコピーしなくてはならないのである。ただでさえ難しい科目で前期レポートもギリギリだったのだ、生半可なレポートは出せまい。夏休み中も図書館に来ることはできるが休みには遠出の依頼があるため資料を求めて毎回行くわけにはいかず、できるだけ必要な資料は今のうちにまとめておきたい。それにあわよくばKKとの時間ももっと確保できれば…大丈夫僕ならやれる。
4984休みに何しようかと楽しそうに予定を立てる友人たちを横目に僕は頭を抱えていた。
夏は夜に肝試しをする若者が増える季節ということもあってか、禁足地や事故物件が騒がしくなり毎夜KKと共にパトロールに精を出していたのだが、そんなこんなで忙しくしていたので、すっかり忘れていたのだ。
前期の試験やレポートは問題ないが、引き続き後期でも受講する選択科目の講義には宿題が存在することを…!
普通ならば夏休み中にやればいいんだから焦らなくても、なんて思うだろうがこれは資料集めが厄介で、どれも大学の図書館にしか無いようなものばかり。休みに入る前に資料の検討をつけてコピーしなくてはならないのである。ただでさえ難しい科目で前期レポートもギリギリだったのだ、生半可なレポートは出せまい。夏休み中も図書館に来ることはできるが休みには遠出の依頼があるため資料を求めて毎回行くわけにはいかず、できるだけ必要な資料は今のうちにまとめておきたい。それにあわよくばKKとの時間ももっと確保できれば…大丈夫僕ならやれる。
ことざき
DONE7月の#毎月25日はK暁デー、参加作品です。お題は『熱帯夜』『蛍』『宿題』です。
支部にも同じものをあげています。
蛍火を追って 暁人がふと目を覚ますと、隣にあるはずの人影が見えなかった。
トイレだろうかと寝ぼけ眼で寝返りをうちながら、何気なく伸ばした指先に、しわくちゃになったシーツが触れる。柔らかな布地がすっかり冷房に冷やされてしまっていることに気付いて、暁人は今度こそはっきりと目を見開いた。
常夜灯の明かりを頼りに枕元を探って、己のスマートフォンを引き寄せる。
時刻は午前零時二十分。
目に痛いほどのディスプレイの光に眉をひそめながら、暁人はのそりと起き上がった。
照明の点いていない廊下は、ひどく蒸し暑かった。暁人の額に汗が噴きだす。
あのまま涼しい寝室でまどろんでいれば、遠からずKKは戻って来ただろう。分かっていても、暁人は待てなかった。
5935トイレだろうかと寝ぼけ眼で寝返りをうちながら、何気なく伸ばした指先に、しわくちゃになったシーツが触れる。柔らかな布地がすっかり冷房に冷やされてしまっていることに気付いて、暁人は今度こそはっきりと目を見開いた。
常夜灯の明かりを頼りに枕元を探って、己のスマートフォンを引き寄せる。
時刻は午前零時二十分。
目に痛いほどのディスプレイの光に眉をひそめながら、暁人はのそりと起き上がった。
照明の点いていない廊下は、ひどく蒸し暑かった。暁人の額に汗が噴きだす。
あのまま涼しい寝室でまどろんでいれば、遠からずKKは戻って来ただろう。分かっていても、暁人は待てなかった。
ことざき
DONE5月の #毎月25日はK暁デー、初参加作品でした。お題:『雨のち晴れ』『水たまり』『母の日』です。
支部にも同じものを投稿していますが、こちらにもあげます。
雨止みを待つ 二人が週末のたびに食事をともにするようになってから、季節がふたつ巡った。
すっきりしない曇天が、夜明け前にとうとう雨に変わった。時計の短針が八の字を過ぎても、カーテンのわずかな隙間から覗く空は薄暗いままだ。
KKはくわりと大口を開けてあくびをすると、緩慢な動きでベッドから起き上がった。
昨日の宵の口に始まったマレビトとの鬼事に決着がついたのは、そろそろ日付変更線を越えようかという頃合いだった。普段からすればかなり早い時刻の決着だったが、そのせいで現場には人の気配が途切れず、かえって後始末に手こずった。人目を引かぬよう満足に暴れられなかった鬱屈もあって眠りは浅く、おかげで今朝は寝不足ぎみだった。
10143すっきりしない曇天が、夜明け前にとうとう雨に変わった。時計の短針が八の字を過ぎても、カーテンのわずかな隙間から覗く空は薄暗いままだ。
KKはくわりと大口を開けてあくびをすると、緩慢な動きでベッドから起き上がった。
昨日の宵の口に始まったマレビトとの鬼事に決着がついたのは、そろそろ日付変更線を越えようかという頃合いだった。普段からすればかなり早い時刻の決着だったが、そのせいで現場には人の気配が途切れず、かえって後始末に手こずった。人目を引かぬよう満足に暴れられなかった鬱屈もあって眠りは浅く、おかげで今朝は寝不足ぎみだった。