ぞんざいに手渡されたのは茜色の特攻服。オマエの分だ。隊長はそう短く告げて窓の外へと視線を向ける。どうせ外に興味があるわけじゃない。オレの顔色を確かめる気もないってことだ。オレが隊長に従わないなんてこと、きっと考えてもいないんだろう。それとも興味すらないのかもしれない。隊長にとって、オレは窓の外の曇り空と同じぐらい興味がない。隊長の頭の中なんて、どうせ1から10まで「イザナ」のことばっかりだ。
「…オレの分て、どういうことですか」
「横浜へ戻る」
　戻る、そのひとことが隊長の正体だった。
　目の前にいる黒の特服姿は偽物で。オレはそんなことただの一言も知らされていなかった。
　隊長にとってオレはその程度なのだと知らされたことに、そんなことを思う女々しい自分に、どうしようもなく怒りがこみ上げる。

春マイ 2006/8/222021/11/10补充：标题时间线算错了，原作时间轴算下来事发可能在七月底八月初。



2006/8/22

蝉鸣。
佐野推着卸掉排气管的摩托车到院子里的时候，才听到大门被人敲得砰砰响。
如果是门铃，院子一角改造间里的佐野就可以早一点听见，本家的房间内自然也听得见，今天的来客似乎不想让家主知道自己的造访，用了这样愚痴的方法。
确认来客的佐野，看见的是已经失踪大半年的前五队副队长，就算说是“前”，这个位置在三途走后也是空着直到解散。
今天的三途没有口罩，穿戴整齐，背后是他常开的车，除了衣服，人却不和整齐沾边，本应该高自己半头多的人，蜷着背靠在门框旁上，尽管下午的太阳烧得木门框火热，汗液从束向后面的发根渗出，两手扼在相对的手肘上。佐野本想找个玩笑调侃一下半年不见的下属，见到三途的状态，好像不是自己该打趣的样子，异常的汗量和代步的车，以及沾湿的脖子和情况相反的领口。

珈琲のようにほろ苦い恋心好きだと言う気持ちは誰にも止められない。それが、たとえ男同士だとしても関係はない。愛すると言うことは、こんなにも心を強くしてくれる…。

三途春千夜はボーとしながら、ベランダで煙草を吹かす男の横顔を見つめていた…。三途はこの横顔が大好きだった。三途も男だが、この男に特別な感情を抱いていた。これは恋心と言うのだろうか？三途は男に近づいた。そして声を掛けた。
「隊長…、オレと付き合ってください…」
三途はずっと我慢していた。この男に自分を認めてもらいたかったのだ。恋人になりたい、そう思っていた。男は三途の言葉に絶句した。何を言われたか理解が出来なかった。

三途が隊長と呼ぶ、この男の名は武藤泰宏だ。武藤はようやく三途の言うことを理解した。

　ぞんざいに手渡されたのは茜色の特攻服。オマエの分だ。隊長はそう短く告げて窓の外へと視線を向ける。どうせ外に興味があるわけじゃない。オレの顔色を確かめる気もないってことだ。オレが隊長に従わないなんてこと、きっと考えてもいないんだろう。それとも興味すらないのかもしれない。隊長にとって、オレは窓の外の曇り空と同じぐらい興味がない。隊長の頭の中なんて、どうせ1から10まで「イザナ」のことばっかりだ。
「…オレの分て、どういうことですか」
「横浜へ戻る」
　戻る、そのひとことが隊長の正体だった。
　目の前にいる黒の特服姿は偽物で。オレはそんなことただの一言も知らされていなかった。
　隊長にとってオレはその程度なのだと知らされたことに、そんなことを思う女々しい自分に、どうしようもなく怒りがこみ上げる。