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    尻叩きセクピスパロ蘭みつ。圧倒的途中
    半重種蛇🌸×中間種猫🍯

    セクピスパロ蘭みつ この世界には猿人と斑類の2種類の人間が存在する。斑類はその3割程度しか存在しないが、三ツ谷の周りには割と斑類は多く存在していた。
     東京卍會の幹部連中なんかは殆どそうであったし、三ツ谷自身もそうだった。途中で花垣が先祖返りとして覚醒したときはそれはもうどっちゃんどっちゃん大騒ぎをしたものだが、それももう一種の良い思い出である。
     そんな感じで高校生になった今でも彼らとは相変わらず仲間であるし、あの頃はな〜なんて語り合ったりもする。
     高校生になると斑類の周りでは許嫁などブリーフィングなどの単語が飛び交うようになった。それに斑類は性に対して割と奔放なので、誰と誰がヤったとかそういうのも聞こえてくる。
     三ツ谷自身はまだ誰とも交わったことはなかったけれど。
     話題が移り変わりつつも、誰も欠けずに平穏な高校生活を満喫していた。
     そう、何も変わらず。
     ……否、それは表面的だけ。三ツ谷はまだ誰にも言えないことがあった。
     自分に許婚と呼ぶ存在ができたなんて、仲間内の誰にも話すことができないでいた。

     それは突然のことだった。母から許婚が居ると聞かされたのである。
     三ツ谷家は猫又の家系であり、長男である彼自身も猫又の中間種であった。既に居ない父親が恐らく中間種だったと思う。母は軽種でこちらも猫又であった。
     中間種というのは割と気軽であり、親からも重種と子供を作れなどとは言われたことがないのでふらふらと毎日を生きていた。
     これまで結婚も子作りも急かされたり、なんなら話題にすら上がったことはなかった。そんな家であるのに許婚。目から鱗。
     どうやらそれは母方の祖父が進めていた話らしい。会ったことなんて幼い頃の数回程度しかなかった筈なのだけれど。なんなら死んだとも思っていた。
     母に聞いたら生きては居たらしい。ただ割と面倒事に巻き込まれやすく家族とは縁を切っていたとかなんとか。怪しい匂いがしてきたが、自分が聞いても恐らく確信を得るような答えは帰ってこないだろう。
     しかもその許婚の話、どうやら最近できた話らしい。生まれた時とかそういう次元ではなく、ほんとに直近。
     頭に過ぎったのは“売られた”ということ。斑類においてはよくあることだ。ただそれが自分に降りかかるとは思いもしなかっただけで。
     母がとても申し訳なさそうに眉を下げる。そんな母の様子はなんだか痛々しく見えた。
     正直自分には現時点で好いていたり結婚したいと思う人間は居ない。そもそも自分でいいのか、と相手にも少し同情してしまう。
     だから。
    「一回会ってみてそっからだな」
     母を安心させたい一心で、今の三ツ谷にできる最高の笑顔を作り出した。


     会う機会は割とすぐに来た。街中のカフェ。小道に入った知る人ぞ知る、と言われるような。質素な作りでシンプルだ。それがどこか三ツ谷の感性をくすぐった。
     相手が言ってきた場所であるので恐らく相手の行きつけ。
     許婚となっている相手はまだ居ない。三ツ谷は先に席についてコーヒーを頼んだ。ホットを一つ。
     暫くして運ばれてきたコーヒーを一口。もうこれだけで分かる、拘りぬいていることを。美味いと素直に思った。
     カランカランと音がなく。自分が入ってきたときも思ったけれど、こういうレトロさも堪らない。
     相手はホットが冷める前に来てくれた。
    「ホントに来たんだ」
    「まあ、来るしかねえから。……久しぶりと言っていいのか」
     目の前に佇んだ男。その男は三ツ谷も知っている。
     かつて憧れた男、そして争ったこともある男。灰谷蘭。
    「まあ座れよ」
    「ここ指定したのオレなんだけど?」
     口ではアレコレ言いながらも素直に座った。髪は相変わらず三つ編みで。でもそれがさらに魅力を上げているような。
     そしてこの強烈な魂。斑類であることを隠しもせず、自分が強者であると存分に示してくる。
     油断したら全てが持っていかれるような。長居してはいけない気がしてくる。
    「なんでお前ほどの奴がこの許婚の話を受けたんだ?」
     単純に疑問だった。祖父側から言い渡された話だろうに蘭側はどうして受けたのか。デメリットしかないのではないだろうか、と。
    「んー……虫除け?」
     蘭はそう言う。成程そう来たか、と。
     蘭ほどの魂の強さを見せつけられれば男も女も寄ってくる。猿人だってその見た目に惹かれる人間も多いだろう。かつての自分のように。
     ……嘘。今でも惹かれている。あの頃から変わらずに。魂にも、灰谷蘭自身にも。どうしようもなく自分は引き寄せられる。
     だから彼が自分を利用する為に、このデメリットが大きいであろう話を受けたことに全力で乗ることにした。蘭が虫除けと言ったのも本心であるからして。
    「……ま、どっちもあんま乗り気じゃねえんだったらさ、利用するだけ利用すりゃいいだろ」
     不敵に笑う。
     相手にはバレないでいてほしい、これが三ツ谷にとっての精一杯の強がりであることを。
     心の奥底に秘めた、願わくば彼との子供が欲しいという願望なんざ、一生知られなくて良い。
     三ツ谷が幼い頃から斑類らしからぬ育ちを受けてきたのは先述した通り。そういう相手も存在したことが無かった。
     ただ誰にも行ったことがない話が一つ。
     かつて祭りで灰谷蘭を見た時から、彼にずっと惹かれていたこと。
     ルナとマナと共に訪れた場所で偶然出会った憧れ。直接見てしまったらもうダメであった。自分の目には彼しか写っていなかった。
     そのときから三ツ谷の魂は彼に囚われたままだった。


     それから始まった蘭との婚約関係。蘭は恐らく隠さずに居るということを言うだろうけれど、三ツ谷は言う気にはなれなかった。
     自分が灰谷蘭の許婚だと言える立場ではある。だがこの関係がいつまで続くかは分からない。別れた、解消したといって仲間たちになぜ何どうして攻撃を受けるだろうことが想定できたので、その回避と言ってもいい。
     蘭とはそれ以来もう会わないのかと言われればそうでもない。契約上で少なくとも週に1回は蘭の家に行くという契約を交わした。許婚がいると言っても彼の家に何の気配がないのも不自然である。その為の週1の訪問だった。この訪問には宿泊もついてくるので、週1のお泊まりと言った方が正しいのだろうけれど。
     この宿泊で三ツ谷は一食作る。それも契約のうちだった。
     宿泊の日は金曜日。学校帰りにスーパーに寄って夕食を作って、土曜日の朝に帰る。それがルーティンだった。
     なんだかんだ上手くやっているとは思う。もう何だかんだ次で5回目。3回目とかは弟の竜胆とも食卓を囲んだり。飯について文句を言われたことはないのだから及第点は貰っているのだと思う。
     それは今日も変わらず。三ツ谷は部活を終えると早々に学校を出た。そのままスーパーへ寄る。今日は蘭の要望でスモークサーモンを用いた者を所望してきた。中々難しいこと言ってくるな、と料理本を漁った。
     目に付いたのはマリネだった。スモークサーモンと玉ねぎとパプリカを用いている。メインではなく前菜だから主食は別に必要だろうけれど。
     じゃああれにしようか、と脳内でくみたてながら食品を手に取っていった。こういう時間は中々に楽しいものである。今日はどういう顔をしてくれるだろうか、なんて考えて。
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    PROGRESSリビルディング12話/久々更新で申し訳。🈁🐶につなげたい話。ちゃんと終わらせたいので少し駆け足気味になります。
    来世兄弟12「た、だいまっ!」
    「うお、おかえり」
     夕食の準備をしていたら青宗が勢いよくドアを開けて飛び込んできた。肩を思いっきり上下させて呼吸を整えている。全力疾走してきたということか。けれど青宗がこうなるってことは何かがあったんだろう。
     菜箸を置いて青宗の方へ近寄り片手を差し出した。
    「どうしたんだよ」
     青宗は素直に右手を乗せて顔を上げる。その顔は汗で塗れていた。白い肌のせいか一層赤く見える。少しだけその体勢のまま息を整えて口を開けた。
    「いや、……ココが」
    「あー」
     成程な。大体を理解した。
     青宗はオレたち兄弟の中で一番旧友たちと関わりたくないと思っている人間だろう。だから色々と慎重に考えていたのはなんだかんだ青宗だし、オレが考えて導いても最終決定権は青宗だった。特にココくんに対しては、青宗自身のことを完全に忘れて欲しいようでチラつかせるようなこともしない。すれ違うことも許さない。あの業務用スーパーで出会ったのも偶然からきた割とやばいハプニングだったけれど、どうにか切り抜けたし。
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    Hana_Sakuhin_

    MOURNING『昨夜未明、東京都のとあるアパートで男性の遺体が見つかりました。男性は数日前から連絡がつかないと家族から届けが出されておりました。また、部屋のクローゼットからは複数の女性を盗撮した写真が見つかり、そばにあった遺書にはそれらを悔やむような内容が書かれていたといいます。状況から警察は自殺の可能性が高いと――「三ツ谷ぁ。今日の晩飯、焼肉にしよーぜ。蘭ちゃんが奢ってやるよ」
    死人に口なしどうしてこうなった。なんて、記憶を辿ってみようとしても、果たしてどこまで遡れば良いのか。

    三ツ谷はフライパンの上で油と踊るウインナーをそつなく皿に移しながら、ちらりと視線をダイニングに向ける。そこに広がる光景に、思わずうーんと唸ってしまって慌てて誤魔化すように欠伸を零す。

    「まだねみぃの?」

    朝の光が燦々と降りそそぐ室内で、机に頬杖をついた男はくすりと笑った。藤色の淡い瞳が美しく煌めく。ほんのちょっと揶揄うように細められた目は、ふとしたら勘違いしてしまいそうになるくらい優しい。

    「寝らんなかったか?」

    返事をしなかったからだろう、男はおもむろに首を傾げた。まだセットされていない髪がひとふさ、さらりと額に落ちる。つくづく朝が似合わないヤツ、なんて思いながら三ツ谷は首を横に振った。
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