Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    *no

    @no24728760

    pixivで主に投稿している者です。
    ここではTwitter限定の小説を投稿していきます。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 😭 💖 👏 💪
    POIPOI 4

    *no

    ☆quiet follow

    💜🧡
    🧡が一人で旅に出て行方不明になっているお話。


    気力があれば🧡視点をいつか書きたいです。

    #shusta

    オルゴールオルゴールが止んだ。







    ミスタが旅に出る前に「これ俺のお気に入りなんだ、だから俺が返ってくるまで預かっといて。」とほぼ一方的に押し付けて行った物。
    決して大きくはないが、緻密に作られているようで燦々と輝くオルゴールはどこか存在感があった。
    旅に出る前に押し付けに来たのはいいが何故か「限界まで巻いて行く!」と意地になって、
    力を込めてオルゴールを巻き続けたせいか本来1日も持たないはずのオルゴールは壊れたように鳴り続けていた。
    けれど、それも止まってしまった。
    音を出すことなくただ雑貨の一部となってしまったオルゴールを手に取り、ひと巻き。
    ゆったりと聴き馴染んでいた曲が流れるが、僕は一気に気分が悪くなった。
    このオルゴールはミスタが巻いたからこそ、僕には綺麗に聴こえていた。
    ミスタがあの日巻いてくれた分の曲が終わってしまった時点でもうこのオルゴールに価値はない。
    ミスタは…………、どこで何をしているのか分からない。
    旅に出た二日目までは連絡が取れていた。
    けれど、三日目の朝に僕から送った「おはよう、今日はどんなところに行く予定なの?」というメッセージに既読がつくことはなく、
    電話をかけても出ることはなかった。
    もう連絡が取れなくなって半年くらい経つかもしれない。
    数年勤め続けた仕事も辞めて、ミスタを探し続けているけれどミスタを見つけることはできていない。
    それどころか手がかり一つすら見つけられないでいる。
    こんなことならあの日オルゴールを受け取らなければよかった。
    あのオルゴールが僕の家にあり続ける限り、常にどこかミスタのことを頭で考えてしまう。
    忘れようと、もう何度もオルゴールを廃棄しようとしたが未だに捨てられないままでいる。


    一つ、オルゴールについて調べて分かったことがある。
    あのオルゴールが奏でていた曲は「別れの曲」として有名なもの。
    それも、恋人との別れなどではなく、どちらかと言えば人間の命そのものの別れの曲だ。
    ミスタにことだから大した意味も知らず本当にただ曲が好きでオルゴールを鳴らしたのかもしれないけれど、
    一度その意味を知ってしまったからにはミスタを探さないわけにはいかなかった。
    ミスタのことだからそんなに回りくどいことはしないと思うけれど、けれど絶対にないとは言い切れない。
    だから、こんなに必死になってミスタを探している。
    「今気づいた」とか「スマホ壊れてて」とか「今更ごめん」とか、どんな返事でもいいからメッセージの返信がほしい。
    生きていてくれればもう正直僕自身は満足だ。
    メッセージの返信が来なくなって、一人で勝手に焦って、深読みしてオルゴールの曲の内容まで調べて、それでさらに不安になって。



    ねぇ、ミスタ。
    いなくなるんだったら、オルゴールなんて渡さないで。

    君がいた証を残していかないでよ。







    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    kohan_saniwa

    DONE #FoxAkuma
    サナトリウムに入所させられた🦊とちょっと不思議な👹の👹🦊
    多分🦊は転生してると思う。設定ふわっふわ。

    ⚠ご本人様方とは一切関係ない二次創作です⚠
    ⚠無断転載・自作発言禁止⚠
    ⚠なんでも許せる人向け⚠



    BGMはA/im/erさんの「w0nderland」でお願いします。
    wonderlandばさ、と窓の外から大きな音がした。眠れなかったミスタは、そっとカーテンを開いた。静かなサナトリウムの周りには建物なんて一切ない。整備された庭と、裏の林と、下の街へ続く道があるだけで、不気味な程に静まり返っている。鳥の羽ばたきと、猛禽の鳴き声と、風と葉の擦れる音と、それから、リノリウムを踏み鳴らす足音。夜のサナトリウムを構成するのはたったそれだけだった。明かりもなければ、娯楽もない。星がチカチカとしていて、勝手な星座を作ることばかり得意になりそうなくらいだ。ミスタの小さな部屋にはベッドと机とものを仕舞うタンスだけ。ささやかな花瓶に活けられた生花は、きっと今晩で枯れてしまうかもしれない。看護師が持ってきたチューベローズとエゾキクが、花弁を数枚落として俯いている。何となく気になって、ミスタは窓を開けた。ふわ、と涼しい風が吹き込んで髪を揺らす。ばさ、ばさ。また頭上を鳥が飛んだのかと上を見上げれば、ばさ、と一際大きな音を立てて真っ黒な鳥が横切った。
    2925