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    @no24728760

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    🧡が母親に傷付けられる話。
    ※ちょいグロあり

    #Riasta
    from

    トラウマになったのはどっち?コイツは覚えているのだろうか、あの肌寒い冬の日のことを。

    ・・・・・・・・・・・・・・

    糞親父が死んだ。
    「人に恨まれて刺されて最期を迎えるなんて可哀そうな奴。」
    当時7歳だった俺はそう思った、それ以上もそれ以下もなかった、
    どうでもよかったのだ。
    母と同様、葬式では涙一つ出やしなかった。

    その日を境に母は酒に溺れた。
    貯めていた金は減るばかりで、生活が苦しくなるのにそう時間はかからなかった。

    M「…っねぇ、Rias。」

    生まれて初めて弟の声を聞いた。
    少し鼻にかかった癖のある声、俺よりも愛想があるような話し方。

    R「どうした?」

    これが弟との初めての会話、
    俺たちがこの世に生を受けて8年目の暑い夏の日のことだった。

    季節が秋から冬へと移り変わろうとした日、母が俺たちのことを初めて蹴った。
    いくら「女」だからとはいえ、栄養失調一歩手前の俺たちには酷く効いた。
    Mystaに至っては蹴られた場所が悪かったのか胃液を吐き出したほどだ。

    R「母さんは俺がなんとかして寝かすからお前はもう寝ろ。」

    鼻水と涙でぐちゃぐちゃなMystaにそう声をかけた。
    Mystaがなんと言っていたかは思い出せない。

    ・・・・・・・・・・・・・

    母が死ぬ2日前、Mystaは殺されそうになった。
    俺が家を留守にした時、運悪く母が癇癪を起したのだ。
    今まで俺が対処していたからMystaは母の宥め方を知らなかった。
    それが仇となった。
    俺はただMystaを守りたい一心で8年間生きてきたのにそれが全て崩れ落ちた瞬間だった。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    決して綺麗とは言えない茶色と灰色を混ぜたような髪の色をした少年は震えていた。
    目の前には病的に瘦せ細った母親と思われる人が立っている。

    「…なんだ、今日はお前なの?」

    母の問いに少年は頷かない、
    母が何に対して放った言葉なのか分からなかったからだ。

    「こっちは人形かい?まるでお飾りだね、お前は。」

    目の前で煙草をふかしている女は果たして彼の名前を覚えているのだろうか。
    この少年は生まれてから一度も母親に名前で呼ばれたことがなかった。
    いつも耳に入ってくるのは「Rias」
    片割れの兄の名前だった。

    少年が震えたまま動けないでいると、兄が帰ってきた。

    M「Rias…、母さんが……………。」

    兄は母親の姿を見るなり、弟を庇うようにして前に立ち

    R「おはよう、母さん。
     Mystaが何かしちゃった?ごめんね、もうしないよう言い聞かせておくから。」

    その顔は笑っている。
    人当たりの良さそうな顔、そう言えば聞こえはいいが実際は所謂「作り笑い」というものだ。

    普段ならここで少年たちの母親が部屋へ戻って行き、解決するのだが
    この日の少年たちの母親はどうも虫の居所が悪かった。
    床に落ちて何年も放置されていたであろうナイフを利き手に持つと
    双子の片方に向かって力任せに投げつけた。

    ―Rias―

    倒れた。
    さっきまで隣に震えながら立っていた弟が血を纏いながら倒れた。
    何が起こった?
    当時の幼い自分はすぐに状況が飲み込めなかった。

    「…っ、私行くとこあるから。」

    そう言って母が家を出て行ったあと、初めて何が起こったのか脳で理解ができた。
    慌てて弟の止血をして、包帯を巻いた。
    柄にもなく焦っていた、怖かった、思い出すのですら酷く苦痛だ。
    8歳の俺にはあまりにもグロテスク過ぎた、
    まるで習いたての理科で見た胞子のような脂肪が見えていたのだ。
    つぶつぶとしていて黄みがかった人間の中身が。
    止血した後も傷口付近は黄みがかったままでこのまま死んでしまったらどうしよう、
    そう思った。
    俺と同じ海のような深い青の瞳は閉ざされたままで動いている心臓だけが
    Mystaが生きているということを証明してくれていた。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・

    これが8年前の記憶。
    未だに忘れたことは一秒たりともない。
    Mystaの脚にはあの時つけられて消えなかった傷跡が今なお残っている。
    だけれど、どうも本人は覚えていないらしい。
    「汚いね。」と笑うばかりで、当時のことを覚えている素振りはない。

    それはそれでよかったのかもしれない。
    そう弟の横で笑うRiasはMystaの瞳が膜を張っていることに気付けない。
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