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    @t_utumiiiii

    @t_utumiiiii

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    @t_utumiiiii

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    ※謎時空探偵パロ(1990年代を想定)
    Mr.ミステリーが男やもめのレオ・ベイカーの依頼を受けて失踪した娘の行方を探す二次妄想です(還…パロ)
    リサの行方を調査するMr.ミステリーがマーシャ・ライリーが入院している精神病院を訪れる回です。
    ※精神病に対する偏見描写があります

    8「できるなら、おたくの奥さんの話も伺いたいものだが」と続ける Mr.ミステリーを、時間にしては十数分ながら、そこらの他人には絶対にしないーーそして、望ましくもないーー打ち明け話をした相手にするには適当なぞんざいさで事務所から追い出したフレディ・ライリーは、月に一度、きまって二週目に、✗✗州の国立公園近くにある私立病院に通っている。そこは都市部にほど近くあるライリーの弁護士事務所からも、事務所からは車で十五分程離れたところにある彼の自宅からも、車で一時間程度離れた場所だ。
    「言葉を選ばずに言えば、まあ……外聞が悪いからか?」
    20世紀も末に至ってなお、精神病に対する偏見には根の深いものがある。傭兵としての任務を終えたあと、いっとき精神科からの処方を受けていたMr.ミステリーが、故郷と比較すればとんでもなく物価の高い場所に住みながら、得てして危険かつ非合法な「任務」を得る以外の形で故郷の家族を満足に養えないのには、彼がアジア人である他に、彼の受診歴が問題とされることもあるだろう。

    ライリーの弁護士事務所に訪れたときと同じ、青地のインバネスコートに鹿撃ち帽、片眼鏡といういかにもな「探偵」の出で立ちで現れたMr.ミステリーは、どことなくサナトリウム然とした門構えの精神病院の鉄門扉を潜ると、これといった来訪届などの手続きをすることなく、協力者の手引きを受けるまま、二階面会室に入った。

    先んじて面会室内、両者の“安全”のためにアクリル板で区切られた向こう側でパイプ椅子に座っているマーシャ・ライリー――かつてのマーシャ・ベイカー――は、驚くことに(そして、Mr.ミステリーにとっては幸いなことに)、十分に会話に耐えうる程の理性があるように見えた。
    赤毛に近いブラウンの髪を下ろしたままにしている彼女は目を瞠るような美人ではないが、控えめながら整ったその顔立ちがおそらくは心労に窶れ、萎れるように項垂れている様には一種の艶めいた美しさがあった。
    「遠いところお疲れでしょう、探偵さん。お掛けください……なんのお構いもできませんが」
    歳の割に若い印象を与える女の声に、Mr.ミステリーはふと、先日事務所に現れた青い人影を思い出した。

    「依頼を受け、リサ・ベイカーの行方を追っている……おたくで引き取っているわけではないようだが、……」
    単刀直入に話を始めたMr.ミステリーがそこで言葉を切ったのは、アクリル板越しに対面するマーシャが、日に当たらない暮らしを続けたせいか青ざめてすら見えるほど白い手で自らの顔を覆ったからだが、Mr.ミステリーの予想に反し、彼女は乾いた瞳のまま顔をあげると、喉奥から絞り出すようなかすかな声ながら、毅然とした態度で、「私の知っていることを、すべてお話します」と応じた。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE公共マップ泥庭

    ※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定
    一曲分(泥庭) 大勢の招待客(サバイバー)を招待し、顔も見せずに長らく荘園に閉じ込めている張本人であるのだが、その荘園主の計らいとして時折門戸を開く公共マップと言う場所は、所謂試合のためのマップを流用した娯楽用のマップであり、そのマップの中にもハンターは現れるが、それらと遭遇したところで、普段の試合のように、氷でできた手で心臓をきつく握られるような不愉快な緊張が走ることもないし、向こうは向こうで、例のような攻撃を加えてくることはない。
     日々試合の再現と荘園との往復ばかりで、およそ気晴らしらしいものに飢えているサバイバーは、思い思いにそのマップを利用していた――期間中頻繁に繰り出して、支度されている様々な娯楽を熱狂的に楽しむものもいれば、電飾で彩られたそれを一頻り見回してから、もう十分とそれきり全く足を運ばないものもいる。荘園に囚われたサバイバーの一人であるピアソンは、公共マップの利用に伴うタスク報酬と、そこで提供される無料の飲食を目当てに時折足を運ぶ程度だった。無論気が向けば、そのマップで提供される他の娯楽に興じることもあったが、公共マップ内に設けられた大きな目玉の一つであるダンスホールに、彼が敢えて足を踏み入れることは殆どなかった。当然二人一組になって踊る社交ダンスのエリアは、二人一組でなければ立ち入ることもできないからである。
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    recommended works

    @t_utumiiiii

    DOODLE #不穏なお題30日チャレンジ 1(2).「お肉」(傭オフェ)
    ※あんまり気持ちよくない描写
    (傭オフェ) ウィリアム・ウェッブ・エリスは、同じく試合の招待客であるナワーブと共に、荘園の屋敷で試合開始の案内を待っていた。
     ここ数日の間、窓の外はいかにも12月らしい有様で吹雪いており、「試合が終わるまでの間、ここからは誰も出られない」という制約がなかろうが、とても外に出られる天候ではない。空は雪雲によって分厚く遮られ、薄暗い屋敷の中は昼間から薄暗く、日記を書くには蝋燭を灯かなければいけないほどだった。しかも、室内の空気は、窓を締め切っていても吐く息が白く染まる程に冷やされているため、招待客(サバイバー)自ら薪木を入れることのできるストーブのある台所に集まって寝泊まりをするようになっていた。
     果たして荘園主は、やがて行われるべき「試合」のことを――彼がウィリアムを招待し、ウィリアムが起死回生を掛けて挑む筈の試合のことを、覚えているのだろうか? という不安を、ウィリアムは、敢えてはっきりと口にしたことはない。(言ったところで仕方がない)と彼は鷹揚に振る舞うフリをするが、実のところ、その不安を口に出して、現実を改めて認識することが恐ろしいのだ。野人の“失踪”による欠員は速やかに補填されたにも関わらず、新しく誰かがここを訪れる気配もないどころか、屋敷に招かれたときには(姿は見えないのだが)使用人がやっていたのだろう館内のあらゆること――食事の提供や清掃、各部屋に暖気を行き渡らせる仕事等――の一切が滞り、屋敷からは、人の滞在しているらしい気配がまるで失せていた。
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    osame_jr

    DOODLE伊月暁人くん誕生日おめでとうございます。
    あなたたちの物語から抜け出せないまま(その気も無いまま)また1年が経ちました。
    いろいろと衝撃的なこともあった1年でしたが、今年もあなたに幸多い一年となりますように。

    また今年もアジトメンバー生存HAPPY時空です。
    去年のものと同時空です。知らなくても全く問題ありません。
    普通に乾杯「幽玄坂まで」
     乗り込んだタクシーの運転手にそう告げて、僕はほうと息を吐きながらシートに体を預けた。
     長かった仕事がようやく終わった。本当はもっと早く片付けるつもりだったのに長引いてしまったからか、少し疲れが溜まっているようだ。
     惜しんでくれる人もいたし、馴染めていたとも思う。もしかしたら、こんな未来もあったのかもしれない。普通の会社に入って、普通に朝起きて通勤ラッシュの電車に揺られ、普通に書類に追われ、普通に夜は家に帰って眠るような、普通の生活。この経験は僕にとっての「普通」とは全然違っていた。
     同僚も上司もみんな良い人たちだったけど、今はしばらく顔を合わせていなかった面々が恋しい。
     目的地までそう時間がかかるわけではなかったが、どうしたって慣れない通勤ラッシュの電車は疲れるし、任務完了の報告への返事で許可ももらっているのでありがたくタクシーを使わせてもらった。
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