Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    renri_stok_bl

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 4

    renri_stok_bl

    ☆quiet follow

    ※朝日奈が出てきますが、カップリング要素はありません。
    ※朝日奈に笹仁のオタク(我々)感があります。
    ※笹仁のカップリング要素も薄め。

    笹仁オンリー第三回開催、おめでとうございます!
    きっと笹仁のオタクなら何度も思っただろうことをSSにしました。深く考えず、軽い気持ちで読んでいただけると嬉しいです。

    #笹仁
    sasahito

    仁科さんって、なんで笹塚さんに対してだけそんな鈍いんですか?(笹仁)「……今回だけだぞ」
    「よかった。じゃあクライアントにもそういう方向で伝えておくから」

    幾度となく見てきたこの光景。ネオンフィッシュ名物、仁科が頼めば最終的に折れる笹塚の図。
    この場面に何度も遭遇してきた朝日奈は思った。『仁科さんが言えば、笹塚さんはなんでもしてくれるのではないか』と。

    「仁科さん、仁科さん」

    面白いことに気づいてしまったと、朝日奈は早速仁科に声をかけた。そして仁科にことの経緯を耳打ちし、「笹塚さんに無茶なお願いをしてみてほしい」と伝えた。

    「別に、そんなに笹塚俺に甘くないと思うけどな。誰に対してだって変わらないやつだよ」
    「そうですかねぇ……?」
    「そうだよ。とても俺には扱いきれる相手じゃない」

    じゃあ今まで見てきた笹塚は何だったんだと、朝日奈は首を捻った。

    「まぁでも、コンミスからのお願いだからね。成功はしないと思うけど、やってみるのは別に構わないよ」

    そういった経緯から、【検証:笹塚創は仁科諒介のお願いならなんでも聞いてくれるのか】が始まった。

    「笹塚。悪いな、急に出てきてもらって」
    「別に。で、なに?」

    まずは笹塚の呼び出しに成功した。朝日奈は二人が見える物陰から、ドッキリ札を持って様子を伺う。
    ※なお、()内は読み手の想像で補完していただきたい。決して考えるのが難しかったからではない。読み手にクリエイティブを楽しんでもらいたいだけである。

    「実は……(なんか複雑な事情説明)」

    仁科の話を、笹塚は真剣に聞いている。そして仁科は、嘘情報を流れるように話した。

    「それで……(なんか無茶苦茶なお願い)」
    「…………」

    仁科の話を聞き終えて、笹塚は沈黙する。
    これは、この間の後にいつもの「今回だけだぞ」がくるパターンか!?
    朝日奈は、笹塚の言葉を待つ。

    「無理」
    「まぁ、だよな。けど、そこを承知で、なんとかならないか?」
    「やるつもりない。じゃあ、作業に戻る」
    「わかったよ。……ちゃんと休憩取れよ」
    「ん」

    そうして、検証失敗に終わったかのように見えた。
    ……が、笹塚が去っていく途中、朝日奈が隠れている方を見た。笹塚と朝日奈の目が合う。
    笹塚は、朝日奈に対して何を言うわけではなく菩提樹寮の自室に帰っていった。
    けれど、朝日奈は確信した。

    今回のお願い、仁科さんからじゃないってバレてる……!!

    仁科は笹塚が完全にその場から去っていったのを確認すると、朝日奈の方に歩いてきた。

    「ね?ダメだっただろ」

    穏やかな笑みを作って朝日奈にそう言った仁科は、笹塚が、今回のお願いが仁科からではなく、朝日奈からのお願いであることに気づいていたことを察している様子はない。微塵も、ない。

    「何も面白いものを見せてあげられなくて、ごめんね?」

    しまいには、そんなことを言う仁科に対して、朝日奈は思った。

    いーや????

    むしろあの誰が聞いても本当と思ってしまいそうな仁科さんの話術に嘘を見出したあたりとか、そもそも作曲作業中に仁科さんからの呼び出しがあったら部屋から出てくるあたり……

    ネオンフィッシュ、いいもん見せてもらったよ……。

    だけど、ひとつだけ思うことは。

    「仁科さんって、なんで笹塚さんに対してだけそんな鈍いんですか?」
    「え、何?どういうこと?」

    まぁでも、こういうところがネオフィのいいところだよね……。

    朝日奈は笑みを浮かべ「なんでもないです」とだけ返した。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👍👍☺☺☺☺💯
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    紫垣🐠

    DONE笹仁/星空のアクアリウムOP.3 展示作品

    スタオケ加入後の二人のお話。ナチュラルに付き合ってます。
    ※R18はつけていないですが、行為が匂わされる表現があったり、甘めだったりするので苦手な方はご注意ください。

    『GRADATIONS』>#0「Colorless Color」#1,#2「Colored Notes」#3「like a FISH in water」から続いている連作です。
    One Identity#4

     素肌の背の下に敷かれた固いシーツに大きく皺が寄った。
     菩提樹寮の笹塚の部屋に備え付けられた簡素なベッドに両手首を押さえつけられ、半身で乗りかかられるような形で、もうどの位の時間が経ったのだろう。西日が射しこみ、夕暮れの赤い光が眩しく室内を満たす中、呼吸まで浚うような長いキスをずっと施され続けていた。
     覆いかぶさった熱。身長は俺と同じはずなのに、がっちりとした恵まれた体格を存分に生かし、その腕の中にいともたやすく全身を閉じ込められてしまう。
     二つの唇と舌が絡み合う湿った音と、せわしない息遣いだけが静まり返った部屋に響く。いくら人の気配が多くて騒がしい寮内とはいえ、声を出すことも、物音を立てることにも細心の注意を払わなければならないのに、ひとたびこうなってしまえばどちらも止めることができなくて、そのまま行為に及んでしまったことは、これまでにも何度かあった。
    6778

    紫垣🐠

    DONE笹仁/星空のアクアリウムOP.2 展示作品

    スタオケ加入後の二人のお話。ナチュラルに付き合ってます。
    ※コンミス出ます
    後日談は近日中に公開予定です。
    『GRADATIONS』
    #0「Colorless Color」から続いています。
    「like a FISH in water」に続きます。
    Colored Notes#1

    「コンミスが俺たち二人に用事ってなんだろうな」
     眠たげな眼で隣をのそりのそりと歩く笹塚に声を掛けると、眼鏡の奥が唐突に思い出したように、剣呑な目つきになった。
    「……むしろ俺はさっきの全体錬の時のカデンツァに対して、朝日奈に言いたいことたくさんあるけど」
    「あのな。それは一ノ瀬先生からも、まずパート練に持ち返るって話になったただろ。蒸し返さずに今はコンミスの話をよく聴けよ?」
    「善処はする」
     スターライトオーケストラに参加することを決めて、笹塚と共に札幌と横浜を行き来するようになって数か月がたち、短期間での長距離移動にもようやく慣れて、週末は横浜で過ごすことが当たり前になってきていた。土曜日の今日も朝から横浜入りをした後、木蓮館での合奏練習を終えて、菩提樹寮へと向かう所だ。首都圏での拠点がスタオケ加入と同時に自動的に確保されたのは、笹塚と俺にとっても有難い話だった。
    11556

    紫垣🐠

    DONE笹仁/星空のアクアリウムOP.2 展示作品
    本編前(ねつ造)
    笹塚くんが仁科くんの音に初めて出会った日の話

    『GRADATIONS』(5編連作)
    #1『Colored Notes』に続きます…!
    Colorless Color #0

     無色透明。透明な水のようなヴァイオリンの音色だと思った。色のない、とても澄んだ。滔々と流れていく水のような音色。
     まるで、アクアリウムの水槽を満たす水のようだ。色とりどりのライトで照らせば、無限に思い通りに色彩も雰囲気も変えられる水槽の水。
     透明な音。癖のない音。無限に表情を変えられる音。
     個性がないというのとは全く違う。高い技術の奏者にありがちな、変に主張めいた音色の出し方やこれみよがしな自我や癖がない。どこまでもクリアだった。
     音楽以外で例えるのならば、思い通りの色を思い通りに乗せられる上質なキャンバスだ。乗せたい色を損なわない。
     これが、自分がずっと求めていた音だと思った。

    **

     明け方まで一睡もせず集中して作曲を続けていたから、授業に出席はしたものの、朝からずっとやる気が起きずに、ほぼ眠りの世界にいた。それでもいったん学校へ出てきてしまった以上、睡眠のためだけに家へ戻るのも面倒くさくて、午後は校内の人目につかない場所へ移動しようと思いついた。
    2847

    recommended works