Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    @7_kankankan_100

    気の赴くままに書き物。今はエク霊、芹霊。(以前の分はヒプマイどひふです)
    正しい書き方はよく分かっていません。パッションだけです。
    書きかけ多数。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 😉
    POIPOI 29

    @7_kankankan_100

    ☆quiet follow

    めちゃくちゃ書きかけ。
    アニメ2期の始めの辺りの時期。
    霊幻が気にかかるエクボと、エクボといるのが心地良い霊幻の話みたいなの書きたいなーと思って。
    エクとれげの視点を交互に書く予定。

    #エク霊
    EkuRei

     程よい陽射しが降り注ぐ午後は、昼食後ということも合間って眠気を誘われる。例に漏れず、霊幻も欠伸をひとつ。そして続けて最近眠れないんだよな、とポツリと呟いた。
     パソコンでなにやら作業をしながらだったので、独り言なのかこちらに投げかけられた言葉なのかは分からない。
     傍らにいたエクボはすぐに返事はせずに霊幻の様子を伺った。
     二人の他には誰もいないシンと静かな相談所内に、カタカタとキーボードを打つ音だけが響く。
     しばしの後に、霊幻が肩をハッと揺らして何かに気付いたようにパソコンの画面を見つめていた顔上げた。
    「すまん! 俺今何か言ったか?」
    「最近眠れないって」
    「マジか〜〜……。思ってることが口から出るのはヤバいだろ」

     祈るように組んだ両手に額をあてて項垂れている霊幻は深い溜め息をついていた。
     それはそうだ、本心を隠して生きてりる人間が思っている事をそのまま口にしたら終わりだ。

    「なんで眠れないんだ」

     エクボは霊幻のデスクに移動すると、その上に落ち着いて話を聞き出す。
     
     
    「それがわかってたらそうしてるよ」
     霊幻は項垂れたままぽつりぽつりと言葉を零していく。
     まず寝付くのに時間がかかる。
     次に夜中に中途覚醒があるが、また眠りには就ける。
     そして目が覚める時に、内容は覚えていないけれど決まって何か夢を見ている。
     もう二週間ほどそんな事を繰り返しているのだそうだ。
     しかし霊幻から何かに憑かれている気配は特になく、心身の問題だろう。
     ふむ、とエクボは今並べられた事象を自分の知識と紐付けていくと、手っ取り早いのはリラックスだな、と行き着いた。
     不眠は何よりもリラックスをする事。(笑)でも信者に似たような講話をした事があった。リラックスするためには笑いましょう、と。

     エクボが茂夫の代わりに霊幻の仕事を手伝うようになってしばらく経つが、口からあんなにでたらめが出る割に霊幻の仕事ぶりは割と真っ当だ。
     書類整理、備品管理、接客、買い出し、それら全てを一人でこなしている。ほとんど手を抜くこともない。真面目なんだな、と言うと、これくらい誰でもできるだろ、と返ってきて、一般的な会社に勤めていたら優秀な人材だろうに、そういえばそれがつまらないから前職を辞めたと聞いたのを思い出した。
     能力と環境が伴わないのは、弟子だけでなく師匠である本人もそのようだった。
     どうにも一人で頑張りすぎているように思えてならない。しかも恐らく無自覚。
     特に最近では、事業開拓だなんだと、相談所に留まらず離れた町へ赴き依頼を探しに行っていたのだから気が張っているに違いなかった。

     そうこうしている内に、霊幻は項垂れた姿勢のせいかウトウトし始めていて頭が揺れていた。
     どうせ客も来る予定もないし寝てしまえばいい、とエクボは小さな手を霊幻の額にあてると、霊幻は導かれるように上半身をデスクに伏せて眠ってしまった。
     すうすうと寝息をたてる霊幻を見てエクボはふと思う。

     なぜ霊幻のことを気にかけてしまうのだろうか。

     霊幻ことは、茂夫を抱き込もうとするのに邪魔な存在だったはずなのにどうしてだか近頃気にかかるのだ。
     色々と、それはもう色々と考えたのだが、犬や猫を可愛がったり放っておけないのと一緒ではないかという理由が一番しっくりきた。
     そうだ、それに違いない。だってそれ以外に見当がつかない。

     今だって弱っている霊幻に何かしてやれないだろうかと思ってしまっていて、そういう事で放っておけないなら仕方ないな、とエクボはあることを思いついた。
     その思いつきのためには、今夜は身体を借りにいかねばならない。アイツの様子を伺いに行くためにエクボは相談所を後にした。
     相談所を離れる直前、入口ドアに“外出中”のプレートをかけるのも忘れずに。

     その日の夜、エクボは霊幻に残した書き置きの通り霊幻のアパートを訪れた。
     身体を借りられるアテがついた後、また相談所へ戻って『今夜は仕事が終わったらどこにも寄らずに家へ戻れ』という内容の書き置きだ。
     相談所を閉める時間は日によってまちまちなので、時間も記しておいた。
     午後八時きっかり、霊幻の部屋の呼び鈴を鳴らす。中から足音が聞こえたのにすぐにドアは開かず、そういえば身体付きで行くことは言っていなかった。覗き穴から様子を伺っているだろう霊幻に向かって、エクボは片手を上げて気安い挨拶をした。
     するとすぐにドアが開き、渋い表情の霊幻が顔をだした。
    「なにブスくれてんだよ」
    「お前、俺が寝たの放置してっただろ」
    「俺様に起こす責任はねえな。でもゆっくり昼寝できただろ」
    「……おかげさまで。一時間で目が覚めたからよかったものの。しかもこの書き置きなんだよ。詳細が書いてなくて不審だろうが」
     悪態はつかれたが、それでも霊幻は待っていた。エクボはその事実に機嫌を良くした。
    「まあいいじゃねえか。それより上がらせてもらうぜ」
    「え、何、なんで。ていうかなんで身体付き? それと何持ってきてたんだよ」
     エクボの手にはビニール袋が提げられている。玄関から二歩の簡素なキッチンの、これまたままごと遊びのように小さな流し台の上にそれを置いてガサガサと音をたてながら中身を取り出した。
    「眠れねえって言ってただろ。お前さんを労ってやろうと思ってな。飯とか作ってやろうとコイツ借りてきたてワケよ」
     昼間、霊幻が眠った後にエクボが思いついたことがそれだった。
     例えば猫でいえば、野良は常にエサと寝床の不安があって警戒心が強い。けれど飼い猫は、飼い主に尽くされ愛され、猫の本能の通り日がな一日眠っている。
     そんなふうにリラックスしていれば眠りはやってくるのだが、何を持ってリラックスかと言えばつまり何もしない事だ。何も気にすることなく身をゆったりさせればいいのだが霊幻は一人暮らしで、家に帰ってもやる事があるだろう。
     たいてい外で食べるという夕飯も仕事場から店、そして家、という過程があるが、家で食べれば寄り道がひとつ減る。

    「飯作ってる間に風呂入ってこい。今日は湯船張れよ。ほれ、これ」
     エクボは食材と一緒に入っていた小袋を霊幻に投げて渡した。
    「わっ! なんだ?入浴剤?」
    「おう、草津の湯を選んできてやった。名湯だろ」
     そう言ってエクボが笑いかけると、何がなんだかなこの状況で固くなっていた霊幻の表情がふっと解けて口元が緩く笑んだ。
    「はは、準備万端かよ。しょーがねえな、お前の言う通りにしてやるか。ずっとシャワーだしな、お湯溜めるの何ヶ月ぶりかな」
     キッチンから振り返ってすぐにある浴室に足を踏み入れる霊幻。最後のほうはぶつぶつと独り言のようだった。
     気を張って難しい顔ばかりしていたが、先ほどの解けた表情に、早速霊幻の肩の力が抜けているのを確認したエクボは調理に取りかかった。
     とは言っても、何回か霊幻の部屋には来ているエクボは調理器具がほぼ無いのを知っていたので、カレーを作ることにした。包丁鍋があればできる便利なメニューだ。
     食材を煮込んでいる途中、浴室から水の流れる音が止まったのが分かった。恐らく湯船に湯が溜まったのだろう。
     
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏👏👏👏👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    @7_kankankan_100

    DONEどひふ版深夜のワンライのお題「貯金」で書いたどひふです。中学生時代。中学生の頃、一二三はある物を見つけてしまった。
    独歩の部屋の棚の奥、惑星や鉱物、植物や生物の図鑑の後ろに隠れるようにそれはあった。夏休みの自由研究の調べ物に独歩の本を借りようとしただけだ。探るつもりはなくて全く偶然の事だったので一二三はなんの悪気もなくそれを図鑑の後ろから取り出す。クッキーかチョコかが納まっていただろう繊細な花柄が描かれた缶箱。そのままにしておけなかったのは『一二三の……』と太字の油性ペンで書かれた文字を見つけたから。その先に続く文字があるらしいが本に隠れて見えなかったのだ。
    独歩はこんな所に『一二三の……』何を隠しているのだろうか。もしかしたら悪口かもしれない、と一二三はちょっとヒヤリとした。学校で時々独歩にしつこくくっつくなと怒られたりするのを思い出すと、その可能性はあり得る。
    でも仕方がない。独歩にくっついていると落ち着くし、いないとなんだか寂しくてやっぱり側に行ってしまう。眠る時にお気に入りのぬいぐるみを離さない小さい子のようなものなのかもしれない、と一二三は自分で思っていた。これが大人だったら、タバコやお酒のようなやめたくてもやめられないものだろうか。ま 2391