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    @7_kankankan_100

    気の赴くままに書き物。今はエク霊、芹霊。(以前の分はヒプマイどひふです)
    正しい書き方はよく分かっていません。パッションだけです。
    食いしん坊なので、ぜひ応援絵文字で餌付けしてやってくださいw

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    @7_kankankan_100

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    エク霊。
    相手の不快を取り除いてやりたいと思う愛。

    #エク霊
    EkuRei

    笑顔をちょうだい 空を仰ぎ見れば青空が広がっている。頰をすり抜ける風も心地良い。町を行き交う人々は穏やかな午後に目を細めていた。
     しかし、エクボだけは眉を潜める。そこらの人間にも霊幻にも聞こえやしないが、エクボには街路樹たちがささめきあっているのが聞こえたのだ。
     モウスグオオアメガクルネ
     そういえば鳥たちも随分と急いでいて、大雨に備えて止まり木を探しているのだろう。
     エクボと霊幻は依頼後の帰り、電車に乗るため駅まで歩いていたがその道のりは近くはない。
     降られては面倒だと、エクボは街路樹たちに礼を述べつつ霊幻の腕を引っぱり、「俺様を労え」と側の喫茶店へと連れ込んだ。
    「帰ってからでもいいだろ」
    「いいや、今がいい」
    「なんだ、お前結構わがままだな」
     悪態を吐かれたが、霊幻の伺い知れない事をやっているのは自分なので、エクボは痛くも痒くもなかった。
     入った喫茶店は長らく続いているようで壁紙が煤けていた。だからなのかは分からないが、店内に客はまばらで静かなものだった。
     窓際の席に座り、二人してコーヒーを注文しのんびりと啜っていると、十分もしないうちにあんなに明るかった空がまるで日が暮れたようになった。
     差し込む日の光が遮られ手元が薄暗くなったのが分かると、霊幻はハッと窓に目を向けた。エクボも窓から空を仰ぎ見て、なるほど、と思う。この空の様変わりは人間では気付かないはずだ。
     間もなくいくつかの雨粒が窓ガラスを叩いた後、ドォっとけたたましい音を立てて大雨が街を霞ませた。
     すぐに道行く人々が駆け込んで来て、静かだった店内はあっという間に賑やかになる。
    「うわー、雨降る天気だったか?ちょうど一休みしてて良かったな」
     人で埋まっていく店内を見回しながら霊幻は呑気に笑った。
     これが悪霊によって予定された雨宿りとは知る由もなく、けれどそれでいいのだとエクボは素知らぬ顔で返した。
    「おう、ラッキーだったな」
     願わくば、不安を感じることなく穏やかな気持ちであってほしいと思うのだ。悪霊がどの口で言う、と自嘲もあるが、エクボはもうこの気持ちを知ってしまったのだから仕方がない。
     しかし霊幻にもプライドがある。守られている事を口にしたらきっと余計な事をするな、と許されはしないだろう。
     だからこれはエクボの自己満足であって、エクボだけの楽しみなのだ。そうして霊幻が綻んだ笑顔を向けてくれたなら、愛が無事に届いた証拠だ。
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    まみや

    DONE【12月31日】
    霊体エクボと霊幻の二人で年越し。
    「だから、こっちは大丈夫だって!そっちこそ、あんまり出歩くなよ!」
    「そうねぇ…せっかくのお正月なのにねぇ…」
     パソコン画面の向こうでは霊幻と同じ眠そうな二重まぶたの女が、さっきから何度も同じ話を繰り返している。俺様は霊幻のつむじを見下ろしながら、肩越しにその画面を盗み見た。
     これが霊幻の母ちゃんか…。なかなか美人じゃねぇか。そりゃ、歳はいってるが若い頃はモテただろうな。霊幻の顔がいいのだけは納得出来る。
     今年の冬は例の伝染病があるから帰らないと霊幻が電話したら、向こうからパソコンでテレビ電話しようと言ってきた。最近では年寄りも機械には強いらしい。
    「大体、ちゃんと食べてるの?お節も無いなんて何だか不憫で…」
    「いや、あれはそもそも保存食として作られた物で、今は元旦でもコンビニが開いてるから必ず必要というものでもな…」
    「そうやって!あんたはまたコンビニのものばかり食べて!!!」
    「そういうわけじゃねえよ!」
     えらいとばっちりだ。台所には俺様が材料を吟味して選んだ正月料理の具材が並んでるというのに!
     止まらない話のループに、霊幻の目が斜め上に浮かぶ俺様を助けを求 1764

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