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    @7_kankankan_100

    気の赴くままに書き物。今はエク霊、芹霊。(以前の分はヒプマイどひふです)
    正しい書き方はよく分かっていません。パッションだけです。
    食いしん坊なので、ぜひ応援絵文字で餌付けしてやってくださいw

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    @7_kankankan_100

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    Ω超愛されオメガバのどひふの続き。
    オメガバにした意味ある?って感じだけど、きっとあるはず……

    「やったじゃん!帰ってきてすぐにばたんキューだったから心配しちったぜ」
    「いや、上手くいったけどもうめちゃくちゃ手強くて、また十円ハゲできるかと思った」
    「あー、昔できたな」
    「お前のおかげだ。毎日弁当作ってくれたからマシな顔できたと思う」
    「そん……んむっ……!」

    一二三に覆い被さる独歩は、そんなことない、と謙遜しそうな一二三の口をキスで塞いだ。

    「そんなことなくない。こんな不器用なαに愛想を尽かさずいつだってついてきてくれて……」
    「まーたそういうこと言う。その分独歩はいっぱい愛情くれるじゃん」

    目を細めて笑う一二三の顔は溶けるように柔らかく、そんな顔をさせるくらいにはきちんと愛せているのだろうと独歩はホッとした。
    一二三の両頬を両手で包み込み再びキスをする。舌を差し入れるとすぐそこ一二三の舌が待っていて擦り合わせた。一二三も舌を伸ばしてきたのを見計らって独歩はあむっと柔く噛んで吸い上げる。すると一二三の肩がビクッと震えて、それからだんだんと体の力が抜けていった。
    唇を離す瞬間、溜まった唾液が溢れそうになったのでじゅうっと吸い上げると狭い玄関先ではやたらと響いてしまった。

    「ヒートとその準備……期待してていいからな」

    独歩は一二三の前髪を搔き上げ、鼻先がくっつくくらいの距離で一二三の瞳を覗き込んだ。独歩の瞳はギラついていて、一二三は早く抱かれたいと喉がひくついた。普段子犬みたいにぺしょっとした雰囲気のくせに、ヒートの前になると獲物を狙う狼のような眼光になるのは、この世で一二三だけが知っている事だった。



    一二三は体温を計っていればヒートがいつ始まるのかほぼ正確に分かる。仕事を持っているΩには有り難い事だった。個人差があるが、ヒートの時期がバラバラな者もいて、そういったタイプは体調管理が難しいために定職に就くのは難しく、番のいないΩのための福祉制度もあった。
    その日が月末だと分かったので、独歩も一二三も合わせて休みを取った。
    独歩が勝ち取った仮契約はよっぽどの事がない限り覆らないので、後は本契約に向けての資料作りのみだ。さすがに契約を取ってきた独歩にすぐに他の雑務が回される事はなく、ようやくヒートの準備にも気が回せるようになった。
    αは社会的地位の高い者が多く収入も目を見張るほどで、ヒートのための準備もホテルのスイートを取ったり、Ωに専属エステティシャンを付けたりとスマートに行う。
    しかし独歩は自分の足で必要な物を買い求めていた。
    一二三のヒートが明日に迫った前日。独歩は定時とはいかないが普段よりは早く仕事を終え、数日休む為に同僚たちに何度も頭を下げては会社を後にした。月に何度も休みがあるわけでもないし、有給だって人より取っていないのだからたまに休む時にまであんなに申し訳なさそうにするなんて本当に難儀な性格の人だ、と哀れみの視線は彼には届いていないようだった。
    会社から出て向かうのは駅ではない。今日は新宿の老舗デパートに足を向けた。普段はこんなところに来る用事はないが、三ヵ月に一度ヒートの部屋ごもりの為に数日分のつまめる食べ物を買いに来る。ヒート時のΩは繁殖行為に没頭するので、トイレなどの必要最低限の事以外ではベッドを離れたがらないのだ。
    そんな一二三の口へせっせと食べ物を運ぶのもヒートの時の楽しみのひとつだった。
    独歩が地下の食品売り場へ足を運ぶと、時間はもう遅く客の姿もまばらだった。デリカなどの生鮮品はほとんど残っていなかったが、必要なのは常温で置いておける物なので問題ない。
    一二三が気に入っている物がリストアップされているので買う物はもう決まっていた。ブランデーがたっぷり染み込んだどっしりとしたパウンドケーキ、ゴロゴロにカットされたカマンベールチーズが入った米粉のハースブレッド、ミニトマトのコンポートのゼリー、小豆がほろほろくずれる金鍔、甘じょっぱいタレの磯辺餅。これはテッパンだった。
    それからビタミンも欲しいと、オーガニック野菜のジュース。デパ地下のちょっとお高いこれは、果汁だけでなくすりおろした野菜も混ざってトロッとしているのでなかなかお腹に溜まって独歩も好きだった。
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    @7_kankankan_100

    DONEどひふ版深夜のワンライのお題「貯金」で書いたどひふです。中学生時代。中学生の頃、一二三はある物を見つけてしまった。
    独歩の部屋の棚の奥、惑星や鉱物、植物や生物の図鑑の後ろに隠れるようにそれはあった。夏休みの自由研究の調べ物に独歩の本を借りようとしただけだ。探るつもりはなくて全く偶然の事だったので一二三はなんの悪気もなくそれを図鑑の後ろから取り出す。クッキーかチョコかが納まっていただろう繊細な花柄が描かれた缶箱。そのままにしておけなかったのは『一二三の……』と太字の油性ペンで書かれた文字を見つけたから。その先に続く文字があるらしいが本に隠れて見えなかったのだ。
    独歩はこんな所に『一二三の……』何を隠しているのだろうか。もしかしたら悪口かもしれない、と一二三はちょっとヒヤリとした。学校で時々独歩にしつこくくっつくなと怒られたりするのを思い出すと、その可能性はあり得る。
    でも仕方がない。独歩にくっついていると落ち着くし、いないとなんだか寂しくてやっぱり側に行ってしまう。眠る時にお気に入りのぬいぐるみを離さない小さい子のようなものなのかもしれない、と一二三は自分で思っていた。これが大人だったら、タバコやお酒のようなやめたくてもやめられないものだろうか。ま 2391

    @7_kankankan_100

    MOURNING2月か3月頃に書いてたやつ。
    付き合いたて高校生どひふの夏休みステップアップ話。
    続きはイメージついてるけど手が止まってるので供養します。
    「よっしゃ〜!夏休みだー!」

    終業式を終え、学校の門を一歩越えた一二三は高く突き抜ける夏空に向かって叫んだ。高校二年生、十七歳の夏休みは希望と期待とでぱんぱんに膨らんで弾けてしまいそうだった。独歩と一緒に予定も立てた。四十日じゃ足りないよ、と言う一二三と、四十日で十分だと言う独歩と、意見は相反するもののどちらもな夏休みを楽しみにしている事は間違いない。
    十七歳になった今年はついに音楽フェスにも初参戦する予定で、既に勝ち取ったチケットは無くさないように大切にそれぞれの家の壁に貼られていた。一二三と独歩は一年生の冬に、年末の繁忙期の短期バイトと年賀状の仕分けのバイトを掛け持ちしてこの夏のためにしっかり稼いでいた。チケットを手に入れてもまだ資金はある。それから、プールに海水浴に花火大会に夏祭り、その合間に宿題もやって、それからそれから。
    「独歩、こっち」
    自由の身になってぴょんぴょんと落ち着きなく歩く一二三を、独歩はどこか父親のように見守りながら下校していた。家はもうすぐそこで、勝手知ったる近所の公園の前を通りすぎようとしていたら一二三が木陰にしゃがみ込んで独歩を呼んだ。また蟻の行列 6288