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    @7_kankankan_100

    気の赴くままに書き物。今はエク霊、芹霊。(以前の分はヒプマイどひふです)
    正しい書き方はよく分かっていません。パッションだけです。
    食いしん坊なので、ぜひ応援絵文字で餌付けしてやってくださいw

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    @7_kankankan_100

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    霊幻を労い寝かしつけるエクボの話。
    果たしてその真意は?
    (どの辺の時期とか特に考えていません。都合の良いようにしてしまいました…)

    #エク霊
    EkuRei

    霊幻を労い寝かしつけるエクボの話 程よい陽射しが降り注ぐ午後は、昼食後ということも合間って眠気を誘われる。例に漏れず、霊幻も欠伸をひとつ。そして続けて最近眠れないんだよな、とポツリと呟いた。
     パソコンでなにやら作業をしながらだったので、独り言なのかこちらに投げかけられた言葉なのかは分からない。
     傍らにいたエクボはすぐに返事はせずに霊幻の様子を伺った。二人の他には誰もいないシンと静かな相談所内に、カタカタと霊幻がキーボードを打つ音だけが響く。どうやら先ほどのは独り言だったようだ。
     独り言など放っておいてもいいものだが、欠伸をしている割には眠れないとは、一体どういうことなのか少々気になったエクボは口を出す。
    「眠れないのか?」
     肩をハッと揺らした霊幻が、ようやく何かに気付いたようにパソコンの画面を見つめていた顔上げた。
    「すまん! 俺今何か言ったか?」
    「最近眠れないって」
    「マジか……。思ってることが口から出るのはヤバいだろ」

     祈るように組んだ両手に額をあてて項垂れている霊幻は深い溜め息をついていた。
     それはそうだ、本心を隠して生きてり
    いる人間が思っている事をそのまま口にしたら終わりだ。
    「なんで眠れないんだ」
     エクボは霊幻のデスクに移動すると、その上に落ち着いて話を聞き出す。
     「それがわかってたらそうしてるよ」
     霊幻は項垂れたままぽつりぽつりと言葉を零していく。
     まず寝付くのに時間がかかる。
     次に、夜中に中途覚醒があるが、また眠りには就ける。
     そして目が覚める時に、内容は覚えていないけれど決まって何か夢を見ている。
     もう二週間ほどそんな事を繰り返しているのだそうだ。
     しかし霊幻から何かに憑かれている気配は特になく、心身の問題だろう。
     ふむ、とエクボは今並べられた事象を自分の知識と紐付けていくと、手っ取り早いのはリラックスだな、と行き着いた。
     不眠は何よりもリラックスをする事。(笑)でも信者に似たような講話をした事があった。リラックスするためには笑いましょう、と。

     エクボがシゲオの代わりに霊幻の仕事を手伝うようになってしばらく経つが、口からあんなにでたらめが出る割に霊幻の仕事ぶりは割と真っ当だ。
     書類整理、備品管理、接客、買い出し、それら全てを一人でこなしている。ほとんど手を抜くこともない。真面目なんだな、と言うと、これくらい誰でもできるだろ、と返ってきて、一般的な会社に勤めていたら優秀な人材だろうに、そういえばそれがつまらないから前職を辞めたと聞いたのを思い出した。
     能力と環境が伴わないのは、弟子だけでなく師匠である本人もそのようだった。
     どうにも一人で頑張りすぎているように思えてならない。しかも恐らく無自覚。
     特に最近では、事業開拓だなんだと、相談所に留まらず離れた町へ赴き依頼を探しに行っていたのだから気が張っているに違いなかった。

     そうこうしている内に、霊幻は項垂れた姿勢のせいかウトウトし始めていて頭が揺れていた。
     どうせ客が来る予定もないし寝てしまえばいい、とエクボは小さな手を目隠しをするように霊幻の瞼にあてた。すると霊幻は導かれるように上半身をデスクに伏せて眠ってしまった。
     すうすうと寝息をたてる霊幻を見てエクボはふと思う。

     なぜ霊幻のことを気にかけてしまうのだろうか。

     霊幻のことは、シゲオを抱き込もうとするのに邪魔な存在だったはずなのにどうしてだか近頃気にかかるのだ。
     色々と、それはもう色々と考えたのだが、犬や猫を可愛がったり放っておけないのと一緒ではないかという理由が一番しっくりきた。

     そうだ、きっとそれだ。だってそれ以外に見当がつかない。

     今だって弱っている霊幻に何かしてやれないだろうかと思ってしまっていて、そういう事で放っておけないなら仕方ないな、とエクボはあることを思いついた。

     その思いつきのためには、今夜は身体を借りにいかねばならない。いつもの憑代にしているあの男の都合を伺いに行くためにエクボは相談所を後にした。
     相談所を離れる直前、入口ドアに“外出中”のプレートをかけるのも忘れずに。

     ✢

     その日の夜、エクボは霊幻に残した書き置きの通りに霊幻のアパートを訪れた。
     身体を借りられるアテがついた後、また相談所へ戻って『今夜は仕事が終わったらどこにも寄らずに家へ戻れ』という内容の書き置きだ。
     相談所を閉める時間は日によってまちまちなので、時間も記しておいた。
     午後八時きっかり、霊幻の部屋の呼び鈴を鳴らす。中から足音が聞こえたのにすぐにドアは開かず、そういえば身体付きで行くことは言っていなかった。覗き穴から様子を伺っているだろう霊幻に向かって、エクボは片手を上げて気安い挨拶をした。
     するとすぐにドアが開き、渋い表情の霊幻が顔を出した。
    「なにブスくれてんだよ」
    「お前、俺が寝たの放置してっただろ」
    「俺様に起こす責任はねえな。でもゆっくり昼寝できただろ」
    「……おかげさまで。一時間で目が覚めたからよかったものの。しかもこの書き置きなんだよ。詳細が書いてなくて不審だろうが」
     悪態はつかれたが、それでも霊幻は待っていた。エクボは機嫌を良くした。
    「まあいいじゃねえか。それより上がらせてもらうぜ」
    「え、何、なんで。ていうかなんで身体付き? それと何持ってきてたんだよ」
     エクボの手にはビニール袋が提げられている。玄関から二歩の簡素なキッチンの、これまたままごと遊びのように小さな流し台の上にそれを置いてガサガサと音をたてながら中身を取り出した。
    「眠れねえって言ってただろ。お前さんを労ってやろうと思ってな。飯とか作ってやろうとコイツ借りてきたてワケよ」
     昼間、霊幻が眠った後にエクボが思いついたことがこれだ。
     例えば猫でいえば、野良は常にエサと寝床の不安があって警戒心が強い。けれど飼い猫は、飼い主に尽くされ愛され、猫の本能の通り日がな一日眠っている。
     そんなふうにリラックスしていれば眠りはやってくるのだが、何を持ってリラックスかと言えばつまり何もしない事だ。何も気にすることなく身をゆったりさせればいいのだが霊幻は一人暮らしで、家に帰ってもやる事があるだろう。
     たいてい外で食べるという夕飯も仕事場から店、そして家、という過程があるが、家で食べれば寄り道がひとつ減る。
     それに自営だと仕事と生活が地続きになりやすく、終業後の気持ちの切り替えもしにくい。それには本人以外の誰かが割って入るのが手っ取り早いのだ。

    「飯作ってる間に風呂入ってこい。今日は湯船張れよ。ほれ、これ」
     エクボは食材と一緒に入っていた小袋を霊幻に投げて渡した。
    「わっ! なんだ?入浴剤?」
    「おう、草津の湯を選んできてやった。名湯だろ」
     そう言ってエクボが笑いかけると、何がなんだかなこの状況で固くなっていた霊幻の表情がふっと解けて口元が緩く笑んだ。
    「はは、準備万端かよ。しょーがねえな、入るか。お湯溜めるのなんて何ヶ月ぶりかな」
     キッチンから振り返ってすぐにある浴室に足を踏み入れる霊幻は、最後のほうはぶつぶつと独り言のようだった。
     気を張って難しい顔ばかりしていたが、先ほどの解けた表情に、早速霊幻の肩の力が抜けているのを確認したエクボは調理に取りかかった。
     とは言っても、何回か霊幻の部屋には来ているエクボは調理器具がほぼ無いのを知っていたので、カレーを作ることにした。包丁と鍋があればできる便利なメニューだ。
     食材を煮込んでいる途中、浴室から水の流れる音が止まったのが分かった。恐らく湯船に湯が溜まったのだろう。
     エクボはコンロの火を最小にして鍋の様子を気にしつつも、浴室へと乗り込む。ドアを勢いよく開けてしまったせいか、大きな音に湯船にいた霊幻は飛び上がって驚いていた。
    「うわ! おいおいノックも無しかよ、ビビるだろ!」
     言われて、ああそうかと気付いたエクボはもう開いているドアをコンコンと叩く。すかさず「遅いわ!」と霊幻からツッコミがあった。
     霊幻には対人だと意識していないのでそうなってしまうのだろう。
    「俺様が頭洗ってやるよ。シャンプーはこれか?」
    「なんで⁈ 頭くらい自分で洗える」

     犬猫の世話と言えば、食事の次は風呂というものだろう。エクボは食事の買い出しをしながらスーパーの店内を周っていたら、たまたま入浴剤が目に入り、そうだ、ついでに風呂にも入れてやろうと思いついた。ただの思いつきではあるが、もともと世話焼きな性分のエクボはだんだんと楽しくなってきてしまったのだった。
     
    「いーからいーから、労いだって」
     まだ何か言いたそうだったが、霊幻は次の言葉を出すことなく口をつぐんだ。
    「そうか……じゃあやってくれ」
     ユニットバスなので浴槽の外は大人二人が並べる広さなんてなく、霊幻は浴槽からうつ伏せに頭だけを出した。
     エクボはシャワーを手に取り髪を濡らしていくと、ビクッと少し大袈裟なほど霊幻の肩が跳ねて自分まで驚いてしまった。
    「な、なんだ。熱くはねえよな……」
    「いや、こんな事されるの初めてだから、見えないとこからお湯がかかるの変な感じする」
     話しながらも、エクボは手を動かして霊幻の髪を泡立てていく。細い髪質なのか、ほわほわととても軽い洗い心地だった。
    「洗髪くらい、理髪店でやってもらうだろ」
    「服着てるのと、こんな無防備じゃ全然違うよ」
     もしかして、とエクボは思った。
     もしかして、霊幻はさっき自分の無防備を晒していいのか考えて返事に詰まっていたのかもしれない。だとしたら、ここまで警戒心を解かれて助かった。これなら霊幻の寝かしつけまでにいちいち反論されずに手間が減る。そうしてぐっすり眠ってくれたらいい。
     そこまで見届ければ、きっと放っておけないエクボの性分も納得するに違いなかった。




     正直霊幻はエクボの、この労いの真意が全く分からなかった。エクボは自分の事をきっと良く思っていないだろうに、なぜとういう気持ちでいっぱいだ。
     対して霊幻はエクボの事は良いのか、悪いのかもよくわかっていなかった。モブの周りをうろちょろしている存在というくらいの認識で、仕事の時に知っている事があれば答えてくれるその口ぶりはずいぶんと知識を蓄えているのだな、と一目置くようにはなっていたが。
     いや、やっぱりわかっていない訳ではない。どちらかと言えば好印象のほうが勝っている。
     仕事以外で話す時もやり取りが楽なのだ。たぶん、お互いに遠慮がない。エクボはどうだか知らないが、霊幻は間違いなくそうだ。自分を良く見せようと繕うのが常なのに、悪霊にそんな事をして何になる、と開き直って肩肘を張ることがない。まあ、初見から無能力を見抜かれているし。
     
     しかしだ、食事で労うのはまだ分かるが、髪まで洗い出すとは一体どういうことなのだろうか。
     霊幻は洗われながらそれを聞こうとしたが、お前さんの髪は随分と柔っこいんだな、とエクボがやけに楽しそうに笑っていたので、まあ好きにさせてやるか、と頭を預けたのだった。それに、エクボの手付きは撫でるように優しく気持ち良かった。普段の様子からしても小器用な奴なので上手いだけなのかもしれないが、彼にそのように扱われたような気になって、霊幻は妙に気恥ずかしくなった。

     風呂から上がると、エクボが作ったカレーを二人で食べた。
     炊飯器を持っていない霊幻のために、ご丁寧にパックご飯までセットで買ってあった。
    「どうだ、風呂にちゃんと浸かったら疲れが取れるだろ」
    「ああ、入浴剤も使うのなんていつぶりか忘れたけど、なかなかよかった」
     霊幻はカレーを口に運びながら、これがエクボの作ったカレーの味か、と感心した。ごく普通に見えるが、悪霊が作った世にも珍しいカレーである。
    「おい、口の周りについてるぞ。ったく、いつもいつもどうやったらこうなるんだ」
     と、エクボはそこにあったティッシュを一掴みし、テーブルを挟んだ向こう側から腕を伸ばして霊幻の口元を拭った。そして、霊幻の顎に手をかけ、右に左にと向かせて、もう付いていないことを確認すると満足げな顔を見せた。
     霊幻は呆気に取られた。
     エクボにこんなことされるのは初めてだった。いつもだったら口元に付いていると指摘するだけなのに。さっきから労いだとばかり言っているが、絶対何かがおかしい。
     だけどそれがなんなのかまでは、食べ終えるまで結局分からないままだった。


    「お前いつまでいるんだよ。俺、そろそろ寝るぞ」
     霊幻が食事を終え、歯も磨いて寝る準備も万端になった頃、テレビを眺めていたエクボはすっかりくつろいでいる様子だった。
    「ああ、寝ていいぞ。寝かしつけてやるよ」
    「…………は?」
     どういう意味だ、の返しである霊幻のその一言をさらっと躱して、エクボは霊幻の背を押しベッドへ追い込むと、あれよあれよという間に彼を横にさせた。
    「おいおい、なんだっていうんだよ。労いは受けたぞ。確かに眠れないとは言ったが寝かしつけなんて。だいたい俺、誰かいると寝れない」
    「まあまあ、今までと同じ状況で寝れないってんなら、変えてみるのもひとつの手だろ。いいから目ぇ閉じとけ」
     ほれ、と言ってエクボは部屋の明かりを落とした。部屋は、点いたままのテレビ明かりだけになり、画面の灯りが壁に反射して真っ暗でない薄暗さが部屋を包んだ。エクボは音量も最小にまで落とす。
    「寝る事に集中すると余計寝れなくなるから、横になってぼんやりしとけ。そしたら勝手に寝れる」
     寝ないはずの悪霊が、睡眠を語っているのが面白くて霊幻はふっと笑いがこぼれた。
    「わかったよ、言う通りにしてやるか」

     そうは言ったが、霊幻は誰かがいると気が落ち着かなくて寝入るのも遅いし、眠りも浅くなる。学生時代の林間学習や修学旅行での宿泊時もそうだった。周りがスウスウと寝息をたてる中、自分だけが意識が冴え渡っていたのをよく覚えている。

     エクボがテレビ前のソファーに座ったのを視線で追ったあと、霊幻はゆっくりと瞼を下ろした。テレビは何を言っているのか分からないほどの音量で、どこか自然の葉のささやきにも似ていた。
     
     どれくらい時間が経っただろうか。眠りはまだやってこない。意識はどことなくぼんやりしてきているが、時折薄っすらと目が細く開いて、部屋の薄暗さに誰か、── エクボがいることをやはり意識してしまう。このぼんやりのまま何時間コースになるかもしれない。それもいつものことだ。
     だからちょうど、ほらな、眠れないだろ。と言おうと思ったその時だった。
     エクボが身動いで服の擦れる音が聞こえると、なぜかふと意識が遠のいた。
     すると意識は耳だけになって、続けて足を組み替えているだろうエクボの動きが聞いて取れる。
     霊幻はそれが妙に心地良かった。
     エクボがこちらを気にして、眠りを邪魔しないようにそっと動いている、そのささやかな物音に頭の内側を直接撫でられているようだった。
     と思った瞬間、夢うつつに落ちた。
     ここは自分の部屋のベッドの上だとわかるのに、体は浮遊感があって、ひどくぬるいお湯に揺蕩っているようでもあった。このまま深いところまで身を沈めたくなるようにうっとりする。夕食の時に感じた、エクボの労い以上の何かなど、どうでもいいほどに、ひどく穏やかだった。
     完全に意識が落ちる寸前に、細く開いた瞼の隙間からテレビの明かりが消え、そして暗闇にぼんやりと緑の靄が浮かんだのが見えた。
     
     後に霊幻は、あんなにも誰かがいるのを感じているというのにどうして眠りがやってきたのだろうかと考えたところ、エクボは霊だから“誰か”ではなく“ナニか”だからかもしれない、と思い至ったのだった。



     霊幻が寝静まった。
     当然夜目の効くエクボは、真っ暗な部屋を難なく進み、ベッドの横へと腰をおろした。
     眠ってしまった霊幻は、昼間は騒々しいくせに、そんなのみじんも感じさせない静けさで眠っていた。
     そうだ、これでいい。
     思った通りの世話をやく事ができたエクボはすっかり満足した、はずだった。間違いなく満足はしているのだが、もしかしてやり残したことでもあっただろうか。霊幻の寝顔を眺めていると胸が妙にむずがゆくなってくるので、犬猫のように撫でてやればいいのかもしれない、と霊幻の額に短くかかる前髪をサラリと撫で流した。髪は和毛ほど柔らかかった。
     それから、自分は一体どうしたいのか見えてこなくて、エクボは霊幻を見つめるまましばらく動けずにいた。
     すると霊幻が夢を見始めたのか、眉や瞼がわずかに動く。続いて口がむにゃむにゃと波打ち、瞬間、エクボは思わず霊幻に顔を寄せた。いつしか胸のむず痒さは高揚に成り代わり、そうして、その唇に口付けた。少し力が入ってしまったせいか、霊幻の上唇が浮いて内側が触れ合い、エクボの唇を湿らせる。
     エクボはゆっくりと頭を引き、霊幻から離れた。高揚した胸はドクドクと強く拍動し、憑依体でこんなことになったのは初めてだったが、知識豊富なエクボはこれがなんなのかすっかり理解していた。
     借り物の守衛の大きな体を丸め頭を抱えこむ。
     霊幻のことが気にかかり、どうにかその苦痛を取りぞのいてやりたくて、急かされる思いに高鳴る心臓、そして触れ合いたいともなれば、これは犬猫なんかへの愛護的なものではなく、恋、である。
     想い慕う気持ち、恋。
     まさか、そんな。存在意義が全く違う人間に、しかも無能力で詐欺師。良いところがない……わけではない。努力はするし、嘘をつくくせに変なとこで正義感が強く、何より周りから慕われているのが見て取れる。悪人にはできないことだ。
    「好き……、なのか?」
     ポツリと。エクボの囁きは暗闇に溶けていく。

     そう、これは霊幻を労うのではなく、エクボの初恋となる、そんなお話なのであった。
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    👏👏👏😍😍😍💖💖💖💖
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    @7_kankankan_100

    DONEやっていたらベッドが壊れました。というどひふ
    この程度だったら鍵にしなくてもいいなという自分の判断で鍵付きではありません。
    「んはは、合いの手みたい。んふっ……ふ、ふふ」
    一二三は独歩と熱っぽく見つめ合っていたはずだが、ふいっと逸らして笑い始めてしまった。いつもと違って声を上げるような笑いではないのは、真っ最中だったからだ。独歩との繋がりに集中している今は笑いの方にそこまで意識がいかずにささやかに笑う程度しかできなかった。
    「あ、こら、こっち向けよ」
    一二三の顔を見ながらイくのが好きな独歩は、そろそろ近付いてきた限界に備えて一二三の顔をこちらに直した。一二三はごめんねの意味を込めて独歩の首に腕を回した。これでもうどちらもよそ見できない。
    正常位。一二三が上手に足を開いてくれているので、腰を固定して動かさなくてもちょうどぴったりと出入りすることができた。そのおかげで上から覗き込むように一二三を見つめられる。
    「というか…なに、が、合いの手…なんだ」
    ギシッ、ギシッと独歩の動きに合わせてベッドが軋む音を立てる。その音は何故だか随分と大きくそれほど激しく動いているのだろうかと思えばそうでもない。
    時々独歩は性欲が溜まってたのを発散するみたいにめちゃくちゃに動く時があって、そんな時は一二三の呼吸は奪われたよう 2223