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    @7_kankankan_100

    気の赴くままに書き物。今はエク霊、芹霊。(以前の分はヒプマイどひふです)
    正しい書き方はよく分かっていません。パッションだけです。
    書きかけ多数。

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    @7_kankankan_100

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    やっていたらベッドが壊れました。というどひふ
    この程度だったら鍵にしなくてもいいなという自分の判断で鍵付きではありません。

    #どひふ
    servant

    「んはは、合いの手みたい。んふっ……ふ、ふふ」
    一二三は独歩と熱っぽく見つめ合っていたはずだが、ふいっと逸らして笑い始めてしまった。いつもと違って声を上げるような笑いではないのは、真っ最中だったからだ。独歩との繋がりに集中している今は笑いの方にそこまで意識がいかずにささやかに笑う程度しかできなかった。
    「あ、こら、こっち向けよ」
    一二三の顔を見ながらイくのが好きな独歩は、そろそろ近付いてきた限界に備えて一二三の顔をこちらに直した。一二三はごめんねの意味を込めて独歩の首に腕を回した。これでもうどちらもよそ見できない。
    正常位。一二三が上手に足を開いてくれているので、腰を固定して動かさなくてもちょうどぴったりと出入りすることができた。そのおかげで上から覗き込むように一二三を見つめられる。
    「というか…なに、が、合いの手…なんだ」
    ギシッ、ギシッと独歩の動きに合わせてベッドが軋む音を立てる。その音は何故だか随分と大きくそれほど激しく動いているのだろうかと思えばそうでもない。
    時々独歩は性欲が溜まってたのを発散するみたいにめちゃくちゃに動く時があって、そんな時は一二三の呼吸は奪われたように苦しくなるのに今は独歩と合わせることができている。なのに、ベッドはギィギィ、ギシギシ、黙ることはなかった。
    「ベッドの音だよ。前からうるさいなって思ってたけどもう限界じゃね……?この、ベッド……実家から持ってきたやつじゃん」
    あ、あ、と喘ぐ合間に喋る一二三にそう言われて独歩はようやくベッドの軋みに気付いた。もう家電の稼働音くらいに聞き流している音だったからだ。
    小学生の頃から使っている木製ベッド。ずっと使えるようにと大きい物を買ってもらったので一七四センチにまで伸びた今でもギリギリ使えている。もちろん四センチ高い一二三もだ。
    高校に上がってからはベッドの役目は大きく変わり、眠るだけでなくこうして激しい動きに揺られるようになった。そして大学生、社会人と長い間その揺れに耐えなくてきたベッドはいつしか疲労の声を上げるようになる。
    まだ使える、まだ使える、と買い替えを先延ばしにしてきたが、事実ベッドはよく耐えてまだ問題なく使えていた。買い換える資金はあるが独歩は単純に面倒なだけだった。会社以外の仕事を増やしたくない。
    「まだ、使えるよ……ほら、もういいから集中しろ」
    本当にまだ使えるのかと一二三は苦い顔をしたが、独歩は遮るようにキスをした。集中できるように一二三好きなとこを舌でなぞっていけば再び表情がとろけていく。
    今だ、とばかりに独歩は一二三の肩口に顔を埋めて最後の追い上げに腰を振った。ベッドも一際軋む音をたてる。そして絶頂を迎えると隙間なくぴったりと一二三に埋まったまま射精が終わるのを待っていたその時だった。
    メキッと今まで聞いたことがない音をたてたベッドのちょうど真ん中辺りが沈んだのだ。その反動で独歩と一二三の繋がりが抜けてせっかくの余韻が虚しく霧散していく。
    「え、ええ!ウソ、マジで!ベッド真っ二つじゃん!」
    一二三は独歩よりもベッドが気になって身を乗り出してベッド下を覗くと、完全にベッドは折れて床についてしまっていた。今日の軋みがやけにうるさかったのはこういうことだったのだ。
    「ひ〜!あっはははは!ベッドが壊れちゃうセックスしちったな」
    ゲラゲラと笑う一二三をよそに独歩はただ呆然としていた。社畜なのが悪いのだが、一二三とすれ違い生活になってからというもの短い時間で体を重ねることが増えてしまい、ゆっくりセックスできるチャンスはなかなかなかった。なので一二三と最後の余韻まで楽しみたかったのに、なんでこんな出して終わりみたいになってしまったのか、これも買い替えを怠っていた自分のせいだ。
    すっかり萎れてしまった自分のムスコからちゅるんとゴムを抜き取ると、独歩は情けなさですっかり意気消沈していた。ひとしきり笑い終わった一二三がそんな独歩に気付くと慰めるようにたくさんキスをした。
    「大丈夫だよ、気持ちよかったよ。独歩は?」
    「……気持ちよかった」
    「ん。今度は丈夫なベッド買えばいいじゃん」
    「ラブホがどんなベッド使ってるか調べてやる」

    その後、一二三の部屋に移動して一二三のベッドで眠った。同じ柔軟剤の匂いにはずなのに、一二三の布団の中はいつも甘い匂いがする。ボディクリームの匂いだよ、と一二三は笑うが独歩は一二三が放つ匂いだと思いたかった。
    眠る前、二人はたくさん独歩のベッドの思い出話をした。
    小学生の時、お泊りをして初めて一緒に眠った事。
    中学生の時、独歩のベッドで昼寝をしてしまった一二三の寝顔を見て好きだと自覚した事。
    高校生の時、初めて体を重ねた時の事。
    「なあ、初めての時に約束したことあんの覚えてる?」
    「そんなことしたか」
    独歩はうーんと考えていたが思い出せないようだった。もう数えきれないくらい体を重ねてきているのだからそれは仕方がない。一二三は独歩の目を覗き込んであの日約束した事を教えてあげた。
    「恥ずかしいかもしれないけど、ちゃんと見つめあおうって約束したんだよ。どっぽちんは忘れててもちゃんと守ってくれてるもんな」

    そんなことを思い出させてくれたボロボロのベッド。もういつでも買い替えていいと思っていたのに、独歩はほんの少しだけ寂しくなってしまった。
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