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    @7_kankankan_100

    気の赴くままに書き物。今はエク霊、芹霊。(以前の分はヒプマイどひふです)
    正しい書き方はよく分かっていません。パッションだけです。
    書きかけ多数。

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    @7_kankankan_100

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    高校生どひふの夏休み三週目、途中。
    (以前あげた二千字より後ももうちょっと続きあります)
    (今更ですが、H歴関係なしの現代設定です)

    #どひふ
    servant

    どひふの夏休み【三週目】

    擬似行為を終えて一二三が帰って行ったあの日、観音坂家ではちょっとした事が起こっていた。
    一二三が脱いだパンツを独歩の部屋に忘れていたのだ。
    独歩は寝る前に、交わりの痕跡が生々しく残る青臭く湿ったそれを部屋の隅で発見した。(自分のパンツはお風呂に入った時に洗ってある)慌てて隠そうとしたが、体液の着いた物をそのままにしていいわけがない。冷静に考えれば、明日家族たちが出掛けて一人になった時に洗えばよかったのだが、独歩はそこまで考えが至らない程度には焦っていた。高校生なんて、行動が親から指摘される可能性が大いにあるのだから一刻も早く秘密の出来事の証拠を隠滅しなければ、と思ったのだ。
    時刻は深夜十一時。親は、まだひとり寝のできない七歳の弟の寝かしつけで一緒に寝てしまうのがほとんどだ。家はシンとしているので大丈夫だろうと踏んで、独歩は洗面所へゆっくり駆け込んだ。ここで洗って部屋で乾かしておけば明日には乾くだろう。
    洗っていると独特の匂いが上がってくる。これが他人のものだったら御免だが、一二三のものだと思うとなんだかドキドキした。一二三の声かわいかったなぁ……と思い出していると突然ドアの向こうでカタンと音がした。
    独歩は床から浮くほど驚いて、手にしているものを必死で隠そうとしたが無駄な足掻きだった。すぐに母親がドアから顔を出したのだ。
    「独歩まだ起きてたの……なんだか物音がするから目が覚めて……」
    だがしかし、母親は随分と寝ぼけているようで目はほとんど開いておらず頭が揺れてうつらうつらしていた。
    「起こしてごめん、歯を磨き忘れてて」
    「ああ、そう。じゃあ磨いたら寝ちゃいなさいね」
    母親はそう言ってすぐに戻っていった。
    息を詰めていた独歩は盛大に息を吐き出し、へなへなとその場にしゃがみ込んだ。

    ──よかった、よかった……気付かれなかった。

    一二三のパンツを死守できた独歩は無事にに使命を果たした。

    しかし、母は伊達に親を十七年もやっていない。寝ぼけていたとはいえ、独歩が洗面所で何をやっていたのか察していた。予想通り洗面台に向かって何か洗っていた様子で、でも体で遮ってなんとか見えないようにしている姿に成長したものだと感慨深く思う。けれど思春期の子に指摘しすぎるのは過干渉だ。我が息子のことは信用しているし、からかう趣味もないのでそれっきりにしておいた。
    夫と小さな下の息子が眠る部屋に戻ると、ふと気付く。

    ── 独歩ってあんな色のパンツ持ってたかしら

    もしかして、息子とのやり取りは本当に夢だったかもしれないと思うほどに、その後あの晩目にした緑色のパンツは洗濯物の中に見当たることはなかった。

    * * *

    一方、一二三にはある変化が起こっていた。
    オナニーは気持ちはいいものの処理としてしていただけだったので、独歩が自分のことを考えてしていると知って驚いた。そういうやり方もあるのか、と。だとしたら独歩はすでに想像上の自分と一緒に気持ち良くなっていたのだ。なにそれ羨ましい、と内なる一二三が騒いだ。
    自分もやってみようと家族寝静まった深夜、自室のベッドの中で頭まで布団に潜り込む。一二三がする時は決まってこの時間のこの場所でだ。シーツに精液が付いてしまわないように、射精する際にティッシュで受け止めるタイミングもすっかり慣れていた。
    だんだんと育ってくる陰茎を扱いていればせり上がってくる射精感を期待するのがいつものことだったが、今日の昼間のことを思い出すと別のことで頭がいっぱいになった。

    ── 独歩の……おっきかったな。固くて、俺っちのちんちんゴリゴリしてきたし、きもちかったな。

    はぁっといつになく熱い吐息が漏れて、密閉された布団の中の湿度が上がった。
    一二三は独歩の固さと圧迫を思い出してそれを再現するように指に力を入れてみる。すると背中がぎゅっと丸まった。堪らないのだ。
    頭の中には、覆いかぶさってくる独歩の姿が鮮明に浮かんでいるのに、この場に独歩がいないことが寂しくて急に独歩に会いたくなってきた。独歩と別れてまだ十時間もたっていないのに。独歩に会いたいこの湧き上がるような欲求はなんのだろうか。
    一二三は抱きしめるものもなくて、せめて枕を引きずり込んで胸に搔き抱いた。そういえばこの枕を使って独歩が昼寝をしていたことがあったな、と思うと無機質な枕にさえ欲情してしまう。独歩が使ってからはもう洗われてしまっていて彼の片鱗なんてないはずなのに、必死に独歩の匂いを探している自分のことを一瞬滑稽だと思ったが、すぐに独歩の言葉を思い出した「好きだからだろ」。
    そうだ、好きだからだ。
    一二三はその言葉に従って、何も気にせず独歩のかけらを探して枕に顔を埋めた。どっぽ、どっぽ、とうわ言のように呟かれる名前は枕に吸い込まれていく。陰茎を扱いているのに切なさばかりが募って絶頂に達した時には目尻に涙が浮かんでいた。
    荒い呼吸ですっかり暑くなった布団の中からぷはっと顔を出すと、冷房の涼しい空気が気持ち良かった。一二三は火照りを治めながら、残る射精感にぼんやりと天井を見つめる。いつもなら手を拭ってさっさと寝てしまうのだけど、もう少しこの気怠さに浸っていたいと思うのはやっぱり独歩を思い浮かべていたからだろう。
    自慰は自分を慰めると書くが、これは果たして自慰なのだろうか。なんだかすごいことをしてしまった気になった。
    額に滲んだ汗も引いてきた頃、一二三の胸にはまだ少しだけ切なさが残っていて自然に手が携帯電話を取っていた。時刻はもうすぐ日付けが変わろうとしている。独歩は寝ているだろう。だけどほんのちょっとでいい、声を聞きたくて、せめてメールで伺いを立てた。
    『寝てる?』
    するとすかさず返信が来る。
    『起きてる』
    この返信の早さだと目を覚ましてわざわざ返したものではないと思ったので、一二三は迷わず通話を繋いだ。ワンコール目の途中で繋がる通話。声を聞きたいと思った願いが叶ったようで嬉しかった。
    「どうした?」
    電話をかけた一二三よりも先に独歩の声がした。家の中も外も無音の深夜の世界で、独歩の声だけが一二三を優しく包む。
    「んー、別に……なあ、こんな夜中に電話すんの初めてだね」
    そう、実はこんな夜遅くに電話をするのは、切なくなることなどなかった友達であった今までにはなかったことだ。
    電話の向こうの独歩にも一二三の言葉の意味は通じている。
    「も、もしかして声聞きたかった、とか?」
    「うん……そう、それ。へへ、バレちった」
    「バレたも何も……一二三は起きてたのか」
    「起きてたよ」
    夜中ということもあり、お互いに潜めた声はまるで隣同士で内緒話をしているかのようだった。
    一二三はさらに声を抑えてほとんど吐息のような声で続けて言った。
    「独歩のこと考えながらオナニーしてた」
    「んな! な、なんだって?」
    「俺っち、誰かを考えてするなんてしたことなくて独歩の真似したんだけど、これすごいね」
    すると電話の向こうからわさわさと布団が擦れる音がして、独歩が布団から這い出た様子だった。起きていたものの寝る直前ではあったようだ。
    「すごいって、なにが……」
    「何も考えずにするより気持ちかった。独歩ってずっとこんなことしてたんかよー、ずるいじゃん」
    クスクスと笑う一二三の声がくすぐったくて、独歩は足をすり合わせた。
    何かいいものを隠していたように言われたが、独歩としては告白する前の相手をオカズにしていたことに少なからず罪悪感を抱いていたわけで、でもそう言われて気持ちが軽くなった。それに一二三も同じことをしたのだからおあいこだ。
    「なあなあ、独歩はなんで起きてたの?」
    「それより一二三、何か忘れてないか?」
    一二三は質問をしたはずなのに質問で返ってきた。先に独歩へ答えた方がいいということだろうか。
    「んん〜、なんだろ? 約束とか?」
    「そうじゃなくて」
    文具を忘れていったなら次に会った時に言えば済むことだろうから違う気がする。一二三は一体何を忘れただろうかとあれこれ思い出してみると、なんとかひとつ思いあたることがあったので、独歩は意外とロマンチストだったんだなと笑みを浮かべた。
    「分かった、アレだろ。キス。今日はそれ以上にすんごいことしたからほとんどしてないもんな。んでも今は無理だから次会った時に」
    「待て待て、違うからな」
    「違うの?」
    「誰がそんな『キスを忘れてるぞ』なんて恥ずかしいこと言うんだよ。もっと重要なことだよ。お前自分のパンツ忘れていったんだぞ」
    「……っ! それマジ? 荷物まだ確認してなかったから全然気付かなかった……。え、え、それどしたん?」
    「俺もさっき気付いて、洗っといてやった」
    親の目からも死守したので独歩は得意げになって言ったが、なぜか一二三からの返答はなくて電話の向こうがシンとしている。
    「一二三?」
    「……はは、俺っちちょーダセーのな……」
    何か落ち込んだような覇気のない声が聞こえて、一二三なら笑い返してくると思っていたのに予想だにしない反応に独歩は戸惑った。
    「き、気にすることないって」
    「だいじょぶ、うん……ちょっち恥ずいだけ。好きな人にはカッコいいとこ見せたいってのホントだな。そっかー、独歩俺っちのパンツ洗ってくれたんだ。あんがとね」
    もちろんそんな気は全くないが、独歩は一二三に恥ずかしい思いをさせてしまったみたいで申し訳なかった。反面、気落ちするほど意識してくれているなんてかわいいとも思う。
    「ごめんって、そんな落ち込むなよ」
    「なんだよ、独歩は悪くないだろ。なんかさ、付き合い始めてから変なんだよね。前はこれくらい笑ってたと思うんだけどな」
    声を聞きたいと電話してきたのもそうだが、体の触れ合いが増えて一二三は確実に独歩への想いが増してきている。もう十分好きだと思っていたのにまだまだ独歩を好きになる余地があって、一二三自身がそれに気付いていない。一二三にとって初めての恋なのだからそれは仕方のないことなのだ。
    おしゃべりしているうちにいつの間にか日付けが変わっていた。もうそろそろ通話を切ろうとしたがお互いにどうにも名残惜しい。「せーの」で切ろうという一二三の提案でそうしたが、通話が切れてもこの向こうに相手がいると思うとなんでもない携帯電話すら愛おしく感じた。
    独歩はそれを手に握って眠り、一二三はキスをした。耳に残った好きな人の声は、頭の中でじんわ溶け出して、あまい、あまい、夢をみさせた。

    * * *

    勉強をする日は、怠けずにきっちり集中したおかげか宿題はもうすぐ終わりそうだった。そうすればあとは遊ぶだけで、夏祭りや夏休みの終わり頃にあるビッグイベントの音楽フェスを心待ちにするのみだ。
    二人とも進学を決めているので、来年になれば夏休み返上で塾通いになるだろうし今年は目一杯楽しんでおきたい。

    今日は一二三の家で宿題をする日になっている。独歩は勉強道具とそれから預かっている一二三のパンツを丁寧に畳んで、失くさないように落とさないようにとショルダーバッグの一番奥に潜めた。
    同じ小学校だったので二人の家は歩いていくにもさほど遠くはないが、大きな道路を一本隔てている。少し時間のかかる信号があって、小さい頃の一二三はせっかちな面もあって、早く信号変われー!、と言いながらジタバタしていた。一二三が何をしたって信号が早く変わるわけでもないのになあ、と思っていたあの頃も今では懐かしいだけだ。朝の登校の時間、その横でちょっとは落ち着きなさい、と姉に怒られていたのも思い出される。独歩の家の方が学校側にあるので、独歩は信号の向こうから一二三姉弟のそんなやり取りをよく目にしていた。
    一二三の姉が小学生のうちはよく姿を見ていたが、彼女が中学に上がるとぱたりと見なくなった。小学生とは行動時間がずれているからだろう。今は大学二年生らしいが、独歩の記憶にはランドセルを背負っている姿しかないので、一体どんな大人になっているのか想像もできなかった。

    一二三の自宅マンションの前に到着すると、マンションから出てきた一人の女性とすれ違った。その時だ「独歩くん?」とその女性に声をかけられた。独歩は視線が合わないように下を向いて歩いていたので、ハッとして上を向くと、そこにいた女性の顔を見て息を飲んだ。
    まるでモデルのように美人で、人形のようにスラリと手足が長い。背中まで伸びた、明るい色の髪が柔らかく巻かれていた。
    しかし、独歩はこの女性のことを知らない。どうして自分の名前を知っているのか、呼ばれるのかも身に覚えなど全くなかった。
    「あの、どうして僕のことを……」
    「私、一二三のお姉ちゃんよ」
    にっこりと笑ったその頰にはえくぼがあって、それには見覚えがある。一二三によく似たかわいい女の子だった一二三の姉は、笑うとくっきりとしたえくぼが浮かんでいたのが印象的であった。誰にでも指摘されるので、こんなの嫌だな、と常々言っていたのも覚えている。
    「思い出した?」
    「え、ああ、はい。……いや、と言うか僕が知ってるのは小学生までなので……あの、全然誰だかわかりませんでした」
    「あはは、それもそうだよね。私だって一二三から独歩くんの写真見せてもらってたから分かるようなものだし。ねえ、めっちゃ背が伸びてるね、あんなちっちゃかったのに私より大きい! 今、何センチ?」
    「百七十五センチです」
    「一二三とおんなじくらいだ。すごいすごい! 一二三の後をちょこちょこ歩いてたのにこんな男らしくなって」
    私より大きいと言っても、独歩から見て一二三の姉との視線はそう遠くない。おそらく彼女も百七十近くあるはずだ。息を飲むような美人だが一二三と同じように笑顔は人当たりのいい柔らかさがある。一二三も成長してだいぶあどけなさが抜けてきたが、もしかしたらもっと精悍な顔付きになっていくのかもしれない、と彼女の顔から一二三の四年後を思い描いた。
    「今から一緒に宿題するんだって? 私は出かけちゃうからゆっくりしてってね」
    「すいません、ありがとうございます」
    「相変わらず礼儀正しいね。あの子、どの友達よりも独歩くんの話しをする時が一番楽しそうなんだよ、これからも一二三と仲良くしてやってね」
    そう言って独歩の背中をポンポンと叩くと、彼女は颯爽と歩いて行ってしまった。
    一二三と同じだ、と思った。一二三も何かあると背中を叩いてくるのだが、もしかしたら同じ癖でもあるのだろうか。

    「ねーちゃんに会ったの⁉︎」
    「うん、下の入り口で」
    一二三の家へ訪れると、一二三は洗濯物を取り込んでいるところだった。すぐ畳んじゃうからちょっち待ってて、と言われてリビングに通される。独歩はおとなしくソファーに座ってさっきの出来事を話した。
    「ねーちゃんめっちゃ美人になってただろ」
    「あんまり綺麗で声かけられても誰だか分からなかったよ」
    「なーんか、読モのバイトしてるみてーでさ」
    「ドクモ?」
    「読者モデル。モデルの駆け出しみたいなやつ。けっこーいい感じらしくって、俺っちちょー応援してんだよね。目指せパリコレ! って。んはは!」
    姉のいる同級生たちは大抵、姉が奴隷扱いしてくるだの臭いしか言われないだの、不遜な態度の姉たちの文句を言っているのを耳にするが、一二三はそういうのがない。先程弟のことを話している姉の言葉にもどこにもトゲがなかったところから、とても仲の良い姉弟なのだ。
    「俺も応援するよ」
    「うっしゃー! 独歩の応援があったらヒャクニンリキじゃん!」
    独歩は一二三のこういう前向きなところが好きだった。著名人がする応援ではなくて、いち高校生の応援は一人分にしかならない。しかし、子供っぽい例えだし大袈裟だけれど、一二三がこう言えば何かすごいパワーがあるように感じるのだ。
    洗濯物を畳み終えたようなので一二三の部屋に移動すると、独歩は真っ先にパンツを渡した。あの日一二三が忘れていったパンツだ。
    一二三は電話していた時みたいに恥ずかしがって、ありがと、と一言呟いただけだった。それから何か言いたげにもじもじしている。何を言い出すのか様子を伺っていると
    「なあ、独歩。き、汚いって……思わなかった?」
    「汚いって?」
    「……せーし付いたパンツだったじゃん」
    そんなことを気にしていたのか、と言いそうになって独歩は口をつぐんだ。そんなこと、ではなく一二三にとっては気になることなのだ。
    「他の誰かのなら絶対嫌だけど、一二三のをそんなふうに思えないよ」
    本心を伝えれば、一二三は伏せていた顔を上げ安心した顔をしていた。もしかして嫌われたくないと思ったりもしたのだろうか。独歩はそう思うと胸が苦しいほどにときめいた。それくらいに一二三に好かれていると自惚れてもいいだろうか、と。
    「ひふみ」
    独歩はまるで確かめるように一二三に向かって両腕を広げる。気付いてほしくて何も言わずに待った。すると一二三は考える間もないほどすぐに、すんなりと独歩の胸に飛び込んできた。示した好意をこんなに当たり前ように受け止めてもらえると、自惚れていいのだと思う。
    独歩は嬉しくて嬉しくて、一二三の背中が反るくらい力を込めて抱きしめると、くっついた胸の部分から一二三の心臓の音が跳ね返ってきて、だんだん高鳴ってくるのを感じた。これが自分のためならばなんて愛おしい存在だろう。
    守りたい。独歩はそう思った。
    一二三とは同じくらいの背丈で、抜かれやしなかとひやひやしているくらいだ。運動神経もいいし、実は気もきく。そんな男を守りたいだなんて、お前にできるのか?と自問したが、それでもしたい、というのが独歩の返答だ。守りたいというのはこの愛おしい生き物が何にも脅かされないようにと願うこともそれだ。
    一二三が泣いていたり、困ったりしたらどこにいたって一二三の元へ駆けつけるような、そんな。
    腕の中で一二三が「苦しいよ」と笑うので、独歩はこの気持ちを三文字に託したかったが、やっぱり気恥ずかしくて口にしにくい。その代わりにきちんと伝わるように丁寧に頰にキスをした。

    ── 好きだ。

    「ん、俺っちも好き」
    「今ので分かったのか⁉︎」
    「なーんとなくね。ただの勘だけど正解だった?」
    一二三の勘の良さを都合よく使ってしまうが、それなら今度からキスで伝えさせてもらおうと独歩は目論んだ。もちろん、ここぞという時は言うぞ、と妙に言い訳がましいことと共に。
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