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    @7_kankankan_100

    気の赴くままに書き物。今はエク霊、芹霊。(以前の分はヒプマイどひふです)
    正しい書き方はよく分かっていません。パッションだけです。
    書きかけ多数。

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    @7_kankankan_100

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    高校生どひふ夏休みのステップアップ。

    3週目の週末〜4週目のお泊りの始めくらいまで。

    #どひふ
    servant

    どひふ、夏休みにステップアップするってよ週末、独歩の弟の学童もない土曜日に、一二三は観音坂家に昼食にお呼ばれされていた。お中元で贈られた素麺が多かったので一緒に消化してほしいとのことだ。
    一二三たちが小中学生の頃は独歩の弟が小さかったので母親も家にいることが多くよく顔を合わせて話していたが、高校生になると働きに出るようになったらしくほとんど顔を合わせることもなくなった。年頃でもあるし久しぶりにまともに喋るとなると緊張もあるだろうが、一二三はそれがなかった。まるで昨日会ったかのように自然に観音坂家に溶け込んだ。
    「ママー!久しぶり、元気だった?っていつも俺っちが帰る時には顔見てんね、んはは」
    独歩が低学年の頃はまだ母親のことをママと呼んでいたので、一二三もそれに倣って独歩の母親のことをママと呼んでいた。高学年になると独歩はお母さんと呼び変えるようになったが一二三の方は相変わらずだった。独歩の母親はそれを気に入っていた。我が子はもうどちらもママと呼んではくれないので、その可愛い響きを聞けるのは一二三からだけになってしまった。
    「一二三くんとちゃんと喋るの久しぶりよねぇ。相変わらず明るくて独歩も半分分けてもらったいいのに」
    「一二三は声が大きいだけだろ」
    面と向かって反論するほどでもないが、言わないのも癪だったのでボソリと呟くと一二三は聞き取って飛んできた。地獄耳め。
    「なになにー?俺っちのこと呼んだ?」
    「呼んでない」
    「そーお?あ、なあなあ弟くんは?」
    「土曜だし、アイツも友達の家に呼ばれて行ってるよ」
    独歩はキッチンの見えるリビングのソファーに腰を下ろしたが、一二三はキッチンに向かった。独歩の母親が作業していたので手伝いに行ったのだ。もう十年もの付き合いになるので母親の方も遠慮なくお願いした。
    母親が麺を茹でている間に一二三が薬味を切っていく。その手つきは慣れたもので、包丁がまな板を叩く音もリズミカルで均等な太さに切れていた。
    「一二三くん上手ねえ」
    「うん。面白そうで中学の頃からちょっと料理してんだ」
    独歩はそれを知っている。一二三の家に行った時におやつを作ったとお菓子を振舞われるのはよくあることだし、まだ二回ほどしかないが練習中だという不格好だが美味しいオムライスを食べたこともある。昔から器用で、物作りの授業の時は仕上げまで完璧だったが料理まで上手なんて感心するばかりだった。
    それに比べて自分は不器用すぎて親から料理の手伝いは一切断られているし、洗濯物を畳むのすら弟の方が上手だったりする。
    生活力がほとんどない独歩は親に心配されているが、唯一植物を育てるのは上手だった。じっくり時間をかけるのが独歩の性に合っていたようだ。だから観音坂家の庭にはプランターが並んでいて、独歩が生産者になっている。今、一二三が切っている小ネギも大葉もオクラも独歩が育てた物だった。
    独歩がソファーに埋もれているのも決して怠けているのではない。自分の出番を待っているのだ。調理が終わりそうな頃合いにキッチンに顔を出し、お皿やお茶の準備をするのが独歩の役目である。
    そうしてその時が来て独歩がのそりキッチンに姿を現すと、母親が思い出したように、あっ! 、と声を上げた。
    「なになに、どったの〜?」
    「ああ、一二三くんごめんね、たいしたことじゃないんだけど。独歩、あんた来週のお祭りの後におばあちゃんちに行くって言ってあったの覚えてるわよね」
    「え……そうだったっけ」
    独歩はそう言われてもさっぱり思い出せなかった。それもそのはずで、去年も行きたくないのを無理やり連れて行かれたのだから覚えているはずがない。祖父母宅なんてもう数年前からつまらなくて早く帰りたいばかりだった。孫の顔を見たい気持ちは分かるけれど、もうお菓子をもらって喜んだり、遊びに連れて行ってもらってはしゃぐ歳でもない。それでも祖父母をがっかりさせないように振る舞うのはなかなか大変なのだ。
    「やっぱり忘れてる。ちゃんと準備しておいてね」
    「いや、俺は行かない」
    そういえば去年も同じ会話をしたような気がする。留守番をしていると言うと
    「何言ってるのよ。あんた一人置いて行けるわけないでしょ。二泊だけど、一人にしといたらどんな生活するか分かったものじゃないわ」
    今年も同じセリフが返ってきてしまった。
    「それを言われると……」
    独歩の危機に割って入ったのは一二三だ。二人の会話を聞いていて一二三の頭の中にはもしかして、というめくるめく期待が溢れ出したのだ。
    「ねー、ママ。それってさ、もしも俺っちが泊まりに来たら独歩行かないで済む?」
    「え、ええ! 一二三くんが? 大丈夫だけど……一二三くんに独歩の世話させるみたいで気が引けるな」
    「んじゃ、独歩んちだし、俺っちは口出しするだけくらいにしとくよ。独歩の監督って感じでどっかな」
    突然一二三は何を言い出すのか独歩は分からなかったが、出された助け舟を逃すことはしなかった。
    「やる! 一二三に任せっきりにしないでちゃんとやるから」
    「そうね、それなら……」
    納得した母親の一言に一二三はパッと花が開いたような笑顔を見せ、独歩はホッと胸を撫で下ろした。
    もうお昼を回っている。出来たての素麺をみんなで食べようとしたら向こうから洗濯機の終了音が聞こえてきた。すぐに干してくるから先に食べていて、と忙しなく姿を消した母親の言葉をありがたく受け取って、たっぷりの流水で洗ったピカピカの素麺をつるりと先に頂いた。
    「一二三、さっきは助かった」
    「独歩ちんが去年愚痴ってたの覚えてたしね」
    「時間あるから宿題終わらせられるな」
    独歩が素麺に薬味をたっぷり絡めながら呑気にそんなことを言うものだから、一二三はまだ気づいていないのかと驚いた。向かいに座る独歩の足をテーブルの下でコツンと蹴る。
    「あのさあ、二人っきりでお泊まりって言い換えたら分かる?」
    「ん⁉︎……んぐ! げほっ!は……え?」
    あまりに直球な言い方にさすがの独歩もようやく気づく。帰省を免れることしか考えていなくて抜け落ちていた事実に盛大にむせてしまった。
    さっきの一二三の頭の中には、もしかしてこれはハジメテチャンスなのでは⁉︎ というめくるめく期待が溢れていたのである。
    「実は、場所どこがいいんだろうって独歩と相談しようとしてたんだよね」
    「一二三もか。実は俺も……ホ、ホテルしかないだろうなって思ってて、伝えなきゃって」
    大きな声でしゃべる内容ではないので、独歩の声はだんだんと小さくなっていき、一二三はテーブル越しに耳を傾けた。独歩に続いて一二三もこそっと話す。
    「それってラブホ?」
    「それはさすがに壁が高いだろ?だから普通の……」
    「なるー! その手があったか、思いつかなかった。独歩天才じゃん」
    「これで天才呼ばわりされたら世の中ほとんど天才だろ」

    思いがけず日取りが決まって、二人の気持ちは一気に高まる。
    それからというものその日に向けてそれぞれが秘密裏に準備を始めた。もうたくさん触り合いをして心の準備は万端だ。
    一二三は当日に失敗しないように洗浄の練習と拡張を。
    独歩は一二三の中をほぐす練習を。勝手が分からず適当にやって一二三に不快な思いをさせたくない。

    独歩は練習しておいて良かったと心底思う。自分の尻に指を入れるのは感覚があるのでどう進んでいけばいいか分かる。もしも練習せずにいきなり一二三の中を触っても何がどうなっているのか分からなくてあせるばかりになっていたかもしれない。その時がきて、一二三の中を探る時は指を適当に動かさずに慣れるまでじっとしておこうと誓った。それくらいに適当に動かした指は内臓を抉っているようで油汗が滲むような思いをした。ただ、勉強した通り良いポイントだという前立腺も見つけることもできた。ここを刺激したら気持ちいいらしい。ここに到達するまでに我慢してくれる一二三にはきちんと気持ちよくなってもらわなければならないのだ。
    ここを触ったら一体どんな反応をするのか、想像だけで勃ってしまった。


    (四週目)

    一二三は先週から予定していた姉との買い物に来ていた。
    一二三は姉のことは好きだが、買い物の付き合いだけは別だ。女の買い物ほど長いものはない。服を一着選ぶだけで三回も試着し結局買わな買ったり、化粧品もどれも同じに見えるのにサンプルを比べてばかりだ。
    その間一二三は特に役立つわけでもないのに姉の買い物に付き合わされているのは、ずばり弟自慢のためだった。一二三の姉は、弟の一二三が可愛いくて仕方なくて昔からうんと可愛がっていた。生まれた時からくるくると丸い目や、笑うと天使みたいなところ、自分を慕ってくっついてくるところも全部全部好きだった。
    成長してもその可愛さは損なわれることはなく、むしろ美男に育ったものだからみんなに見せたくて仕方ないのだ。携帯電話の待ち受け画面にされている一二三の寝顔は誰に見せても感嘆の声が上がった。そんな自慢の弟を連れて歩けばすれ違う人の目が惹かれるのが楽しかった。私の弟はこんなに魅力的なのよ、と鼻が高くなる。
    一二三もそれは分かっているが、何も買い物でなくても別のやり方を取ってほしいとため息をついた。
    「だからハンバーガーおごってあげるって言ってるじゃない。ほら笑って笑って」
    背中をぽんぽん叩かれて、一二三は促されるままに笑顔を戻すとまた一人振り向いたのだった。姉はそれを一二三に向けられた視線だと思っているが、姉自身も十分な魅力の持ち主である。一二三といる時だけは一二三に向けられる視線にだけ敏感で、それだけ一二三のことを溺愛しているということだった。
    一通り買い物も終えて、ショッピングビルの上階にある飲食フロアに行こうかとエレベーターへ向かう途中また姉が足を止めた。キラキラと輝く宝石を模したファンシー雑貨のショップに目を奪われたようだ。一二三は嫌な予感がしたが、その予感の通りちょっと待ってて、と荷物を任されて一人残された。
    仕方ない。この後食べるハンバーガーはいつもの数百円の物とは違うお高いハンバーガーだ。肉汁が滴るような豪華なハンバーガーなんて高校生には手が届かない物をご馳走してもらえるならこれくらいは我慢できる範疇だ。
    しかしただ座って待っているのも面白くない。一二三は姉の荷物を提げてフロアをぶらぶら歩いていると普段なら通りすぎるだろうショップの前で立ち止まった。男性下着のセレクトショップだ。色々なメーカーの物があって、店頭にローライズのボクサーパンツが展示されていた。それが目に留まったのだ。
    普段ならパンツなんて買い替えの時に量販店で買うくらいなのに、展示された下着に添えられたキャッチコピーが一二三の目を引いた。

    ── いつもよりセクシーな雰囲気に、かぁ……

    もうすぐそんな予定がある一二三にとってはそそるセリフだった。心と体の準備はしていたが、そういえば雰囲気は考えていなかった。こういった物があったほうがより楽しい時間を過ごせるかもしれない。そう思って購入の決心をしたのだが、値段を見てみるとその決心は簡単にグラついてしまった。
    一枚三千円もするのだ。三千円もあったらコミックスが五〜六冊は買えるし、三回も外食できる。明後日には夏祭りがあって、それを考えると痛い出費だ。
    一二三は眉間に皺を寄せて唇を噛みしめるほど悩んだが、それでも独歩が見たらどんな反応をするのか期待してしまうし、せっかくだからいい雰囲気をつくりたい。
    一二三はグラついた決心を立て直し購入を決めた。少し離れた雑貨屋に姉を確認しに行くとまだあれこれ見比べて時間がかかりそうなので今のうちに買ってしまうことにした。
    それを手に取ると、さらりと心地いい手触りだった。さすが数千円の品だと感じる。さっさと買って何事もなかったように姉の元へ戻らなければいけないのに、慣れない物を手にしているせいで妙に恥ずかしくて奥にあるレジに進む足が怯んでしまった。この時一二三は決心したら迷わず進まなければいけないことを学ぶこととなる。
    躊躇しているうちに姉が戻ってきてしまったのだ。姉の存在に気付かず、レジをチラチラ気にしていると背後からポンと肩を叩かれた。
    「ひ、ふ、み。彼女できたならお姉ちゃんに話してよ〜」
    声こそ明るいものの、どこか含みのある調子に姉の不機嫌さが伝わってきた。以前から「彼女ができたならお姉ちゃんに会わせてね」と言われていて、可愛い弟に相応しい相手かどうか判断したいのだそうだ。
    「ねーちゃん……買い物終わるの早くね?」
    「そーでもないけど?割と時間かけちゃったから早く戻らなきゃって思ったくらい」
    一二三は自分で時間感覚がなかったが、それくらいに店頭でウロウロしていたということだ。
    「彼女できたどころかそんなとこまで進んでるの?」
    「彼女じゃねーし……」
    お付き合いしているのは独歩だ。当然相手が異性だと思っている姉を適当にいなすこともできたが、独歩の存在を否定したくない気持ちが本音を呟かせた。
    「まさか遊び。やだ、お姉ちゃんそんな子に育てた覚えないよ」
    「なんでそっち! ……女の子じゃないって、こと」
    「じゃあ、独歩くんだ」
    言いづらくて下を向いてしまった一二三に、姉は即座にそう返してくる、一二三は驚いて分かりやすいくらいに動揺した。
    「え、え、なんで? なんで分かんの?」
    「女の子じゃなかったらもう独歩くんしかいないでしょ。普段あれだけ嬉しそうに話しといて。昔からそうだけど、この前会った時にすっごく優しそうに成長してたね」
    「分かる⁉︎ 独歩めっちゃ優しーよ!」
    「で、それ見せるんでしょ。早く買っておいで」
    姉に独歩の話をふられてつい乗ってしまったところへ一瞬にして意識が元に戻される。姉の声はさっきからからかいなどなく優しいだけだった。小さい頃から、二人は仲良しだね、と言われていたのが今となってはこんな形になって、全て見守られているのがやけに気恥ずかしい。
    レジではやっぱり緊張してしまって財布を落としそうになったけれど、買ってしまえば達成感で足取りが軽くなった。

    ── 独歩、喜んでくれるかな。なんて言ってくれるかな。

    ステップを踏みそうな足取りで戻ってくると姉は考える人の姿勢でなにやら悩んでいる様子だった。
    「ねーちゃん、どったの?」
    「二人の問題だから聞くのも野暮かなって思うんだけど、どうしても気になっちゃって」
    姉は一二三の耳を手で囲って、周りに声が漏れないように「どっちが上なの」とこそっと聞いてきたのだ。
    「…………それはナイショ。てゆーか、ねーちゃん全然驚かなくね?」
    「私は一二三が好きな人と一緒にいて幸せだって思ってるならそれでいいもん。なにも驚くことなんて無いよ」
    「じゃあさ、もしも独歩が家族になっても平気?」
    ここは重要なところだ。自分の大好きな人が、大好きな家族に受け入れてもらえるか。一二三の友達としての独歩は十分知っているが、もっと近い存在になるのはどうだろう。
    姉は、神妙な面持ちで返答を待っている一二三を見て、この子は本当に真剣に独歩くんとの将来も考えているんだな、と感慨深くなった。
    「一二三さ、昔泣き虫だったじゃん」
    「なんで今その話?」
    「まあまあ、聞いてよ。でも小学生で独歩くんに出会って泣かなくなったの。私が泣き虫どこ行っちゃったの?ってからかったらなんて返したか覚えてる?」
    「なにそれ、いつ? 全然覚えてねーや」
    「一年生が終わる頃かなー。どっぽはやさしいから泣いてる子をほっとけないんだ、って。でね、その時の一二三は、泣いてるから独歩くんがそばにいてくれるんじゃないかって思ったんだって。そんなの嫌だからもう泣かないって。きっとさ、一二三はその頃から独歩くんのことが大好きなんだよ。だから私は一二三の大好きな人と家族になれるなら嬉しいな」

    そう言って微笑む姉は相変わらず綺麗だった。

    * * *







    (夏祭り……すっ飛ばします😇🤟)
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