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    たすけて

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    たすけて

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    若モリくんにウザ絡みされる探偵の話

    他愛のない話 パタパタと軽快な足音がする。ああ、またか。彼はふぅ……と溜息を吐き、パタリと本を閉じる。以前、本を読んだままの状態で対応を続けていたら、あなたをそれほど夢中にさせるその図書の内容は? と知的好奇心をキラキラと輝かせた瞳で見詰められた。長かった、アレは。故に必要最低限の会話で対応し、さっさと退室していただくに限ると彼は判断する。
    「この著書は私個人で調査している事件の資料であり、それをキミに明かすことはできない。故にキミの質問には答えられないし、応える義理もない。ということで、早急にご退室願おう、若きモリアーティ教授」
    一息でそう吐き捨てると、ノックもなしに扉を開けた不躾な男は「ホ」の形をした口のまま固まっていた。
    挨拶ぐらいしたまえ。いや、時間の無駄だ。しなくていい。内心毒づきながら、椅子に座ったまま、来訪者を見上げる。
    「随分と冷たいんですね、至高の名探偵ともあろう人が」
    「賛辞は受け取っておこう、言葉に罪はないからね。私はキミに親切にする義理はないし、キミの要件はプライベートなものだ。それこそ業務外さ」
    業務外の部分も強調して言えば、顎に手を考え込む仕草をしている。態とらしい仕草に指摘しようとして、彼はやめる。
    「なら、業務外でなければいいのだネ? カルデアの経営顧問殿」
    にこにこと人好きのする笑みを貼り付けて、部屋の入口にいたモリアーティは目的の人物へと近付いていく。顰めた顔を隠さず、傍に立つ人物を不審そうに見上げる。
    「シュミレーターを使いたいのだが、誰に確認すればいいかな?」
    適当な言い分に、はぁ……ととうとう溜め息が漏れる。これはもう退室する気がないと確信する。
    「知っているだろう、それぐらいは。召喚初日に教わっているはずだ」
    「ああ、僕としたことがうっかり忘れてしまった!」
    経営顧問であるあなたに聞けば確実かと思ってネ!
    無駄に元気よく吐かれた台詞に、ホームズは思わず眉間に皺を寄せる。馬鹿らしくなってきたと力を抜き、椅子に深く沈み込む。
    「キミは私にどうして欲しいんだい」
    「不愉快なんだ」
    先程までの爽やかな好青年は消え、不機嫌な表情をしたひとりの男がいた。
    「あなたが私以外に好奇心を持つのも、関心を向けるのも、何もかも。老齢の私があなたについて語って聞かせるのも、不快なんだ」
    己に生まれた感情を持て余すように、彼は忌々しそうに呟く。それを沈黙して聞いていた男は、耐えきれずふっと吹き出す。それまでの沈黙を破るように大声を上げて笑う。
    「ふはっ、はははっ」
    一通り笑い終えたホームズは、乱れた呼吸のまま話す。
    「はぁ……いや、すまないね。随分と可愛らしいと思ってね」
    くすくすと笑い、ぽかんと呆ける青年へと目を向ける。
    「そうだね、他に目を向けるな、なんて熱烈な告白を受けたんだ。答えなければね。うん、正直に言おう。それは難しい。私は経営顧問としてやるべき事があるし、私は探偵だ。探偵は謎を解くのが存在意義だ。例えキミでも奪えない。だから、キミは私が他に目を向けないように精進したまえ」
    いつか彼が至る犯罪王を想起しながら、微笑みかける。
    「私を退屈させないでくれ」
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