Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    ねるね

    @nernenigo

    成人済 おれはデプ(ガ)スパで行く

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 16

    ねるね

    ☆quiet follow

    🛁(@RzJis)さんの人魚AUにウキウキして書かせて頂いたギャグ。がぴたくんそううけ的なアレを目指したらぐえんちゃん無双になった(ぐえぴた・うぇがぴた・ではりがぴた)

    #グウェピタ
    gwepita
    #デプスパ
    debspa
    #ハリピタ
    haripita
    #P3

    がぴたくん🧜がめっちゃ右の方にいる和風人魚AU「釣れたぞ、釣れたぞ、大物だ!」

     いつかの昔、どこかの村の静かな朝に、がさつな大声が響きます。鶏もまだ鳴かぬ夜明け前、村のものは誰も皆、深い眠りの中におりました。ただ一人を除いては。
     
    「朝は静かにしなさいって言ってるでしょ!」

     書きかけの祝詞を置いて、木戸の向こうへ叫ぶのは、この村の神主のぐえんちゃんです。今日は村の鎮守の神様の、めでたいめでたいお祭り日。祭主を務めるぐえんちゃんは、その準備に大忙しなのでした。

    「アンタも今叫んだから同罪だな。いいから出てこいよ。なんか凄えの釣れちゃった」

     減らず口を返すのは、祝(ほうり)のウェイドウィルソンです。上司であるぐえんちゃんの命令で夜釣りに出ていた彼は、釣り上げたばかりの大きな魚を肩に担いでおりました。年に一度のこの例大祭には、朝一番に釣った魚をお供えするのが、村の古くからの慣わしなのです。

    「何なの?去年みたいに、蛸とか釣ってきたんじゃないでしょうね」
    「違うって!ちゃんと立派な尾鰭も、元気な背鰭も、きれいな鱗もある。ほら見ろ!」

     ウェイドウィルソンに急かされ、ぐえんちゃんはがらりと戸を開けました。

    「グウェン、たすけて」
    「……ピーター!ピーターじゃないの」

     目の前にいたのは、立派な尾鰭と元気な背鰭、そしてきれいな蜘蛛の巣柄の鱗を持った、人魚のがぴたくんでした。ウェイドウィルソンの肩に引っ掛けられ、しょんぼりとぐえんちゃんを見上げております。

    「アレッ、やっぱりただの魚じゃなかった?薄々そうかなーとは思ってたんだけどさ。あんまりに俺ちゃん好みだったもんだから、つい連れて帰ってきちゃった」
    「君が今じっと見てるその部分、お尻じゃなくて背中だからね。魚類に臀部とかないから」

     ジト目でウェイドウィルソンを睨むがぴたくんは、このあたりではただ一匹の人魚です。行き交う船を守り、溺れる者を助ける彼は、村人にも慕われるご当地ヒーローですが、案外迂闊なところがありました。こうして釣り上げられるのも、実は初めてのことではありません。

    「今日はどうしたの?ウェイドに何か酷いことでもされた?弁護士呼ぼうか?」
    「アンタ自分の部下のことなんだと思ってんの?」
    「違うんだ……お腹空いて動けない。三日くらい食べてなくて」
    「あら、可哀想に。ブランジーノは好き?」
    「なあ、時代考証って知ってる?」

     余計なことを言う部下をさらっと無視して、ぐえんちゃんはふう、と溜め息を吐きました。

    「それにしても、困ったわね。これじゃお祭りができないわ。今年はお米も麦もずいぶんと育ちが悪くて、皆とても大変なのに」
    「グウェン、どうしたの?僕に何かできることある?」
    「実は、供える神饌が足らねえんだ。魚が獲れなくてさ。このままじゃ今年の祭りができなくて、不作になっちまうかもしれねえな」
    「そ、そんな……」

     暗い面持ちで首を振るウェイドウィルソン。元はといえば、彼が漁を途中で放り出してきたせいなのですが。がぴたくんの顔が、さっと青ざめます。
     ──どうしよう、このままではお祭りが出来ず、村人たちがお腹を空かせてしまう。
     がぴたくんはきゅっと拳を握り、決意と共に顔を上げました。

    「……分かった。僕がお供えになるよ」
    「ピーター!そんな、あなたが犠牲になることないのよ」
    「いや、いいんだ。村の皆と、それに君たちのためだもの」
    「うーん、まあ、時間もないし。それじゃあお願いしましょうか」
    「えっ」

     よろしく、の一言を合図に、ウェイドウィルソンががぴたくんをよいしょと抱え直します。不安げながぴたくんを安心させるように、ぐえんちゃんはにっこり微笑みました。

    「なにか決意してるところ悪いんだけど、別にお供えって言っても、あなたを傷付けたりはしないから」
    「そうなの?僕、うっかり死を覚悟しちゃったよ」
    「うっかりでそんなこと覚悟しないで」

     ぐえんちゃんにぴしゃりと叱られ、がぴたくんがしゅんと尾鰭を落とします。がぴたくんは基本的に考え過ぎて突っ走るタイプの人魚でした。ウェイドウィルソンが「俺ちゃんはアンタの無鉄砲なとこ割と好き」と慰めます。

    「お祭りはせいぜい半刻だし、終わったらご馳走も出すし。短期バイトだと思ってもらえれば」
    「そうそう。俺ちゃんが作るから美味いぜ?」
    「へえ。なんだ、全然いいよ。やるやる」
    「ただちょっと、えーと、恥ずかしいかもしれないんだけど」
    「……へ?」

     まあ、見るのは私たちだけだから。そっと目を逸らすぐえんちゃん。ウェイドウィルソンは、いつの間にか腕に長い長い麻縄を抱えています。

    「あのね、お供えの魚は、吊って出すのが決まりなの。あ、これが一昨年の魚の絵。こんな感じに縛るから」
    「えっ?これを?僕に?」
    「だめ?」
    「えっ、いいけど……えっ?僕を?縛る?えっ?」
    「ハイハーイ、失礼しまーす」
    「ひえっ」

     同意した途端、ウェイドウィルソンの大きな手が、がぴたくんの尾鰭をぎゅっと掴みます。突然敏感な場所を握られて、がぴたくんは目を白黒させています。

    「ダイジョーブ、俺ちゃん上手いから。痛くしないし優しくする♡」
    「自分で上手いって言う奴ほど下手なのよね」
    「ハア〜〜〜〜!?その法則、俺ちゃんは例外だっての。見てろよコンニャロ」
    「えっちょっ、あの、ねえ、ゆっくり………あっ!」

     静かな村にこだまする、がぴたくんの妙に色っぽい悲鳴。追いかけるように一番目の長鳴き鶏が、カケコーと高らかに鳴きました。祭りの日の朝が、しらじらと明けようとしておりました。


    *


    「ハア………」

     重い重い溜め息が、磨かれた床板にずるずると吸い込まれていきます。ぷんとお酒の匂いのするその息の主は、この村の御祭神。静宮に坐せ奉る彼は、名を青儺出羽利神(あおなではりのかみ)と号されました。
     デハリ神は、この一帯を治めるオズコープ氏の氏神です。彼は少し気難しいところはあるものの、皆の崇敬を集める神さまでした。
     ところがこのところ、デハリ神はいつも、深い悩みと酩酊の中にいらっしゃいました。御神座の周りには今日も、御神酒の瓶子がごろごろ転がっています。アルコール依存性は適切な治療介入により回復が可能な病気です。早期の診断と治療が必要です。

    「うるさいな、放っといてくれ。どうせ僕は……うん?なんだ?」

     どんどんどどどん、と響く太鼓の音。常時二日酔いの頭を揺らすその振動に、デハリ神は顔をしかめました。年に一度の例祭の、始まりを報せる太鼓です。

    「祭りだと?ふん。今更、祭りなんかして何になる。僕は知らないぞ……おや?」

     気が付けば、お宮の前に沢山のお酒が並べられていました。お祭りのためにぐえんちゃんが仕込んだ御神酒です。ふわりと漂う良い匂いに、デハリ神の喉が、ごくりと鳴りました。

    「酒か。まあ、少しは気が利くじゃないか。ん?あれはなんだ?」

     お供えをよく見ようと、身を乗り出すデハリ神。その目に飛び込んできたのは、海の底のような青い鱗と、しっとり濡れた白い肌。それらにきつく食い込む白い縄。優美に反らされた顔は赤らんで、飴色の瞳が不安に揺れています。
     それは、これまで見たこともないほどに、扇情的で官能的でセンシュアルな魚でした。その美しくも艶かしいこと、性神もかくあらん。

    「なっ……えっ……ぴっ、ピーター!?ピーターだよな。お前、一体なんて格好してるんだ!?あああ、そんなに腹鰭をむき出しにして」
    「むむー、むむむ(あ、ハリー!久しぶり)」

     御簾を跳ね上げて飛び出してきたデハリ神に、猿ぐつわを咬まされたがぴたくんが返事をします。成長した幼馴染のあられもない姿に、デハリ神は思わず茹で蛸よりも真っ赤になった顔を覆って呻きました。割とウブなたちのようです。
     実は彼らは、幼少の頃より縁を結んできた竹馬の友でした。人魚が竹馬に乗れるかはともかく。

    「すごいわね、神様が御簾の外までお出ましになるなんて」
    「やっぱ刺激が強すぎたんじゃねえ?童貞の神には向かねえタイプのエロさだろアレ」
    「あんたが縛ったんでしょ」
    「アンタがやれって言ったんじゃん。想像以上にえっちな仕上がりで、俺ちゃんの股間が秋を待たずに大豊作なんだけど」
    「苅り取ろうか?」

     がぴたくんの後ろでろくでもない会話を繰り広げているのは、祭りの装束に身を包んだぐえんちゃんとウェイドウィルソンです。人間の前に姿を見せてしまったことにハッと気付いたデハリ神は、慌てて取り澄ました顔を作りました。

    「……あー、氏子らよ。祭りの催行、大儀である。だが、其方らの奏上は聞き入れられぬ」
    「むー、むむむむ(え、ダメなの?もしかして、やっぱり普通の魚がよかった?ごめん、僕じゃ美味しくないよね)」
    「……ピーター、少し黙っててくれ。あの、僕は」
    「心配しなくてもアンタは十分美味しそうだぜ。俺ちゃん今すぐ食べたいくらい」
    「あんたも黙りなさい」
    「むむむ、むむむむむ、むーむー(それよりハリー、どうしたんだ?なんだか顔色が悪いよ。大丈夫?)」
    「ピ、ピーター…!」

     デハリ神の目から感激の涙がほろりと落ちます。こんなえっちな海老反り状態でも僕のことを気遣ってくれるなんて、ピーターってば何て良い奴なんだろう。僕の友達はピーターだけだ。
     さめざめと泣きながら、自分が病を得ていること、このままでは黄泉の国へと帰幽してしまうことを告げるデハリ神。きっと真の友であるピーターならば、僕を助けてくれるに違いない。デハリ神は、若干思い込みの激しいタイプの神でした。

    「こんな状態じゃ、祭りをしてもらっても意味がないんだ。僕の病は治らない……不老不死の妙薬でもない限り」
    「エッ、あんじゃんそこに。だいぶえっちな薬が」
    「む?」

     皆の目が、すっとがぴたくんに集まります。全員の視線に晒されたがぴたくんは思わずポッと頬を染めましたが、問題はそこではありません。

    「……人魚!人魚の血!!」
    「むむ?」
    「ピーター、頼む!お前の血が必要なんだ!僕にお前の血を飲ませてくれ」
    「む!?」

     デハリ神の願いに、がぴたくんはさっと顔色を変えると、あたふたと皿の上から逃げ出しました。

    「むむむむー!!(ダメなんだハリー!君に僕の血はあげられない。そんなことをしたら、君は死ぬかもしれない)」
    「放っといたらどうせ死ぬ!更に死にはしない」
    「むむ、むー!!(危険なんだ。死ぬより悪いことになるかもしれないんだ!)」

     デハリ神の悲痛な懇願を、がぴたくんは必死で跳ね退けます。追い縋るデハリ神。ぴちぴちと逃げ惑うがぴたくん。

    「マズいわ。振られたショックで神様がタタリ神化し始めてる!」
    「アッホントだ。なんか緑っぽくなってきた!」

     髪の毛をぱちぱち逆立て、全体的に緑ががっていくデハリ神。へー、こうやって青儺になるのね、とぐえんちゃんが納得したように手を叩きます。いや青じゃなくて緑だろと言いたくなるところですが、古語ではエメラルドグリーンだろうとビリジアンだろうと全て青色カテゴリなのです。

    「ピーター!僕らは友達じゃなかったのか!?」
    「むー!!(ああハリー、ダメなんだ。君のためなんだ!分かってくれ……!)」

     昼ドラもかくやの攻防。落ちる涙と飛び散る鱗。その間に割り込んだのは、「要するにピーターの血液を使って薬を作ればいいのね?」という、ぐえんちゃんの一言でした。

    「……は?」
    「うーん、言ってみれば、劇薬みたいなものでしょ?有効域と中毒域を調べて、いきなり完治を目指すより経過を見つつ少しずつ投与を」
    「むむむむ(いや、そもそも僕の血が正常に作用するのは僕の親か僕にだけで)」
    「そのあたりはちゃんと分析して改善するわ。任せて」

     そういうの得意なの、解毒剤作ったりとか、とぐえんちゃんが頼もしく胸を張ります。ぐえんちゃんは、やたらめったら先端生命と薬学に強い神主でした。

    「というわけで、ピーター。ちょっと血抜くね。はい、痛くなーい」
    「むむむ(えっいいけど、ねえせめて縄ほどいてグウェン、……あっ)」
    「毎年この例祭の日に治療と健康診断しましょうか。ちゃんとお酒もやめてくださいね」
    「エッ、あっ、ハイ、すみません」
    「むむ…(グウェン…かっこいい…)」
    「なあ、コレってウェガピタ小説じゃなかったの?俺ちゃんの出番少なすぎない?」

     ぐえんちゃんはデハリ神を叱りつつがぴたくんをお供(材料)に薬を作り、ウェイドウィルソンはがぴたくんのために鉄分多めのご馳走をせっせと作り、緑っぽさの減ったデハリ神はがぴたくんと仲直りをしました。どこぞの電気技師はちょっと出番がありませんでした。何しろまだ電力が普及していない時代なので。
     何はともあれ、こうして村の平和は守られたのです。

     年に一度、がぴたくんがちょっとえっちな緊縛ショーを披露しつつ神様の病を治すこの祭りは、今もどこかの村で続けられているといわれています。
     ナチュラルボーンスーパーダーリンのぐえんちゃん、えっちが上手い(自称)ウェイドウィルソン、依存体質デハリ神に囲まれたがぴたくんの臀部(概念)がどの程度平和であったかは、残念ながら当代には伝わっておりません。
     のちにかんがへむひと、しらむ。とっぴんぱらりのぷう。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤💖❤💖🐬🐬🐬🐬🐟🐙❤🐟🐟❤❤❤👏👏👏🐬🐬⛩⛩💖❤❤💖❤❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works