学園地獄学園地獄
目を開く。そうすれば、階下で母さんが僕を呼んでいる声がした。実を言うと、僕はもうしばらく前から目が覚めてしまっていて、ただ今日という日がついに来てしまったことを直視しないために目を瞑っていたのだ。しかし、母さんが僕の名を呼び始めてしまったらそれももう効かない。僕が起きてこないとすれば、母さんは父さんか姉さんを僕の部屋に寄越すだろう。僕はどうしたって逃げられないのだ。仕方なく、僕はベッドから起き上がり部屋を出て階下に降りていった。
リビングに着けば、母さんはちょうど食卓に焼きたてのパンを配り終えたところである。そして、僕に気がつき振り返った。
「おはよう、シンクレア。……あぁ、可哀想に。その顔、昨日はあまり眠れなかったのね」
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