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    副官とピイナ補佐官の小説①

    ・全5話予定
    ・長官の悪役感が強い

    影になり日向になり -第一章-「これ、お酒なの?」
    テーブルに置かれたオレンジのグラスを見つめながら、ピイナはゲンブに問うた。オレンジといってもグラスの底の方には、赤みを帯びた液体が静かにとどまっている。
    「安心しなさい。ノンアルコールカクテルだ。色味にこだわったジュースだと思えばいい」
    訝しげに自身を見つめるピイナに、ゲンブは笑いながら答えた。
    「まだ補佐官となって日が浅い君には分からないだろうが、今後は会食の機会も多いはずだ。料理に関しても、一通りの知識は身につけておいた方がいい」
    「おじさんがそう言うのなら、そうなのね。じゃあ少しだけ……」
    ピイナはそう言うと、マドラーをかき混ぜ、グラスに口をつけた。
    「おいしい……! これが本当にジュースなの?」
    「さすがのわしも、未成年の新人補佐官に酒を飲ませたりはせんよ。スキャンダルはごめんだ」
    「おじさんらしいわ。政界一筋30年、スキャンダルのスの字も聞いたことがない政治家というのは本当ね」
    「そろそろ引退も考えていた頃だ。パピが大統領に当選してくれて本当によかった。これでわしも安心して余生を過ごせるというものだ」
    「あら」
    ピイナはゲンブを見つめた。
    「引退だなんてまだ早いわ。私たちは子どもだもの。まだまだおじさんのサポートが必要よ。勉強は得意だけれど、政界での身の振り方はしっかり教えていただかないと」
    「……やれやれ。落ち着いた生活はまだ先になりそうだな」
    ゲンブは嬉しそうに目を細めた。

    この日、ピイナとゲンブの姿は都心から少し離れたレストランにあった。格式高いこの店は、個室も備えており、政府関係者や大企業幹部の人間が密かにプライベートを楽しむ場としての顔を持っていた。政界に身を置いて長いゲンブも例外ではなく、この店には何度も足を運んでいる。店の性質上、給仕の者も口は固く、信頼できる人間ばかりだ。安心して身内と美味な料理を楽しむことができるこの店を、ゲンブはひどく気に入っていた。

    「どの料理もとてもきれい。パピも来ればよかったのに」
    美しく皿の上に盛り付けられた前菜に目を輝かせながら、ピイナが口を開いた。
    「気丈に振る舞ってはいても、なんだかんだ10歳だ。さすがに2週間、休み無しは応えたようだな」
    「あんな疲れた顔で『いってらっしゃい』だもの……。今頃、いい子で寝ているかしら」
    「それに比べて君は元気だな、ピイナ」
    ゲンブはピイナを見つめた。
    「君とて、しばらく休みが無かったではないか。それなのに、こうして会っていても、全く疲れを感じさせんぞ。大したものだ」
    「そんな。パピに比べれば、私の職務なんてちっぽけなものよ。もっとパピのサポートができればいいのだけれど」
    「なに、パピが君に頼るべきところまで背負い過ぎているだけだ。そのあたりのことも、ゆくゆくは教えていかねばならんな」
    そのとき、扉をノックする音が室内に響き、給仕の男が入ってきた。手に持ったトレーには、青い液体の入ったグラスがのせられている。
    「失礼いたします。あの、こちら、あちらのお客様からでございます」
    店員はピイナの目の前にグラスを置くと、どことなく不安そうな表情で、扉の方を見るようゲンブに促した。
    見ると、開けっぱなしの扉の先は広いホールとなっており、何組かの男女が食事を楽しみながら談笑している。皆、品のよい身なりをしているが、その中に1組だけ、男性2人だけのテーブルがあった。服装こそはスーツだが、この店はプライベートで、恋人や配偶者と食事を楽しむことが通例だ。年齢的にも父親と息子のようには見えない。この店らしからぬ2人の男の姿が、ゲンブにはひどく不自然に見えた。
    男の1人はゲンブの視線に気づくと、自身の赤い目をゲンブに向けた。口元に笑みを浮かべ、こちらを見遣る男の姿にゲンブはため息をついた。

    ──けしからん連中だ。

    「君」
    ゲンブは、先ほどの給仕の男に声をかけた。
    「困るのだが。わしがプライベートでここに来ていることは知っているだろう? こんな飲み物、断るべきだ」
    「……申し訳ございません」
    給仕の男が、うなだれながら答えた。
    「私もお断りしたのですが、いかんせん『ギルモア将軍』のお名前を出してこられまして。ダメ元でよいので、とりなしてくれと」
    「なんだと?」
    ゲンブは再び、扉の先に視線を向けた。先ほどの男は、あいかわらず笑みを浮かべながらこちらを見つめている。その隣には、青い髪の大柄な男が座っていた。鍛えているのであろう、スーツの上からでも分かる体格の良さに、ゲンブはようやく理解した。

    ──なるほど。ギルモア配下の軍幹部が、わしらにあいさつというわけか。

    見たところ、2人とも年は若そうだ。まだ、ここがどういう場所なのか分かっていないのだろう。ここでの振る舞い方を、若い連中に教えてやるのもいたしかたあるまい。ゲンブはため息をつくと、給仕の男に告げた。
    「いいだろう。あの連中をこちらへ。ギルモアへの貸しだ」







    「お招きいただき光栄に存じます」
    赤い目をした男は、ゲンブに深々と頭を下げた。この男の方が階級は上なのだろう。連れの大柄な男は、常にこの男よりも一歩後ろを歩いている。
    「このような場所で失礼かとは存じましたが、なにせ治安大臣と新人補佐官の姿をお見かけしてしまっては、あいさつの一つもせねばと思いまして」
    つらづらと言葉を述べる男を、ゲンブは訝しげに見つめた。

    ──失礼だと? この男、分かってこんな真似をしてきたのか?

    それに、この声には聞き覚えがある。ゲンブは男に尋ねた。
    「わざわざのごあいさつ、ご苦労。ところでもしやとは思うが、君とはどこかで会ったかな?」
    「おや、お気づきになりませんでしたか?」
    男はニヤリと笑うと、懐からサングラスを取り出した。
    「私です。ドラコルルですよ」
    「ぶほぉァッ!?」
    グラスの酒を口に含んだのも束の間、ドラコルルの言葉にゲンブは盛大にむせ返ってしまった。
    「このように格式高い店では、サングラスも外さざるをえませんでした。まぁ、そのおかげで、私だとお気づきにならなかったようですが」
    「ふざけるなッ! 誰が貴様などッ」
    「まぁまぁ、よいではありませんか。せっかく良い店に来たというのに、男2人ではつまらないと思っていたのですよ」
    ドラコルルはサングラスをかけ終えると、ピイナに目を向けた。
    「ご一緒しても? 補佐官」
    「え!? ええ、私は別にかまわないけれど……」
    「ピイナ!!」
    ゲンブの制止を気にすることもなく、ドラコルルは笑みを浮かべながら、ピイナの隣に腰かけた。
    「お初にお目にかかります。いやはや、こんなに美しい方と食事ができるとは、世も捨てたものではありませんな。こちらのカクテルは、もうお飲みになりましたか?」
    ドラコルルはそう言うと、先ほど店員に運ばせた青いグラスを指差した。
    「え!? い、いえ、まだ……。このグラスは、あなたが……?」
    「ええ。お近づきの印に一杯ご馳走させていただきました。あなたの青い瞳に、ぴったりだと思いましてね。ノンアルコールのブルーキュラソーです」
    ドラコルルは、さらにピイナの前に置かれた赤いグラスを手に取った。
    「こちらはカシスのノンアルコールカクテルですか。オレンジ味のある赤は、私の瞳の色によく似ている。……補佐官、お手を」
    ドラコルルはピイナの手をとると、先ほど自分が贈った青いグラスをゆっくりと持たせた。
    「赤は私、青はあなた。さぁ、補佐官。こうしてお会いできたのも何かの縁だ。この良き日に乾杯いたしましょう」
    「え!? い、いえ、あ、あの……」
    「ドラコルル! 貴様、いい加減にッ……」
    困惑するゲンブの声など全く聞こえていないとでもいうように、ドラコルルはピイナをしかと見つめて告げた。


    「 君の瞳に乾杯 」















    その瞬間、確かに時は止まり、ピイナの体は凍りついた。















    「あー……。ところで、ドラコルル室長?」
    数十分、顔を引きつらせながらドラコルルの話に相槌を打つピイナを見かねて、ゲンブが声をかけた。
    「ピイナと仲良くするのも悪くないのだがね。我々もプライベートゆえ、そろそろ部屋から出て行ってもらえないだろうか……?」
    「おや、これは失礼」
    ドラコルルはピイナとの会話を終えると、ゲンブに向き直った。ピイナはホッと安堵の息をついている。
    「可愛らしい補佐官と話をするのに夢中になってしまいました。それはそうと、治安大臣。実はあなたにも、申し上げたいことがありましてね」
    先ほどの、ピイナに話しかけていた声色とは違って、ドラコルルは真剣な表情でゲンブを見つめた。
    「これはまだ非公式なのですが、情報収集に特化した新たな組織を設立する流れが、軍の内部で起こっております。今まで、我々諜報部の人間は、国防に関することしか情報の収集を許されておりませんでしたが……」
    ドラコルルは、ひと呼吸おくと話を続けた。
    「軍から独立することで、国防以外のあらゆる情報を収集し、それらを閣僚の方々に提供することが、この新たな組織の目的です。その組織の長として、今回、私が選ばれましたので、ひと足先にごあいさつしようとお声がけしたのですよ」
    そう言い、ドラコルルはゲンブに頭を下げた。ゲンブは訝しげにドラコルルを見つめている。
    「……初めて聞く内容だな。つまり、軍の諜報部が独立し、国防以外のことで我々に口出ししてくるということか?」
    「口出しなど、とんでもない。情報収集の範囲を広げて、それを事実としてあなた方にお伝えするだけです。正直なところ、ピリカ全土の国民の小さな声まで、あなた方が理解なさっているとは思えません。そんな小さな声も拾い上げ、あなた方にお伝えできれば、それは素晴らしいことだと思いませんか?」
    ドラコルルはゲンブを見つめながら、さらに言葉を続けた。
    「我々も軍の諜報部として、仕事には誇りを持っております。情報収集のノウハウを国民のために生かせるなど、こんなに嬉しいことはありませんよ」
    そう言い、ドラコルルは誇らしげに口角を上げた。だが、ゲンブはあいかわらず、訝しげにドラコルルを見つめている。

    「……ドラコルル室長。貴様、何を考えている?」

    しばらくの沈黙ののち、ゲンブは口を開いた。
    「ギルモアの腰巾着の貴様のことだ。口では都合のいいことを言っておいて、裏で何か企んでいるのだろう?」
    「人聞きが悪いですな。たとえ私が何か企んでいたとしても、軍人は絶対にあなた方には逆らえませんのに」
    ドラコルルは、さも心外とでも言うように、両方の手のひらをゲンブに見せた。
    「この国は民主主義だ。大統領も含め、選挙で選ばれた者こそが絶対です。文民統制の原則がある以上、所詮、我々は閣僚方の命令なしには動くことはできないのですよ」
    ドラコルルは続けた。
    「ギルモア将軍もそのことはよく分かっておいでです。第一、将軍が一度でも、あなた方の命令に背いたことがありますか?」
    ドラコルルの言葉に、ゲンブは何も答えなかった。
    「無かったはずです。確かにご発言に少し過激なところはありますが、それはあくまで、軍人として意見を述べたまで。最終決断を下すのは、絶対にあなた方です。もし、私や将軍が何か企てていようとも、あなた方にはそれをねじ伏せる権力があるではありませんか」
    そこまで話し、ドラコルルはゲンブをじっと見つめた。サングラスをかけていても、その表情は真剣そのものだ。

    「……なるほど。……確かにそうだな」

    しばらくのち、ゲンブが口を開いた。
    「いいだろう。新しい組織については、わしの方からパピ大統領に伝えておく。だが、何かよからぬことを考えてみろ。ギルモア共々、二度と国の中枢に戻れぬようにしてやるぞ」
    「お分かりくださり光栄です。では、本題ですが……」
    ドラコルルは、グラスの水で喉を潤すと、再びゲンブに向き直った。
    「新組織の設立にあたって、ピリカ星本土だけでなく、小衛星帯にも拠点を作るべきだとの意見が出ておりまして。そこで一つ、治安大臣にお願いがあるのです」
    『小衛星帯』という言葉に、ゲンブの表情に変化が生じたのをドラコルルは見逃さなかった。

    「あなたがお持ちの廃坑を、我々にお譲りいただけないでしょうか?」

    ドラコルルの言葉に、ゲンブは目を見開いた。
    「あなたのご先祖が、あの辺りの鉱物資源の採掘で財を成したことは、皆が知っている通りです。そのお家柄を利用して、地元に基盤を築き、何人もの政治家を輩出なさっていることも」
    ドラコルルは、ニヤリと笑った。
    「ですが、鉱物資源もいずれは尽きる。採掘が終わった小衛星は、何の価値もない空っぽのお荷物だ。毎年の固定資産税も、いい気分はしないでしょう?」
    ドラコルルの言葉に、ゲンブの口元がピクリと揺れた。
    「しかも運が悪いことに、小衛星に取り付けていた発信機も、長年の放置で壊れてしまった。結局、今は土地の名義だけはあなたで、小衛星の正確な位置は不明のままだ。これじゃあ、売却しようにもどうしようもない。税金の支払いだけが残りましたな」
    ドラコルルは笑みを浮かべながら、ゲンブに目をやった。今、見せている表情は、ゲンブが最も苦手とするものだと知っているかのように。

    ──ギルモアの犬が。本性を見せおったな。

    「……それで、そのお荷物な小衛星をお前たちが買ってくれると言うのか?」
    心の内を見透かされぬよう、ゲンブは平常を装いながら口を開いた。
    「ええ。それなりの金額で購入させていただきますとも。このままあなたが持っていても、いずれは甥っ子のパピ大統領が相続なさるだけです。何の価値もない負の遺産の相続ほど、身内にとって迷惑な話はないでしょう?」
    ドラコルルはさらに続けた。
    「そんな無価値な小衛星を、我々が購入すると申し上げているのです。小衛星の捜索も全て我々が行います。見つかった暁には、軍の拠点として再工事をします。あなたには大きな金が入り、毎年の税金からも解放される。メリットしかないと思うのですが……」


    「……なるほど。だが、今日はずいぶんと饒舌だな……」


    ドラコルルの話を一通り聞き終えると、ゲンブは口を開いた。
    「貴様の言いたいことは、よく分かった。とても魅力的な提案だが、一つだけ確認しておくことがある」
    ゲンブはドラコルルの反応を見逃さぬよう、じっとその顔を見つめた。

    「金の出どころはどこだ?」

    ゲンブの言葉に、ドラコルルの口元がピクリと揺れた。
    「軍の予算は決まっているだろう? しかも新たに組織を設立するとなると、相当な金がいるはずだ。とてもではないが、小衛星を購入する金など、残っていないと思うのだが?」
    「……購入費用は、閣僚方に承認していただいた後に、軍として補正予算をお願いする予定です。……ですので、金の支払いは、少しばかりお時間をいただくことにはなりますが……」
    どもるドラコルルの姿に、ゲンブはふんと鼻を鳴らした。

    「ドラコルル室長。貴様らしくないな」

    ゲンブが口を開いた。
    「補正予算など、そう簡単に通るものではない。そんな不確かな金をあてにして、小衛星に軍の拠点を作ろうなど、皮算用が過ぎるぞ」
    ゲンブはドラコルルを睨んだ。


    「……わしに嘘をついたな? 金はすでにあるのだろう?」


    ドラコルルは黙ったまま、ゲンブをじっと見つめた。
    「貴様が通るかも怪しい予算で、先のことを計画するはずがない。正直に言え。金の出どころはどこだ?」
    ゲンブの問いに、ドラコルルはしばらく黙り込んだ。部屋の中は、重苦しい沈黙に包まれている。

    やがて、ドラコルルは観念したかのように頬を緩ませると、パチパチとゲンブに拍手を送った。
    「お見事です。治安大臣。あなたのおっしゃる通り、金はすでに用意できています」
    ドラコルルは、ゲンブに笑顔を向けた。
    「ですが、その出どころを答えることはできません。『我々にも支援者がいる』とだけ、申しておきます」
    「ふん、思った通りだ。どうせ、ろくな金ではあるまい」
    ゲンブは目の前の酒を飲み干すと、大きな音を立てて、グラスをテーブルに叩きつけた。
    「そんな汚い金、受け取るわけにはいかん。よってこの話は無しだ。さぁ、早く部屋から出ていってくれ」
    「さすがは、スキャンダルのスの字も出ない政治家だ。せいぜい残りの人生、無価値なものに金を払い続けることですな」
    「うるさい! さっさと出ていけ!! おい、そこのお前!!」
    ゲンブは部屋の扉の傍らに立つ、青い髪の男を指差した。
    「治安大臣からの命令だ! 早くお前の上官をこの部屋から連れ出してくれ!」
    「へ!?」
    突然のゲンブの声に、青い髪の男は素っ頓狂な声をあげた。
    「じ、自分がでありますか!? え、いや、しかし……」
    「ええい! 早くしろ!!」
    ゲンブの怒声に驚いた男は、大急ぎでドラコルルを抱え上げると、部屋を後にした。












    「私、あの人苦手だわ……」
    静けさを取り戻した部屋の中で、ピイナはげっそりとした様子で口を開いた。
    「こちらのペースを無視して話し続けるし、腹の底では何を考えているのか分からないし。すごくいやな感じがしたわ」
    「君の感覚は正しいよ。奴が饒舌なときは気をつけた方がいい。頭はキレるが、人の弱みにつけこんでくるやり方が気に食わん。国防で相応の成果はあげているが、絶対に気を許してはいかん連中だ」
    ピイナと同じように、ゲンブもため息をつきながら、疲れた表情を見せた。
    「これからのことが心配だわ。ところでもう一人の人は、何も話さなかったわね」
    「……ああ」
    ピイナの言葉に、ゲンブはようやくリラックスした様子で、口ひげに手を当てた。
    「ドラコルルの付き人か何かだろう。あの立場の者は、上官の会談中は絶対に口を挟まないのがマナーだ。よく教育されていた」
    「ええ。完全に空気になりきっていたわね。私ときたら、おじさんとドラコルル室長の話を聞きながら、ずっとそわそわしていたのに」
    「立場的には君と似たようなものだ。気に食わん連中だが、あの付き人の態度は君も参考にするとよいかもしれんな」
    ゲンブの言葉を聞いたあと、ピイナはテーブルに置かれた青いグラスに目を落とした。

    『あなたの青い瞳に、ぴったりだと思いましてね』

    先ほどのドラコルルの言葉を、ピイナは思い起こした。

    ──そういえば、あの人の瞳の色も青かったわね……

    不思議な親近感を覚えながら、ピイナは静かにグラスに口をつけた。





    つづく
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