仕事終わり、夜、玄関に置かれた段ボールの数々に日向は頭を抱えた。
仕事向きのスーツ一式とワイシャツ。プログラム世界に近いシャツとパンツ…普段着に加え、パーカーやらコートやら。おはようからおやすみまで安心できる様にとパジャマも何種類か添えられている。
ピシッとした革靴と、ささやかなチャームがトレードマークの鞄も普段使い用と仕事用に一つづつ。
日頃の任務、プライベートから冠婚葬祭まで、生活の全てを網羅されたら、誰だって複雑な気分にならないだろうか。そう思ってもおかしくはない大荷物が届いたのである。
日向創という人間がそれらを毎日着こなすには、少々…否、かなり敷居が高い服に服に服の山。5、6桁の数字が並んだ値札がギフトラッピングからはみ出てちらりと顔を覗かせる。シールが剥がれていたのは彼の“幸運”が災いしたからか。日向は尚のこと物言わぬ服に戦慄いた。それから服の送り主にも。
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