珈琲と茶まんじゅう、早朝にて明け方に目が醒めた時、珈琲が飲みたいと思えば面倒だが道具を持ち出して厨の勝手口側にある井戸の横で珈琲を入れる準備をする。
珈琲用のやかんを七輪にかけて湯を沸かす間に、豆をゴリゴリと挽く。
「やぁ、お早う。ご相伴にあずかっても良いかい?」
「おはようさん」
内番服に厨仕事用の前掛を着けた歌仙がご丁寧に菓子を乗せた盆と自分用の珈琲用の碗を持って近寄ってくる
返事の代わりに勝手口の側に用意されている床机を対面に置く。
「やかんを少しずらすよ、温めて食べよう」
「おう……珈琲に茶饅頭かよ。食い合わせ的にどうなんだよ?」
「この前たまたま珈琲と一緒にいただいてね、なかなか乙なものだったよ」
苦笑いを浮かべてやかんをずらして饅頭を二つ、七輪の網に乗せる。
607