イカロスの翼 第3話 また来る、と言った言葉の通り、五条はその後定期的に高専を訪れるようになった。
初めこそ慌てて対応に走っていた教師陣も、三度目になるころにはすっかり慣れ。校内放送で夏油を呼び出し、その間応接室に一人で放置しておく、なんて、以前ではありえないような雑な対応になった。
「僕がほっといて、って言ったんだよ」
応接室の黒いソファーに、ずいぶんカジュアルなシャツとチノパンのスタイルで現れた五条は言った。一般科目の授業中に放送で呼び出され飛び込んだ応接室、五条が一人で座っていることに仰天した夏油に対する言葉である。
先生たちは、と尋ねたところ、彼はけらけらと笑った。
「まあ、別に公的に視察に来てるわけじゃないしね。ただの卒業生の母校訪問なら、こんなもんじゃない?」
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