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    PoisonOakUrushi

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    PoisonOakUrushi

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    鬼島、天生目、葉月
    でがらがらどんパロディ

    #鬼島空良
    onijimaKora
    #天生目聖司
    born-eyeSeiji
    #葉月薫
    #NG

    三匹ヤギのアウトロー吉走寺山

    そこは、いくつもの小さなヤギの群れからなる、大きなヤギの群れが暮らしていました
    ヤギ達は人とあまり変わらない姿をしています
    違うのは、とんがった耳と二本の角くらい

    ある群れに、どのヤギより強く喧嘩っ早い
    でも、家族や友達を大事にする、心優しい男の子ヤギがいました
    名前は空良

    空良には、小さい時から一緒に育った、仲良しの天生目という幼なヤギがいます
    天生目は空良が暮らす群れとは別の群れの主の愛息子ですが、空良のことが大好きです

    空良と天生目は、悪いことをしてるヤギ達をやっつけたりしてよく遊んでいました

    空良と天生目が暮らす群れとは別の群れに、葉月という女の子ヤギがいました
    葉月は空良の妹ヤギの愛海と仲良しなので、空良と天生目とも仲良しです

    葉月は不思議なことが大好きで、すぐ幻のチョウチョを探したり、夜にだけ光る花を探しに行ったりしてしまいます

    他のヤギ達は、空良と天生目と葉月のことを、三匹ヤギのアウトローと呼んでいました

    ある日、葉月が言いました

    「神座山にリンゴを取りに行こう」

    空良と天生目は首をかしげました
    神座山は隣のお山
    隣のお山に行かなくとも、リンゴの木なら、この吉走寺山にも生えています

    「金のリンゴがあるんだって」

    空良と天生目は葉月の言葉を信じませんでした
    しかし、ほうっておくと一匹で隣のお山へ行ってしまうと、今までの経験で知っています
    空良が天生目の顔をうかがうと、天生目はため息をこぼしました

    「あぶないことはするなよ」
    「しかたないね」

    空良と天生目は、葉月に勝手に行動しないこと、を約束させてついていくことにしました

    隣のお山へ行く途中、谷川には橋があって、そこを渡らなくてはいけません
    橋は細く木でできており、一匹づつしか渡れそうにありませんでした
    三匹がどうしようかと相談します

    「あたしが先に行く」

    元気よく葉月が手を上げました
    空良と天生目は「ダメ」と言いました

    「他に道はないのか」
    「さすがに、あぶなげな道で女の子に先を歩かせるのはね」

    しかし、葉月も負けません
    他に道が無いことや、自分が一番身軽だとうったえます
    目をはなすと、一匹で走っていきそうな葉月の熱意に負けて、空良と天生目はしぶしぶ認めました

    「なにかあったら、俺たちにまかせろ」

    空良の声を聞きながら、葉月は軽やかに橋を渡ります
    こつ、こつ、こつ、こつ

    「だれだ、おれの橋をわたるのは」

    どこらから聞こえた声に葉月は足を止めて、辺りを見渡します

    「え? あたしのこと?」
    「そうだ、おまえだ」

    橋の下からズルズルと、真っ黒な体がはい出てきました
    その顔には、お皿のような目がギョロリとついて、長く曲がった太い鼻があり、さけた大きな口には、いびつに並んだ歯がたくさんあります

    「あなた怪獣ね! はじめてみた! 種族は何?! 何でこんなところにいるの?! ああ! それよりもサインと握手を!」
    「やかましい!」

    突然と興奮してまくし立てる葉月を、橋の下の化け物が怒鳴りつけましたが、葉月の目はキラキラと輝いていました
    化け物は、なんだこいつ、と思いながら葉月を見ます

    「へんなヤギめ、おれはトロルだ。ちょうど腹もへってるし、おまえのことを食ってやろう」
    「え、それはこまる」

    トロルに会えて喜んだ葉月ですが、食べられたくはありません
    どうしようかと悩んだ葉月は、空良の言葉を思い出しました

    「トロルさん、トロルさん。もう少ししたら、あたしよりも大きなヤギが来るよ。あと、サインと握手して」
    「ぬ?」

    トロルが葉月を眺めて考えます
    葉月は女の子ヤギなので肉は柔らかそうですが、トロルよりずっと小さく、食べる部分は少なそうです

    「よし、行っていいぞ。サインと握手はなしだ」

    葉月はガッカリしながら橋を渡り、トロルは橋の下に隠れました

    とん、とん、とん、とん
    さっきより重い足音をたてて、天生目がやって来ました

    「だれだ、おれの橋をわたるのは」

    どこらから聞こえた声に天生目は足を止めて、辺りを見渡します

    「ひっ! いっ、いったい、どこからこえが……?」
    「ここだ」

    橋の下からトロルがずるりとはい出します

    「ゆ、ゆうれい……」
    「かってにころすな!」

    トロルをみて、真っ白になっていた天生目でしたが、生きている相手とわかり、ほっと息をはきました

    「なんだ、おどろかすなよ」

    トロルは天生目に、また変なやつ、と言いたそうな目を向けましたが、気をとりなおしてじっくり眺めました
    男の子のヤギだけあって背が高く、女の子ヤギより食べごたえがありそうです

    「なかなかいい大きさだ。おまえのことを食ってやろう」
    「げ、肉食かよ」

    天生目にとってのアレルギーである、幽霊でなかったことは良かったですが、食べられたくはありません
    どうしようかと思った天生目でしたが、にこりと笑いました

    「僕なんかより、よっぽど肉づきのいいヤギがあとから来ますが、そいつを逃していいんですか?」
    「ぬ?」

    トロルがじっくりと天生目を眺めます
    たしかに背の大きなヤギですが、細めの体で食べる部分は少なそうです

    「よし、行っていいぞ」

    天生目がトロルに手を振りながら、橋を渡っていきました
    すると、すぐに音がします

    がた、がた、がた、がた
    橋の音がちかづいてきます

    「だれだ、おれの橋をわたるのは」

    トロルがふりかえると、そこには空良が立っていました

    「あ? なんだテメェは」

    空良に睨まれたトロルも、負けじと睨み返します
    今度の男の子ヤギは、女の子ヤギより大きく、さっきの男の子ヤギより肉がついていて、食べる部分も多そうです

    「おれはトロルだ。うまそうなヤギだな。どれ、おれが食ってやろう」

    舌なめずりをするトロルに、空良も戦闘態勢にはいります

    「はっ、食えるもんなら食ってみやがれ。だが、ただで食えると思うなよ。角も拳も、飾りじゃねぇぞ」

    飛びかかるトロルを、空良の拳がとらえます
    とくいわざの、正拳乱れ突きがトロルの体をとらえます
    一秒間に八回もなぐられたトロルは、橋から落ちてしまいました

    空良が橋を渡りきると、まっていた天生目と葉月がやってきました

    「無事だったか」
    「うん、やばくなってすぐに、天生目くんにパスしたし」
    「ちょっと腹たつけど、しかたないね。僕も、空良にまかせたし」
    「おまえらが無茶するより、よっぽどいい」

    無事をよろこびあった三匹は、仲良く神座山へ向かいました

    金のリンゴは見つかりませんでしたが、美味しいリンゴをたくさんお土産にして、三匹は吉走寺山へかえっていきました

    おしまい、おしまい
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