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    みはいく

    @mihaikuAQUA

    *好きなもの*
    【ネッコ】
    一緒に生活するネッコさんは、迷いネッコさんや捨てネッコさんでした。今はネッコさんはおりません。
    【橙】
    原作大好き。令和アニメも大好き。ブルーレイ派。
    最大の推しは名工とそのお弟子さんです。Lnnv小説を嗜みます。書くのは今のところlnnv左右固定。読むのも見るのもわりとなんでも派。
    ⭐パスワード⭐
    名工さんの年齢からからお弟子さんの年齢を引いて下さい。

    【ゲーム】
    メタルギア
    バイオハザード(FPSは酔っちゃう)
    ゼルダ
    ラスアス
    DQ(RPGナンバリングタイトルのみ)
    FF
    トゥームレイダー
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    アンチャーテッド
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    名工
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    みはいく

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    子供の頃から疑問だった鎧化の仕組みを、自分なりに妄想してみました。今回も捏造の嵐です。
    魔法に彩られているだけではなく、魔界の科学って、きっとすごく進歩していたのではないかな?と空想しています。
    ここに出てくる魔力炉は、あれとは別物です。
    何処に刺さるのかよく分からない物語で、完全に私得です。

    #腐向け
    Rot
    #ロンノヴァ
    lonnova
    #アムド
    amd
    #原作終了後

    ル・ロンギニウム ギルドメイン山脈の南西の麓、ランカークスの森の更に奥深くに、ロン・ベルクとノヴァの住まう工房がひっそりと佇んでいる。
     工房の付近では、朝から鉈の音が森にこだましている。ここのところの、ノヴァの朝の習慣になっている、炭切りの仕事が行われているのだ。
     もともと勘がよく、生来持っている几帳面で真面目で熱心な彼の性格が、みるみるうちにその技術の習得を可能にさせていた。
     もともとは炭切り三年などと呼ばれる下積みの仕事だ。だが、彼の工房には未だ自分では鎚も振るえぬ師がいるだけで、次々とまっとうな技術の習得を進めていかなければ、他の誰も師の鍛冶技術を体現することはできない。
     知識や技術を求めるノヴァの熱く貪欲な姿勢がいち早い技術の学びと習得を後押ししていた。

    「金属にはそれぞれ異なった融点と沸点が存在する。融点が低い金属は、低温でも融解する。逆に沸点が高ければ高いほど、炉の温度も高温にしなければ融点には到達しない、という事だ……融点、分かるか?」
     朝の炭切りの仕事を終えると、ノヴァは手指をしっかり洗ってリビングのテーブルに着く。ロンがノートをとりながら聴いているノヴァに語りかける。今日は座学の日で、ノヴァはノートから目を外さず急いでメモしながら、はい、とだけ答えた。走り書きを終えると顔を上げてロンの質問に答える。
    「子供の頃、家庭教師に教わった記憶があります。融点は個体が液体に代わる、融解という現象が起きる温度……だったかな」
    「正解だ。沸点は?」
    「えーと……液体が気体に変わる、沸騰が起きる温度……」
    「ウム。そうだな。では鉄の融点は何度だ?」
    「えっ? ええと……」
     ノヴァは分厚い文献をめくりながら答えを探す。文献の内容は小難しかったので、読破はしていなかった。聴かれたことに対しすぐに回答できないのがとても悔しい。技術が無いのだから、せめて知識がないとダメだとノヴァは思う。パラパラと文献をめくりながら、該当のページを探していく。
    「慌てるな。答えは逃げない。待っていてやるから、ちゃんと調べろ」
    「はい。ええと……確かこのあたりのページに……あった!摂氏千五百三十五度ですね」
    「沸点もあるぞ」
    「えっ? 金属って、気化するんですか?」
    「当然だ。勉強が足らんぞ」
     ロンは方眉を上げてノヴァを見る。ノヴァは逆に眉尻が下がってしまっている。あまりに情けない面持ちに、ロンが思わず笑いそうになる。慌てて咳払いをして本題に戻る。
    「摂氏約二千八百度だ。まぁ、鉄を打つのが目的ならば、沸点を越す必要はないし、そもそも融点を越す必要もない。鋳造するなら、融点を把握しておくことは大切だがな」
    「沸点を越す意味ってあるんですか?」
    「うん? まぁ、薄膜という技法を使うなら、必要になるな」
    「はくまく?」
    「ああ。うすまく、とも言ったりもする。本来は金など柔らかい材質の金属を薄く伸ばす技術だが、魔法のアイテムなどには特別な金属を蒸発させて薄いヴェールで覆う事がある。蒸着、という技術だ」
    「じょうちゃく……魔法の、アイテム」
    「そうだ。金属の沸点は高いものになると三千度から五千度になることもある」
    「ご、ごせん……どうやってそんな高温を作り出すんですか?」
     至極まっとうな疑問がノヴァの口から零れる。一般的な火床に送風して得られる温度が千二百度程度だからだ。
    「基本的には魔力炉のようなものになるな。まぁ、魔力炉といってもピンキリだが……オレがやっていたのは真空下で沸点を下げる方法だ。ここにある炉とは基本的に造りが違う。真空の炉の中で、金属を沸騰させて、魔法の武器や防具に特別な金属を極薄く蒸着させるんだ」
    「極薄くって……どのくらい?」
    「一マイクロメートル以下だな」
    「………………」
     ノヴァには想像もつかない言葉が次から次へと出てきて、言葉もない。
    「いち……まいくろめーとる、って……」
    「長さの単位だ。一ミリの千分の一だな」
    「………………」
    「お前がデッサンに使っている厚紙が一ミリくらいだから、それを千枚分削いだのが一マイクロメートルだ」
    「………………」
     途方もない物差しに、ノヴァは喉がつかえて声も出ない。
    「どうという事はない。耳で聴くととんでもないことに聴こえるが、実際見たら大したことはない。例えば、この工房を建て直した凄腕の大工もやっていたと思うぞ。鉋で材木の表面を極極薄く削れば、向こうが透けて見えるほどの削り方ができる。今言った単位に近いと思う。鉋くずが庭の片隅に落ちていたのに気づいたか?熟練の技術っていうのはそういうものだ」
     みるみるうちにノヴァが萎れていく。水を貰えなかったヤグルマギクみたいだと、ロンは思う。
    「そ、そんな凄いこと……」
    「やってもいないうちから怖じ気づくのか? 何度もトライして、何度も失敗して、そうやって技術を身に付けていくのさ」
    「…………先生も?」
    「当然だ」
    「先生が創る特別な魔法の武具なんかも、その……じょうちゃく、とかいう技法を使うんですか?」
    「ああ。特別な金属を真空下で沸騰させて、武具の表面に張り付けるんだ。単純だったり規模の小さな武器は特にその技術は要らんが、魔剣や魔槍のように複雑な武具には必要だな」
    「特別な、金属?」
    「…………ああ」
     不思議な沈黙が空間を満たした。なにも言わない師に、ノヴァが覗き込むように瞳を合わせる。
    「…………何ていう金属なんですか?」
     ロンが一瞬視線を左にやると、すぐにノヴァに視線を戻して口を開いた。
    「…………ロンギニウムという」
    「…………ロンギニウム? ろん、ぎにうむ?」
     魔界の言葉を遣って聴かせたが、わざわざ単語を区切って発音した弟子に、ロンは嫌な事に気づかれたという表情をする。ロンが長い足を組んで椅子の背もたれに寄りかかり腕組みをする。姿勢が崩れてなんだかふて腐れているような雰囲気だったが、ノヴァは構わず師に金属の名の意味を問うた。
    「もしかして…………先生の名前がついてる?」
     チッという舌打ちが聴こえた。あまりに露骨な感情表現に、ノヴァは目を白黒させてロンを見る。
    「…………そうだ」
     ノヴァはそっぽを向いて答える師に唖然とし、しばらくしてから、へらり、と笑った。
    「なんか、カッコいいですね…………」
    「へらへらするなよ。別に望んだ名称じゃない」
     ロンは牙を見せて唸るような声音でノヴァを牽制する。そのやや子供っぽい姿を見て、笑いたくなるのを懸命に堪えてノヴァが更に問いかける。
    「なぜその名称になったんですか? 金属に名前が冠されるって、凄い事だと思いますが……」
    「ふん…………何も知らんくせに」
     そう言うと、ロンの意識は砂時計の真砂が逆流するように過去の記憶を辿っていった。



     今から百年以上前。ロンがベルク流に師事して、まともな剣を打ち出すようになり、その名が魔界の剣豪たちに知れ渡るようになった頃、ロンは研究と称して新しい金属の開発に勤しんでいた。
     もちろん、彼は錬金術師ではなかったので、魔術的要素よりも、科学的な方法で新しい金属の生産を試みていた。雑に言ってしまえば、銅と錫を混ぜて青銅にするようなものだったが、ロンの製法は更にそれを元素レベルまで追求したものだった。
     硬いが、同時にしなやかさを併せ持つ鋼の創造、軽く頑丈な金属の創造、ロンの研究は数多くの挑戦と失敗を繰り返し、少しずつ形になっていった。
     例えば鉄鋼に極微量の炭素や窒素を添加することで強度を高める技法。例えばありふれた鉄鋼にホウ素を極微量加えることで壊れにくい防具を創り出す方法。様々な金属に元素を加えて試行錯誤を繰り返し、金属そのものをつくり替えるという偉業を成し遂げて見せた。
     魔界の鍛冶師の中でも、それを錬金術に連なる邪道とみなして快く思わない者も大勢いた。いつしかロンは同じ生業の者からも「鬼才」とか「邪道」などと両極端の字で呼ばれることとなった。
     高熱の魔力炉や、熱が足りないときに真空下で金属を蒸発させる技術は元から魔界にはあったが、それを更に進化させ、アイテムにとどまらず、武器防具の実戦にも耐え得るものに昇華させたのはロンの功績だった。
     ある時、ロンは今までの常識を覆す金属の創造に成功した。持ち主の意思に呼応して、自らその形を変える金属だ。ロンはその金属の形状を変えるとき、一応の呪文を用意した。持ち主の強い意思を言葉にして確固たるものにする、魔力を伴わぬ意思表示としたのだった。要するに闘って相手の命を奪う決意を、魔族のパワーのある言葉に乗せたのだ。
     魔族も強大な敵と闘う時にはそれなりの武装をする。鎧を身に付ける者もいる。闘いに赴く際に鎧を身に付け、機動力が低下する例を数多く見てきたが、それはロンにとって長年の疑問だった。
     なぜ、身軽な装いで戦場に赴くことができないのか。なぜ、闘う直前に瞬間的に武装する事ができないのか。
     それは鎧が数多くのパーツから成り立っていて、装着する手順や行程に手間がかかるからだと分かりきっていた。そしてロンはその行程を省くことができないのかと、常に自問自答を繰り返していた。
     ロンの長年の構想である鎧化は、持ち主の闘気に呼応して形状を変える金属、すなわち形状記憶特性を持つ金属の開発に成功した事で、夢物語ではなくなった。
     形状を変える変態点の差がどこにあるかというと、持ち主の闘気の差に外ならなかった。要するに持ち主の敢闘精神を、金属が温冷の差として感知し発動する仕組みだった。
     闘う直前の熱い闘気が強力な言霊で解放され、それを金属が敏感に察知し、本来の特性である防具の形状に「戻って」硬くなる。戦いを終えて闘気が落ち着いて冷めやると、金属が柔らかくなり武装が解ける。
     ロンの天才性は闘気の温度差に呼応する金属の創造に着眼した事だろう。温で硬くなり、冷で緩む。金属にはありがちな発想の真逆をいったことが「武器を纏う」という、全く新しい発想を生み出した。
     しかし、はっきり言えば、ロンのこの類希な創造力はとことん叩かれた。こんな武器の形が変わるなどという甚はなはだ不安定で邪道な特性が何の役に立つのかと、武器を創る同業からさんざん侮蔑の言葉を投げられた。
     変わり者の多い魔族からも奇異の目で見られたが、それでもロンは自身の創造したものを諦めることはしなかった。試行錯誤を繰り返し、闘気の温冷での武装と解除の研究に、身を粉にして邁進した。
     まともに武装して、武器も使えるようにする。寝食を忘れ、時が経つのも忘れて研究と創造に没頭した。ロンが開発した金属をもとにして武具を創り、さらに神秘のヴェールを一分の隙もなく蒸着させる技術を確立したおかげで、鎧のパーツを内蔵した剣や槍を、寸分の狂いもなく「元の鎧の形状」に戻す事ができるようになった。そこに至るまでには血の滲むような努力と数えきれない程の失敗があった。気づけば、形状記憶特性を持つ金属の研究を始めてから、数十年が経過していた。
     そしてその頃から、魔界の神とも呼べる存在、大魔王に目をつけられはじめていた。
     大魔王の登場は、ロンの人生を大きく変える事となった。思う存分好きなだけ武器づくりができる規模の大きい工房付きの館を下賜され、山のような素材と使用人が館と工房に溢れていた。このような待遇を受ける謂れは無かったため、ロンは大魔王の側近を通じて辞退する旨を伝えたが、こちらの意志が通じる相手ではなかった。
     半ば強引に大魔王付けの鍛冶師とされたようで、その扱いにロンは心底辟易した。元来ロンは名声を欲しがる性格ではなかったし、むしろ寂れた自由を好む気質であったから、このような境遇はただただ居心地が悪いだけで、彼にとっては大魔王になびく理由には全くならなかった。
     しかも、大魔王は相手の心の機微を斟酌できるような能力を併せ持ってはいなかった。他の能力がずば抜けているだけに、人の心を踏みにじるような姿勢が鼻について仕方がなかった。特に一度見限った相手への肝が冷えるような責罰は、見ていて相当に胸が悪くなった。ロンは別に自分の事を人情家だなどと思った事はつゆほどもないが、大魔王のその冷酷さには、こと魂の部分において、相容れぬものを感じていた。
     時は経ち、次から次へと新しい創造性をもって武具を生み出していくロンのその神がった手は、いつしか生きながら「伝説の名工」などと呼ばれるようになっていた。
     

     (オレはあの金属をただの番号で呼んでいた。まぁ、くだらん名声に抵抗しようとしたんだろうな)
     ロンがふと遠い遠い過去の記憶から舞い戻ってくる。気づくと愛弟子が心配そうな面持ちでこちらを見つめている。
    「お茶にしましょう」
     ノヴァは立ち上がって炊事場へ行くと手際よく湯を沸かす。ティーポットに香りの良い茶葉を入れると、湯気が沸き立つ寸前の、酸素を多く含む熱湯を注いだ。しばらく茶葉を蒸らすと辺りに芳しい茶の香りが漂いはじめた。ヴァニラや花の香りが空間に漂っている。
    「その名前、嫌い……なんですか?」
    「うん?」
     香り高い茶が陶器のカップに注がれ、ロンの眼前に置かれた。師の未だまともに動かない腕を気遣い、中身は少量だ。こんな気分の時には酒が飲みたいとも思ったが、茶は要らぬとは間違っても口にしない。一応ロンはロンなりにノヴァの好意に感謝の気持ちを表していた。
    「その……ろん、ぎにうむ……という金属の名前ですよ」
    「変な所で区切るな。それから発音が違う……オレにもよく分からん。当時は必死で研究や開発をしていたからな。好きか嫌いかなぞ……」
     ロンが珍しく言い淀む。言葉が続かなくなってしまって、茶を口に含む。
    「ボクはその名前、カッコいいと思います。クールでいい。周りの人たちも先生の名前をつける外なかったんですよ。あまりに突飛で」
    「知ったような口を利く」
     ロンはそう言ったが、悪い言い方ではなかった。ノヴァはそれを聴いて悪戯小僧のように微笑んでいる。
    「いいなぁ…………! ボクもいつかそんな凄い開発ができるようになるんだ! あっためているアイディアがいっぱいあるんです! ボクが闘っていた時に感じていた不便さや疑問。そういうものを武器づくりに活かしていきたい!」
     なんのてらいもない、あまりに素直な感想にロンが目を見開く。なんと世間を知らぬことだろう。しかしその世間知らずで純真な少年は、なんら偏見を持たぬ無垢な心でこちらの歴史に挑んでくる。時折忘れそうになる情熱というものをロンの胸に呼び覚ます。遠い昔に感じていた探求することの喜びをロンの胸に呼び起こす。
    「ふ……先ずはナイフのひと振りも打てるようになってから言うんだな、坊や」
    「もちろん。先生! のんびりお茶なんて飲んでる場合じゃないです! 早く飲んで! 続きを教えて下さい!」
     ちょうどいい温度になった茶をぐっと飲み干すと、ノヴァがロンを急き立てる。
    「お前なぁ…………『お茶にしましょう』って言ったのはどこのどいつだと思ってる?」
     ロンが苦笑する。ノヴァはにっこりと微笑んでノートと文献を再び開いている。椅子ごと跳ねるようにぐいぐいとロンの方ににじり寄って来る。その仕草があまりに面白いので、ロンは思わず声を上げて笑ってしまった。

     大魔王のもとには、もういない。己はずっと前から自由だったと、ロンは自分に言い聴かせる。
     これからは新しい時代の扉をこの弟子と共に切り拓いていくのだ。このヒヨッコがいずれ業物を打つようになったのなら、秘伝中の秘伝、己の名を冠した金属の調合を教えてやろうと、ロンは心の奥底で考える。
     今は未だ教えてやることは敵わないし、その点では厳しくノヴァの成長度合いを見定めていこうと、ロンは考える。

     初夏の緑はまるで剣の切っ先のように鋭い。爽やかな風に煽られて、森の枝葉が剣を打ち合わせるように眩しいほど翻ひるがえり、降り注ぐ陽炎を力強く跳ね返した。

     ―おわり―

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    みはいく

    DONE2022.6.11
    まだ自覚していない頃のふたり。ノヴァ君が先生のお酒を飲んでしまい、倒れてしまいます。酔っぱらってちょっとだけ先生に甘えます。
    先生とノヴァ君の一人称で物語が進みます。
    *リンガイア王国は十五歳で元服を済ませる私得設定なので、ノヴァ君は成人扱いです。
    *ゴッチェ・インペリアルは実在するお酒です。度数なんと92度!
    *酔っぱらっているので、ノヴァ君の父親の呼び方が普段と違います。
    サフランの雫 ランカークスの森の更に奥深く、他人がほとんど訪れない入りくんだ地形に、オレとオレの弟子が住む工房がある。
     オレの腕が壊れてから、人間の坊やを弟子にとって、こうやって工房に住むことになった。ヤツは鍛冶について学びながら、腕が利かなくなったオレの身の回りの世話もしてくれている。
     ヤツはオレにとって、そして他の人間たちにとって、いや地上の生きとし生けるものの命の恩人だ。言ってどうなるものでもないから言わないが、あのままなす術もなく手をこまねいていたら、地上はバーンのものになって、消し炭にされていたに違いない。この地上がそんな姿になるなど死んでも見たくない。ヤツがいてくれたからオレはあの剣を使う気になったし、つまるところ、オレの心は死なずに済んだのだ。バーンの所為で心が二度も殺されるなんて、まっぴらごめんだった。
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