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    ときさか

    書きたい事をつらつらと。

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    ときさか

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    投稿テスト。
    かつて書いた一次創作。
    友人に貰ったライターが元ネタ。
    友達以上恋愛未満な関係に悩む人間の独白。

    サイアイ「わっかんねぇなぁ……」
    何してんだ、俺。
    未知なる領域に特攻かます気分だ。
    ビビっちゃいないが、いざとなったらなんかスゲー煙が目に染みた。
    「……なんで、こんなモン好きなんかねぇ…」
    思い切り吸い込んで咽て涙目。
    あぁそうだ、俺気管支弱いんだったわ。
    手にしたライターの中でホログラムの蝶が煌いた。
    値上がりした今になって手ぇ出すなんてどういう思考してんだよ。
    しかも判った。俺、根本的にタバコ無理だ。
    一箱500円超えの嗜好品買うより、週一のジャンプとコーヒー牛乳がお似合いだって言いたいんだな…余計なお世話だ。
    「はぁ………」
    ため息ついた所で状況が変わるわけでも無いって判っちゃいるが、如何せん頭が上手く働かねぇ。
    ウジウジしてる気がする。否、ウジウジと言うよりは女々しい気もする。
    よく判らない、形容し難い感情がこないだからチラつく。
    そんな感情を振り払いたくて、痒くもない頭を無意識に掻き毟っていた。
    「……どうしたいんだよ」
    他人事な言葉が知らずに口を吐いた。
    あーぁ、遂には自問自答を開始しちゃうんですか。
    まぁいいや。ちょっと今に至る経緯ってヤツを思い出してみよう。

    初めてタバコってモンに手を出してしまった。

    なんで?
    ……まぁ、其処にライターがあったからだろ。

    最近、思い出した様に引き出しの中から出して眺めていたんだっけ。
    誕生日に貰ったのは良いが、細工が綺麗でなんか勿体無くて使えなかった。
    確か、『タバコくらい吸ってみれば?』って、仲の良い女友達がくれたモノ。

    ……しれっと男前な発言をするんだよなぁ、いつも。

    ソイツとは高校の時からの付き合いになるから結構な縁だ。
    勝気でさばさばした性格も相成って、イメージ的には可愛いというよりはカッコイイ。
    ぶっちゃけ、日々事勿れ主義のヘタレな俺なんか一生関わる事なさそうな人種ってのが最初の印象。
    なんで知り合ったんだっけなぁ…きっかけはなんだったか忘れてしまったが、あまりにも性格が正反対すぎたからか相性は良かった。
    気付けばそんな気の合う奴等ばっかのグループの中に入っていた。
    学園祭だ、体育祭だ、修学旅行だなんだって行事の度に馬鹿騒ぎしてさ。
    毎日が楽しくて、ずっとこんな日が続きゃあいいのになぁ――――なんて本気で願ってた。

    「……馬鹿だよなぁ」
    思い出してあの頃の自分にちょっと苦笑い。
    あれが俗に言う若さってヤツか…と、そんな事思う程の年月は流れていないはずなのに随分前の様な気がして。
    妙にノスタルジック極め込む自分にムカついて、生温くなった缶チューハイを流し込んだ。
    「変わんねぇモノなんて無いのにさぁ…」

    あぁ、あの頃の自分に言ってやりてぇよ、本当に。

    高校を卒業して、仲良かった面子も解散状態で逢う機会は少なくなって。
    それでも、俺とアイツはちょくちょく遊びに行ったり、飯を食いに行ったりと相変わらずな距離を保ってた。
    なんとなく家を出た俺。大学に進んだアイツ。
    片やその日暮らしなフリーター、片や華の女子大生。
    うん、生活環境って大事よな。
    逢う度にアイツは綺麗になってる。
    クールビューティーなのは今更だが、磨きが掛かったと言うか……なんか陳腐な言い方になるがキラキラと輝いているように見えて。
    こんな俺が一緒で本当に申し訳ないと何度も思った。
    だから、冗談仄めかして『俺なんかに時間割くなよな、勿体無ぇ』って言った事がある。
    そしたらアイツは『君と居るのが一番楽しいよ』って笑ってくれて。

    ――――あの笑顔は反則だろうが。
    引く手、数多でしょうにさぁ…俺なんかに勿体無さ過ぎんぞ、こんな美人。
    くだらない馬鹿話に声を上げて笑う顔に見蕩れる回数も増えたのは秘密だ。

    「…で、今に至る、と……」

    空になった缶チューハイに吸殻を落として、部屋の隅のゴミ箱にバスケのフリースローよろしくなフォームで放った。
    そこそこな放物線を描いた空き缶はゴミ箱の数cm前に落ちた。
    やれやれと若干覚束ない足取りで拾い上げゴミ箱に入れると、そのままベランダの戸に手を掛けた。
    真夜中のひんやりと澄み切った空気が、部屋に漂う煙草の煙を掻き消していく。
    「逃げてんのは俺の方だろ、馬鹿が……」
    自分に対して無関心なのは今に始まったことじゃない。
    でもまぁ、ヘタレで素直じゃない事は認める。
    なんとなく自分の気持ちに気付いちまった頃から、徐々に関係がギクシャクし始めて。

    ……いや、俺が意識し過ぎなだけかもしんねーが。

    『今までらしく』ってのが判らなくなった。
    バイトだ何だって、忙しくも無いのに理由作って。
    避けたワケじゃない……でも、間違いなく逢う事に躊躇ってはいる。
    あからさまだよなぁホント。
    今を生きる中学生だってこんな判りやすい行動しないんじゃないか?
    あぁ、俺の本音なんてとっくにバレてる気がする。
    ちゃんと俺はアイツに伝える事が出来るのだろうか。
    はぐらかさずに、ありのままの俺を晒け出す事が出来るのだろうか。
    確かに、この現状は心地良いんだ。
    でも、このままじゃもう何かが満たされない。
    事勿れでは終わらせたくないんだ、この関係を。

    2本目の煙草を咥えて火を点す。
    いかにも『身体に毒です』と誇示してるような苦味が口ん中に広がった。
    ゲホつきながらもなんとか紫煙を燻らせて、手の中のライターを握り締めた。
    「…ホンット、なんでこんなモノ……」
    ひとりごちて気付きゃあ笑っている自分がいた。
    変に清清しい気分なのは夜中のワケの判らないテンションに陥る直前だからなのだろうか……いや、答えなんて判りきっちゃ居るのだけど。

    自問自答は終わりにしよう。
    次、逢う時は惜しげも無く全部を伝えられるように。
    君の為なら、こんな俺でも変われるんだよ。


    さぁ腹括ったのなら、たまには俺の方から動いてみようか。
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