「ヒーマーだーなぁー」
焚き火の前で幾度となくコイントスに興じていたエースは大きなため息をついて寝っ転がった。
「はああぁぁ退屈だよぉおおお、なんか楽しい事ないかなーーー……っ」
「オッサン最近儀式呼ばれてないもんな」
駄々を捏ねる子供のように喚くエースに呆れたようにデイビッドは声を掛けた。
「そーなんだよー、おじちゃんってば最近ホントにご無沙汰じゃない?んもーヒマでヒマで死んじゃうよ、こんなのー」
自らの首を絞めて死ぬアピールをして戯けるエース。
と、そこに儀式終わりのジェイクとスティーブが通りかかった。
「なに騒いでんだよエース」
「あ、2人とも儀式おつかれちゃーん。いやね、おじちゃんがヒマで死にそうってだけなんだけどさぁ……ってスティーブちゃん何持ってんのソレ」
「さっき儀式行ったらあちこちにカボチャ落ちててさー、何個か蹴り潰してきたんだけど気になったから持って帰ってきた。コレ、ハロウィンっぽくね?」
スティーブは嬉々として抱えていたカボチャをエースに見せた。
「あーーっ、ハロウィン…いいねぇワクワクするねぇ。……そうだよ、大事なのはイベントじゃん!!いいなぁいいなぁおじちゃんもハロウィンしたいなぁっ!!」
エースはスティーブの手からカボチャを掻っ攫い嬉しそうに目を輝かせた。
「ハロウィンなぁ……確か仮装して練り歩いてお菓子もらうヤツだっけか?」
「トリック・オア・トリート!!お菓子をくれなきゃイタズラするぞ、ってな」
焚き火の前に座り直しながら呟くジェイクに、お化けポーズを取りながらデイビッドが笑う。
「お菓子なぁ……この森にそんな上等なモノあんのかよ」
「エンティティがそんな気の利いた事するかよ」
「違えねえ、あの邪神サマはアイスだと期待させといて馬肉のフレーバーを用意するような悪趣味なヤツだぞ」
皮肉めいた、冷めた会話を繰り広げる3人に居ても立っても居られなくなったエースは声を上げた。
「もー、3人とも分かってないなぁー。イベントだよ、イ・ベ・ン・ト。大事なのは非日常感のドキドキワクワクだと思うわけよ、だからさぁ……」
言いながら、何かを閃いたエースは不適な笑みを浮かべ、そしてとある提案を3人に持ち掛けるのであった。