「……………本気だったのか、アレ…」
なんだかんだでエースの提案に乗っかり楽しそうに笑う2人の姿を見てジェイクは頭を抱えそうになった。
あの時エースが言った『もし一緒に儀式行く事になったら仮装しない?』だなんて言葉をあの2人も本当に真に受けるハズがないーーーと、心の何処かで思っていた自分を責めたい気持ちでいっぱいである。
いつもの格好ではないものの、エースのこのテンションなら今の自分の姿はやる気がないように映るのではないだろうかーーーなどと思っているとエースと目が合った。
「ていうか、ジェイクちゃんさぁ…なんなのその格好は……おじちゃん仮装っぽい服着てきてって言ったよね?」
ジェイクの思惑は当たり、エースは詰るようににじり寄ってくる。
並々ならぬ圧力に思わずジェイクは目を逸らす。
「いや、まさか本当にハロウィンする気だとは……アンタいっつも冗談ばっか言ってるから、つい……」
「もぉおおっ、ひどいよジェイクちゃん!!おじちゃんはね今とってもエンタメに飢えてるの、冗談なワケないでしょうがぁあっ!!」
「……わ、悪かったって…」
いい歳した大人が全力で感情を爆発させている勢いに気圧されてジェイクは謝る。
「あーぁ、コレはもうアレだわ…ホントはジャンケンで決めようと思ってたけど仕方ないね、…ジェイクちゃんさぁ、仮装してこなかった罰として通電するまでキラーと鬼ごっこしてきてよ」
「はぁっ!?なんで俺が」
しれっと地獄の様な提案をするエースに思わずジェイクは声を上げたが、エースは止まらない。
「おじちゃん是が非でもハロウィンしたいの〜!カボチャ割ったりなんか色々やる事あるって聞いたもん!!でも儀式自体久々だしさ〜、おじちゃんの勘が戻るまでで良いからキラー煽って追いかけっこしててよ〜」
言っている事が無茶苦茶だ、煽るってなんだよ…と困惑するジェイクの肩に、笑いを堪えながらデイビッドがポンと手を置いた。
「…ジェイク、今回はもう仕方ねぇよ。完全にお前の落ち度だ」
「俺らだって恥を忍んでこんなカッコしてんだよ……覚悟決めろよ、ジェイク」
そう言ってジェイクのもう片方の肩を強く掴むスティーブの顔は目が全然笑っていない。
「…分かったよ…やるよ、やればいいんだろ……」
諦めたように首をゆるゆると振り、ジェイクはため息をついた。