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    天生麻菜

    @skypiano_1120

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    天生麻菜

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    ほのぼのな魈蛍。恋人同士。
    居眠りと眼鏡のお話。🤭

    #魈蛍
    xiaolumi

    レンズ越しの黄金色ふと背中に掛かる重みが増えていることに蛍は気づき、そろっと後ろを見る。木賊色の髪は微動だに動かないがいつもなら見える意志の強い黄金色の瞳は隠れている。
    「…魈?」
     おそるおそる声を掛けてみるが返答はない。くっついている背中を離しても彼は全く動かず、座ったまま器用に居眠りをしているようだった。
    珍しい、と思いながら蛍は魈の顔を覗き込む。彼はほとんど寝ないか眠れたとしてもとても眠りが浅い。蛍が声を掛ければ彼はすぐに返事を返して、瞼をすぐに開けてしまう。それが今居眠りをしている。
     彼にとって、蛍の側が安らげる場所になっているのかもしれない。それなら。蛍にとって嬉しいことこの上ない。
     途端、あることを思い出して蛍はこそっとバックの中を手繰り、あるものを取り出す。そして、眠っている魈のそっと掛けて、普段とは少しだけ違う姿にほぅっと見惚れた。
     魈に掛けたのは眼鏡だ。彼の髪色によく似た縁の色の。彼は武人であるが、眼鏡をかけるだけで知的にも見えてくる。そもそも彼は仙人であり知識も豊富であるため文武共に秀でているのだが魈自身が自己をそうだとは思っていない。
     顔立ちが整っていることもあり大人びて見えるが瞼を閉じて静かに寝息を立てる姿は幼くも見える。実際は2000年以上生きている彼であるがそのあどけなさからは抱える責務を忘れさせてしまう。
     眼鏡を掛けた彼を近距離で眺めていると、ぱちっと突然黄金色の瞳が現れて蛍の思考は停止する。
     もしかすると、始めから。
    「…もしかして、狸寝入りしてたの?」
    「いや、始めは居眠りをしていた。お前がこれを掛けた辺りから起きていた」
     それは、名前を呼んだことに気づかなかっただけでその後のことは全て知っているということだ。知られていないと思ったからこと大胆に動けていたのに。かっと顔を赤くする蛍を見て魈は少しだけ可笑しそうに笑う。
    「我の顔なんて、そんなに見ても仕方あるまい。小道具一つで何も変わらんだろう」
    「変わるよ…普段見られないけど、違う一面が見れて、かっこよかったんだから…」
     ぼそりと呟かれた言葉に魈は一旦動きを止め、そっぽを向いてしまう。もしかしたら、照れているのかもしれない。その様子に蛍は少し仕返しをした気分になってくすくすと笑うと彼はムッとした表情を浮かべていた。
    「…だが、」
     言葉と同時に唇に柔らかいものが触れる。近くにはレンズ越しの黄金の瞳が見えて蛍は驚いて瞳を見開くことしかできない。
    「…口づけるには、邪魔だな」
     そう言うと魈はすっと眼鏡を外して、再び蛍に軽い口づけを贈った。
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    Replies from the creator

    天生麻菜

    PROGRESS10月神ノ叡智12の新刊の3話目。このお話で終わり+書き下ろしの内容になります。
    綾人蛍綾人で年齢制限あり。
    蛍ちゃん攻め、綾人さん非童貞非処女描写があります。(挿入は綾人→蛍のみ)
    綾人さんと姫蛍ちゃんの政略結婚から始まるお話。
    このお話の続きにも年齢指定入りますが2話目以降は年齢指定ありサンプルはあげませんのでよろしくお願いします🙇‍♀️
    私が私たちであるように 33.私が私たちであるように


    「綾人さん」
     蛍の抱えるものを聞いた日から、綾人と蛍の距離は以前より近いものになった。少しずつではあるが、蛍から綾人に近づいていくことが増えていったのだ。
    「林檎飴の屋台の人から材料が少し足りなくなりそうって手紙が来てますよ。少し調達しておきますか?」
     ただそれは彼女が綾人の公務を手伝うようになり、会話する機会が増えたのも理由ではあるのだが綾人は大きな進展だと思っている。
    「おや、予定量で足りなさそうなのですか?」
    「……実はこの花火大会、社奉行が主催ってことが各国とカーンルイアやアビス教団にも伝わったみたいで。各国からの観光客が二倍に増えてるんだそうです」
    「……なるほど」
     この花火大会は毎年行っており、社奉行が主催していることは特別ではない。ただ今年は、社奉行が――神里家当主である神里綾人がアビス教団の最高指導者であり、カーンルイアの姫君でもある蛍と婚姻を結んだことは当然各国に知れ渡っている。蛍を迎え入れてから初めての花火大会ということで注目を浴びているのだろう。かといって特別何か新しいことを催すということはない、花火は昨年よりも多めに打ち上げるよう依頼はしているが。
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    天生麻菜

    PROGRESS10月神ノ叡智12の新刊の2話目。
    綾人蛍綾人で年齢制限あり。
    蛍ちゃん攻め、綾人さん非童貞非処女描写があります。(挿入は綾人→蛍のみ)
    綾人さんと姫蛍ちゃんの政略結婚から始まるお話。
    このお話の続きにも年齢指定入りますが2話目以降は年齢指定ありサンプルはあげませんのでよろしくお願いします🙇‍♀️
    私が私たちであるように 22.折れた傘をさす


     婚姻が成され、蛍は正式に稲妻で暮らし始め、早くも一月が経過した。初夜を終えた朝、綾人が目覚めた時には、すでに蛍の姿はなかった。ただ、手ぬぐいで軽く清拭された身体に気づいて、彼女の手を煩わせてしまった自負と彼女の変な律儀さに心は掻き乱された。綾人を襲ったことに彼女はある程度の後ろめたさがあるようだった。
    「蛍さん」
     廊下を歩く白い背中に綾人はそっと声を掛けた。きっと、綾人が背後にいたことを彼女は気づいていただろうが。
     毎朝顔を合わせるようになったとしても綾人と蛍の距離はなかなか縮まらなかった。綾人は毎日彼女に声をかけるが彼女の反応はそっけないものだった。ただ、それも少し変化があったように綾人は感じている。婚姻前にあったような、蛍の刺々しさが少しだけなくなった気がしているのだ。それか、単に綾人が彼女の態度に慣れただけかもしれないが。
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