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    rica_km

    @rica_km

    👹滅:💎🔥/🔥🧹中心リバ含雑食、時々作文。ねんどーる&オビツろいど歴2周年(ねん🔥兄弟持ち、💎×2)。かなり20↑成人済

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    rica_km

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    DD煉さんの一目惚れから始まる宇煉(またはメスお兄さん攻め)の3章目です。
    【01〜02】https://poipiku.com/5529112/8858837.html

    やさしい夜の雨(仮題)◆03◆03
     煉獄は、浅い眠りと覚醒を繰り返していた。
     目を覚ますたびに隣を見れば、宇髄の大きな身体がある。瞼を開いている時の方が夢を見ているようだ。
     静かな暗い部屋に薄ぼんやりと白く光るシーツや枕と、宇髄の髪。静かに上下する胸。ほんのりと体温を感じるほど近くに宇髄の肩があり、頬を少し寄せれば触れることができそうだ。
     さっき背や肩に感じていた大きな手の感触を思い出す。本当を言えばもう少し触れていたかった。抱き合ったりキスをしたりしたいとも思ったけれど、そんなことは言えず仕舞いだ。図々しいとは思われたくない。今、同じベッドに招かれていることだってとんでもない特別待遇だ。こんなことが起こるなんて昨日までの自分には想像できなかったほどの幸運の中にいる。
     名前を呼んでみたい。そして何度でも好きだと告げてみたくなる。それは自分がそうして欲しいから思うのだろうか。いや、言葉を受け取ってくれるだけでも充分なはずだ。募る気持ちばかりが溢れて、溢れて、溢れて、どうにもならなくなりそうだったのに、今は宇髄へと心を傾けていて良いことに救われている。
     付き合うことをあんなにあっさり受け入れてくれるとも思わなかった。これもとんでもない幸運だ。けれど、夢と現を行き来するたびに、どれが現実か夢かの自信が持てなくなってくる。
    「——目が覚めちゃった?」
     低く囁く声に驚いて隣を見れば、宇髄が煉獄の方へ寝返りを打って、微笑んだ。
    「暑かったかな」
    「大丈夫、ただ目が覚めただけだ」
     宇髄の片腕が布団の上から煉獄の肩にトンと触れる。同時に胸がきゅうと引き絞られるようだった。
    「俺と寝るんじゃさすがに狭いか」
     小さく笑った宇髄が身体を起こす。それにつられて煉獄も続くと、宇髄がきょとんと煉獄を見遣った。
    「どうした、トイレか?」
     煉獄は首を振る。宇髄がどこに行くのかと思って追従してしまっただけだ。まるで幼児のような行動に、煉獄は急激に恥ずかしくなる。
    「ベッド使ってていいよ。おやすみ」
    「宇髄——、」
     引き止めたくて、腕に触れようとした。が、躊躇って、手元のシーツをきつく握る。
    「宇髄も眠れないのか?」
    「俺は宵っ張りだから、この時間起きてるのはいつものことだよ」
     ざわつく胸の内にあるのは寂しさだ。彼女が最後に言っていた「寂しかった」というのは、こんなふうに口に出せない気持ちのことだったのだろうかと思い返す。今なら少しわかる気がした。寂しいと言えばきっとどうにかしようとしてくれるだろう。でも宇髄が普段通りに過ごす時間を奪いたいわけじゃない。邪魔にならない程度にそばに居て、少し触れていたり、眺めているだけでもいい。
     不思議だった。
     今はもう「付き合っている」はずなのに、どうしてこんなに不安になるのだろう。
    「あっちの部屋でちょっとだけ夜遊びしようか」
     ベッドから降りた宇髄がおいでと煉獄を手招きした。呼ばれれば安心してついて行けるのが嬉しい。
     きっと本当はこんなに考え込むようなことじゃないはずだと煉獄は自分でも分かっている。だがあまりにも確信がなさすぎて、酷く心許ないのだ。せめて嫌われたくないという意識の方が先行しているようだった。
    「午前三時といえば〜、おやつの時間だな?」
     宇髄は歌うように言ってキッチンへ入り、冷凍庫を開けた。小箱の中から手探りで小さなアイスキャンデーを二本取り出して、パタンと閉める。
    「オレンジとぶどう、どっちがいい?」
     両手に一本ずつ持った宇髄が煉獄の目の前にアイスキャンデーを差し出した。
    「オレンジ」
     煉獄はオレンジ色の一本を受け取り、袋からそれを取り出して口に含む。宇髄は一口齧り取って、冷たそうに目を細めた。煉獄も真似て齧る。冷たくて思わず目が細まった。
     宇髄が煉獄の空いている左手を取って、手を繋ぐ。驚いたけれど、温かくてサラサラとした感触の手は心地良かった。少し硬さのある大きな手は、自分よりも遥かに大きな男のものだと意識する。手を引かれるままにキッチンからリビングの窓辺へと向かってゆく。
     口にアイスを咥えた宇髄が片手でカーテンを少し開けると、まだ街は夜の色だった。窓ガラスは小さな雫で濡れていて、音はしない程度に小雨がぱらついているようだ。
    「煉獄、雨って好き?」
     ぶどう色のバーを小さく齧りながら、宇髄が煉獄の表情を窺うように小首を傾げた。
    「……あんまり」
    「うん。俺も」
    「宇髄は湿気が嫌いだからか」
    「覚えててくれたの」
     嬉しいことみたいに宇髄は言うが、煉獄にしてみればほんの数時間前に聞いたばかりのことだ。
    「でもね、前より嫌じゃなくなったかもしれない。会えない日でも、雨を見たら煉獄のこと思い出しそう」
     宇髄の言葉が胸の奥にぐっと刺さった。初めて出会った雨の日の衝撃がまざまざと蘇る。自分も同じように雨の日に思い出すだろうと共感できた。それはきっと会いたさが募る切ない気持ちと、宇髄も自分を思い出すひとときがあるかもしれないという、淡い嬉しさと。
    「おれも、雨の日には宇髄のことを思い出すと思う。——あんな気持ちになったことは、他にないから」
     繋いでいた手が少し強く握られた。呼ばれた気がして宇髄を振り仰ぐ。
    「俺も驚いたよ。本当に驚いた。あれが自分の自意識過剰や勘違いだとも思わないくらい、はっきりわかった」
    「……おれが宇髄を好きだってことを?」
    「うん。目が合った最初の瞬間からわかってた」
     宇髄に肯定された途端に煉獄は脱力して、笑うしかなかった。必死で宇髄の連絡先を知りたがって約束を取り付けたことで、気があると察しているだろうとは思っていた。だがまさか最初の最初からバレていたとは。
    「俺ね、自分から相手へ何かを渡す前に好意を貰ったのって、初めて」
     それは宇髄が気付いていないだけじゃないだろうかと煉獄は思う。だが宇髄の奥深いところから出てくるらしい独白のような言葉を逃したくなくて、口を噤む。
    「俺は無償の愛みたいなのを実感したことがあんまりないの。それで困ったことはないけど、要求や期待に素早く応える実績を重ねて好かれる努力をする方が『慣れてる』んだ」
     親との関係がそんな感じだったから、幼少期からの癖だと宇髄は呟く。
    「煉獄と一緒に居ると、たくさん『好き』って伝えてくれてるみたいで嬉しいんだ。——でもどっかでガッカリさせるかも、とか、思っちゃう。煉獄を不安にさせてるのは俺なんだよ」
     びっくりするほど宇髄には煉獄の気持ちが筒抜けだ。そんなにも色々なことが顔や態度に出ているらしいのに、好きだという気持ちだけでは、互いにとってまだ少し足りないのかもしれない。言葉や行動で伝えて、それが当たり前になるまで証明し続けたら、漠然とした不安をどこかへ押しやってしまえないだろうか。
    「宇髄。そのぶどう味、おれのと交換してくれないか!」
     唐突にアイスキャンデーを差し出してきた煉獄に宇髄は一瞬目を大きく開いて驚いたが、それはすぐに柔らかな微笑みに変わる。自分の発する一言で宇髄の表情が小さな変化を見せたことに、煉獄は嬉しくなった。
    「いいよ。交換しよ」
     半分も残っていない互いのアイスキャンデーを交換するなり、煉獄はぶどう味を一口で全部齧り取った。口の中が冷たくて甘い。宇髄も煉獄を見ながら、オレンジを一口だけ齧る。溶けた雫が伝ったらしい指を舐めた舌がほんのりぶどう色に染まっていた。キスしたいと言えればよかったのに、まだ少し怖い。
     願いを口にすれば宇髄は断らずに、すんなりとキスを承諾してくれたんじゃないかとも思う。けれど、するすると際限なく飲み込まれてゆく自分の願いは、宇髄の気持ちを無視してはいないだろうかと心配になってしまう。
     自分の好意はただの独善で、本当に宇髄のために向けられているものではないんじゃないかと時々疑わしくなるのだ。
    「おれが不安になるのは、自分の行動に自信が持てないせいだ。宇髄のせいじゃない」
     鼻の奥がツンとした。
     こんなにも、どうしていいかわからなくなるくらい誰かを好きになったことはなかった。何が正しいのかわからないのはとても不安だ。でも、自分よりもずっと大人に感じる宇髄も本当はそんなに変わらないのかもしれない。こうして顔を見合わせて伝える言葉に、たった一つの正解なんてないだろう。だから悩んだり迷ったりする。それは当然のことだ。
    「こうしてるのもすごく幸せなことなのに、おれは逡巡してばっかりだ。でも、それももう少しの間だけ許して欲しい」
     冷たそうな唇に本当は触れてみたかった。宇髄はオレンジ色をしたアイスキャンデーの残りをぱくりと食べる。残ったバーだけが唇から引き抜かれてゆくのを煉獄はうっとりと見送った。
     あの唇は、舌は、冷たいのか、甘いのか。知りたかったし、触れてみたかった。キスしたかった。でもその行為だけが重要なのでもない。いつの日か宇髄も同じ気持ちになった時にキスを許して欲しい。
     行動だけでなく心まで欲しいだなんて、とても強欲だ。
    「ちゃんと自信を持って宇髄へ伝えられるようになるから」
     落胆させるかも、困らせるかも、図々しいと思われるかも——、そんな悩ましい思いが過ぎっても、二人で一緒に解いて行けたらいいなと思う。嫌われたくないなんて思いながら一緒にいるのは、それこそ宇髄に悪い。
     もしかしたら恋よりも、愛ならば。こんなにも痛いほど募る思いよりももっと穏やかな心地でいられるのだろうか。そうであるなら、もっと深く広い心で愛せるようになりたい。付き合うということは、煉獄を特別な場所へ招いてくれたということだ。それをもっと強い気持ちで信じられるように。
    「煉獄は勇敢だよ」
    「宇髄は優しい」
     その返しに宇髄は薄く微笑って、それはどうかなと言いながら煉獄が握っていたバーを取り上げた。繋いでいた手もぱらりと逸れ、宇髄はキッチンの方へ歩いてゆく。たぶん、アイスのバーを捨てに行くだけだ。置いて行かれたわけじゃない。
     リビングのカウチの背を撫でながら、煉獄は突っ立ったままで、宇髄がキッチンから戻るのを待つ。恋心はすぐに頭をのぼせさせてしまうのに、床から裸足の爪先を冷えさせて動けなくしてしまう。
     心は思うようにならず、不意に迷子みたいな心持ちになるのが困り物だ。





     好かれる・好まれることは、コツさえ掴めば難しくないと宇髄は思っている。相手の願望や要求を上手く引き出せたなら、それを素早く提示してやれば良い。簡単に言えば「便利な人」でいることだ。便利な人が役立つ人になり、信用できる人になれば、相性次第で別の展開も期待できる。仕事でも遊びでも、友情でも恋愛でも、それは大差ないというのが宇髄の主観的感覚だった。
     けれど愛されるということは、たぶん、才能だ。

     キッチンから出ると、煉獄がリビングのカウチの傍に立っていた。なんとも寄る辺ない様子だ。
     決して頼りないわけじゃない。ただアイスキャンデーを交換することにさえ勇気を奮って一歩を踏み出す。行動の裏側にある葛藤をどうにか飼い慣らそうとする彼の姿勢は果敢だ。
     感情的には幼いキスの代わりのように差し出された甘いオレンジ味は、今の煉獄にとって精一杯の誠意なのだと伝わってくる。
     不安は宇髄のせいではないと煉獄は言い切るが、こんなにも無条件に贈られ続ける愛情に安心感を与えてやれない自分を、宇髄は不甲斐なく思う。
     彼にはもっと明るくて健全な、陽の光に満ちた恋の方が似合うだろうに。
    「煉獄、もうちょっと寝ておこう」
     声を掛けて迎えに行けば、煉獄は大人しく従ってベッドルームへとついてくる。きっと宇髄が誘えばどうにでもなってしまうだろう。そんな気にはまるでなれないけれど。少なくとも、彼の真摯な愛情を不誠実に貪れるほど宇髄は飢えてもいなかった。
     もしそれを煉獄が愛情表現として受け入れたとしても、それは今の不安感への対症療法にしかならない。愛着より前に不安が増殖すれば、こんなにも熱心に向けられる恋心はすぐに窒息してしまうだろう。
    「ゆっくり寝て。起きたら車で送るよ」
     ベッドへ上がるように促しながら言えば、片脚だけ乗り上がった半端な姿勢で煉獄が振り向く。
    「宇髄も」
     片手でベッドをポンと叩いて示してくる。
    「俺とじゃ狭くて眠れないだろ」
     すっかりベッドへ上がり切った煉獄は端まで寄り、場所を空けて座っている。
    「一緒にいて欲しい。——何もしないから」
     危うく吹き出すところだった。煉獄が巫山戯て言っているわけではないことは表情でわかる。が、それは煉獄が口にすべき台詞なのかと、宇髄はこそばゆい気分だ。
    「そこまで言うなら、寝かしつけてやるか」
     わざと偉そうに言ってやれば、煉獄がふっと笑う。それをかわいいと思うのは、その笑顔が自分だけへ向けられているものだからか。
     マットレスを大きく揺らすように飛び乗ると、今度は声を立てて煉獄が無邪気に笑う。
    「宇髄は本当に大きいな」
    「身長は一九八センチだから、このベッドはキングサイズより縦が長いやつなんだ」
    「そんなにでかいベッドもあるのか!」
     知らなかった、と煉獄は改めてベッドを眺め回す。
    「さー、夜遊びはオシマイ。寝るぞ」
     先に布団へ潜り込んでしまえば、追って煉獄も仰向けになって落ち着いた。——と、手の甲同士が軽く触れて、煉獄が「あの」と、ごく小さく呟いた。
     手を繋ぎたいという意味だろうかと宇髄は煉獄の手を掬いに行くと、ぶつかってしまったと思ったのか手を引いて、ごめんと謝ってくる。そして深呼吸のように、ふうと一息ついて、宇髄の方へ顔を向けてきた。
    「ありがとう。宇髄がずっと優しくしてくれて、嬉しい」
     ふわりと微笑う。煉獄が愛されるのはきっとこういうところだ。恋愛感情以前に、煉獄は向き合うひとへ当たり前に愛情を示せるのではないだろうか。不安や寂しさは自分の心持ちひとつだと顔を上げる勇気を持ち、喜びは厚意で贈られたギフトのように受け取れる。こんな人と共に時間を過ごしたら、恋愛感情にはならなかったとしても、彼の幸せを願わずにはいられないくらい愛してしまうだろうなと想像がつく。
    「おやすみ!」
     少し照れたように布団へ潜り込み、宇髄へ背を向けてじっとしている。今度こそちゃんと眠れると良いけれど。
    「ん。おやすみ」
     愛。それは相手のそのままの形を愛でて、信じ、与え合い、受け取り合うもの。宇髄には実感が希薄とはいえ、そういうものだという認識だ。受け取るにも与えるにも才能が必要な気がしている。煉獄はそういった愛情を注がれて育ってきたのだろうと眩しく思う。それとも愛は習慣や努力で手に入れられるものなのだろうか。
     その答えを煉獄はひとつふたつ教えてくれるんじゃないかという期待が頭を擡げる。いや、答えなんてわからないままでもいい。彼の熱情がこちらへ向いている間だけで構わないから、あの打算のない真っ直ぐな心を感じたいと思う。きれいな器である煉獄のその身体よりも、内側に溢れんばかりに満たされている愛に触れたい気持ちが頭を擡げる。その時、どんな心持ちになるのだろう。できれば穢すことのないまま、ほんの少しだけでも味わってみたい。
    「次会う時は、デートしような」
     静かな背中へ囁くと、ぐるりと首を巡らせてきた煉獄が、眠気の全くなさそうな瞳で宇髄の方を向く。
    「したい!」
    「うん。どこ行くか考えとくよ」
     片手を煉獄へ伸ばし、前髪を混ぜるようにくしゃくしゃと撫でてやると、もう一度「おやすみ」と煉獄が微笑む。そして今度こそ眠る気なのだろう、再び宇髄へ背中を向けて姿勢を整えると静かになった。
     率直に言って、煉獄は愛くるしい性格をしていると思う。彼に優しくしたいという思いが自然と湧くのは、受け取ることが上手いからだ。そして与えることにも惜しみない。彼が当たり前にそういう環境に身を置いていたから、衒いなくそうできるのだろう。一方的ではなく循環する愛は、枯れず、濁らず、どの瞬間にも清廉だ。
     煉獄のそばにいるだけで、少し人生がマシなものになるんじゃないかという夢が見られる。彼の存在感は僅かな時間で宇髄にとって大きいものになっている。煉獄の真っ直ぐな恋心に宇髄が返せるのは今のところ真似事じみたものでしかないが、それがいつか本物になればいいのにと願いもする。誰しも澄んだ美しい輝きに魅了され、手を伸ばしたくなるように。



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    rica_km

    PROGRESS宇煉・天桃前提の💎🏅です
    💎🏅・🔥🍑は、どちらも従兄弟関係(年齢設定とか詳細は齟齬が出そうなのでw、ふんわりで…)
    🏅19歳(大学生・成人)・🍑16歳(高校生)の3歳差。両思いながら🍑が未成年の上、🏅が注目を浴び易い状況であることから色々堪えているところ
    💎🔥はいずれも社会人で恋人同士
    💎が一人暮らししている部屋へ🏅は泊まりに来るほど懐いているし、秘密も共有している…
    ひみつとつみひとつ◆01◆01 Tengen side
     俺のマンションには、従兄弟の天満が時々泊まりに来る。いや。時々よりは、もう少し頻繁に。
     立地が便利だからというのは理由のうちほんの一部に過ぎない。
     天満は抜きん出た才のせいで少々注目され過ぎているもので、自宅近辺には大抵マスコミ関係の誰かしらが潜んでいるらしかった。横柄だの生意気だの好き放題に言われやすい天満だが、あれで結構繊細なところもあるのだ。注目の体操選手として世間の注目を浴びるのも無理からぬことだが、衆目に晒され続けて疲弊するメンタルが有名税とは到底思えない。フィジカルにだって影響を及ぼすことくらい想像に難くないはずなのに、それでも世間様は若干十九歳の青年を好奇心の赴くままに追い回して好き放題に書き立てる。
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